地下街なら聞いたことがあっても、準地下街と言われるとピンとこない、という方は多いと思います。
実はビルの地下がすぐ隣の地下道に面しているだけで、この区分に当てはまることがあります。
気づかないまま放置すると、統括防火管理者の未選任など思わぬ抜け漏れにつながります。
準地下街は地下道とセットで、規模を問わない義務がいくつも課される区分です。
うちのテナント、地下でそのまま地下道につながっているんですが、これって何か影響ありますか。
それは準地下街に当てはまるかもしれません。
地下道の先の用途によって、義務が大きく変わります。
地下道の先の用途まで確認したことはありませんでした。
多くの方がそうです。
順番に確認していきましょう。
- 準地下街は建物の地階と地下道をあわせて1つの防火対象物として扱う区分です
- 該当するのは地下道の先が劇場・店舗・旅館・病院・福祉施設等の特定用途に続く場合に限られます
- 自動火災報知設備は延べ面積500平方メートル以上、スプリンクラー設備は延べ面積1,000平方メートル以上で設置義務が生じます
- 統括防火管理者や消防機関へ通報する火災報知設備は規模を問わず必要です
- 既存の建物でも既存不遡及の特例が及ばず最新基準への適合が必要です
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目次
準地下街とは何を指すのか

実は消防法施行令の別表第一に、これだけを指す項番が用意されています。
似た言葉に地下街((16の2)項)がありますが、準地下街の定義は(16の2)項の各階を除くと決められているので、両者は別物として整理されています。
ビルの地下がそのまま地下道に面していて、その地下道がさらに店舗や飲食店といった特定の用途に続いている——この条件がそろったときに準地下街という扱いになります。
建物単体では気づけない区分なので、地下に地下道への出入口があるテナントほど確認が必要です。
次の見出しで、実際にどこまでの建物が対象になるのかを見ていきます。
地下街と準地下街は、条文の上でもはっきり別物なんですね。
そのとおりです。
まずは自分の地下が地下道に面しているかどうかを見てみてください。
どんな用途がそろうと準地下街になるのか

準地下街(16の3)項は、それより一段細かい条件がついています。
条文が挙げているのは(1)項から(4)項まで(劇場・キャバレー・飲食店・百貨店等)、(5)項イ(旅館・ホテル)、(6)項(病院や福祉施設等)、(9)項イ(公衆浴場のうち蒸気浴場等)です。
逆にいえば、地下道の先が事務所や共同住宅、倉庫だけであれば、この項には当たりません。
用途の組み合わせで決まる区分なので、自分のテナントの用途だけを見ていても気づけないことがあります。
地下道でつながっている隣のビルやフロアの用途まで含めて確認してください。
うちが事務所ビルでも、地下道の先に飲食店があれば対象になるということですか。
そのとおりです。
地下道全体をひとつの防火対象物として見ることになります。
準地下街にはどんな設備が義務付けられるのか

準地下街には規模に応じて複数の消防用設備等の設置が義務付けられています。
スプリンクラー設備はさらに規模が大きい延べ面積1,000平方メートル以上かつ特定用途部分500平方メートル以上で義務付けられます(施行令第12条第1項第7号)。
消火器具も設置対象ですが、二酸化炭素やハロゲン化物を放射するタイプの消火器は設置できません(施行令第10条第2項第1号ただし書)。地下道という密閉に近い空間で使うと、消火より先に酸欠の危険が出るためです。
数字の閾値がある設備とない設備が混在しているので、面積だけで安心せず種類ごとに確認してください。
次の見出しでは、規模を問わず義務になるものを取り上げます。
地下道に置いてある消火器、普通の粉末タイプだったか確認していませんでした。
本体のラベルで種類を確認できます。
点検業者に聞けばすぐわかります。
実務で見落としやすいのはどこか

準地下街には、規模に関係なく必ず求められる義務がいくつかあります。
同じ第3条の3でも、他の号は「地階を除く階数が3以上かつ収容人員10人以上」のように規模の条件が付いていますが、準地下街を挙げる第4号にはこの条件がありません。
また、消防機関へ通報する火災報知設備も延べ面積を問わず設置が必要です(施行令第23条第1項第1号)。カーテンやじゅうたん等の防炎物品の使用義務も同様に、面積の条件なしで課されています(施行令第4条の3第1項)。
さらに、既存の建物であっても新しい基準への適合を求められる点も見落としやすいところです。準地下街は、法令改正があったときに旧基準のままでよいとされる特例(いわゆる既存不遡及)の対象から外れる用途のひとつに数えられています(施行令第34条の4第2項)。
面積が小さいから対象外、と思い込まずに確認してください。
統括防火管理者は大きい建物だけの話だと思っていました。
準地下街は例外です。
規模を問わず、まず選任状況を確認してください。
明日から何を確認すればよいのか

順番に見ていけば、判定に迷うことはありません。
次に、その地下道の先が店舗や飲食店、旅館、病院、福祉施設のいずれかにつながっているかを確かめます。ここまでが準地下街に該当するかどうかの判定です。
該当する場合は、延べ面積300平方メートル以上かどうかで消防機関の検査(使用開始前検査)の対象になるかが変わります(施行令第35条)。病院や避難困難者施設の用途を含む場合は面積を問わず対象になります。
統括防火管理者の選任状況と、地下道部分の消火器が二酸化炭素・ハロゲン化物タイプでないかも合わせて確認しておくと安心です。
判断に迷ったら、所轄の消防署に地下道部分の図面を持って相談するのが早道です。
面積の確認と、規模を問わない義務の確認は分けて考えればいいんですね。
そのとおりです。
図面を1枚用意しておくと、消防署への相談もスムーズです。
よくある質問
まとめ
地下道に面しているかどうかから確かめればいいと分かりました。
すっきりしました。
用途、面積、そして規模を問わない義務。
この3つを順に確かめれば大きく外しません。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 消防法施行令別表第一(16の2)項・(16の3)項
- 消防法施行令第3条の3第4号(統括防火管理者を定めなければならない防火対象物)
- 消防法施行令第4条の3第1項(防炎防火対象物の指定等)
- 消防法施行令第10条第2項第1号、第12条第1項第7号、第21条第1項第5号、第23条第1項第1号(消火器具・スプリンクラー設備・自動火災報知設備・消防機関へ通報する火災報知設備に関する基準)
- 消防法施行令第34条の4第2項(適用が除外されない防火対象物の範囲)
- 消防法施行令第35条(消防機関の検査を受けなければならない防火対象物等)
※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





