防災資機材は、置いてあるだけでは足りません。
点検し、整備し、更新して、使える状態を保つ必要があります。
そして整備で車が抜ける期間をどう埋めるかも問われます。
一貫しているのは使えない時間を作らないという考え方です。
簡単な整備や10日程度の修理でも、代わりの車を用意するのでしょうか。
発災時に使用できない状態、又は速やかな出動ができない状態が生じる場合は、代替車両の考え方によることとされました。
日数ではなく状態で判断します。
オイルフエンスを産業廃棄物の拡散防止にも使ってよいでしょうか。
認められないとされています。
展張船と油回収船の兼用も、兼用することはできないとされました。
この記事の結論
- 防災資機材等は定期点検の実施等により維持管理の適正を図るよう指導されます
- 市町村長は法第40条の規定に基づき維持管理の状況を適宜確認します
- 簡単な整備や10日程度の修理でも、発災時に使用できない状態が生じるなら代替車両の考え方によります
- 泡消火薬剤は極力特例期間の終了日前に更新するよう指導されます
- オイルフエンスを産業廃棄物の拡散防止に共同使用することは認められません
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目次
防災資機材の維持管理はどう見るか

防災資機材等をどう維持管理させ、行政としてどう確かめるのか。2つに分けて問われました。
問 防災資機材等の維持管理について、特定事業者に対する指導及び市町村長による確認はどのように行うべきか。
答 前段 昭和58年5月31日付け消防地第105号に基づき定期点検の実施等、維持管理の適正を図るよう指導されたい。
後段 法第40条の規定に基づき維持管理の状況を適宜確認されたい。
後段 法第40条の規定に基づき維持管理の状況を適宜確認されたい。
前段が事業者側、後段が行政側です。
事業者は定期点検を実施し、維持管理の適正を図ります。根拠は昭和58年5月31日付けの消防地第105号です。
行政は法第40条に基づいて、その状況を適宜確認します。適宜という語なので、定期の検査だけとは限りません。
つまり点検記録は求められたら出せる状態にしておく必要があります。前の記事で見た性能試験用配管の話と同じで、確かめられる形を残しておくことが実質的な要件になります。
点検と確認は、別の話なのですね。
事業者と行政で分かれます。
点検の記録を、様式をそろえて残してください。
短い整備でも代替車両が要るか

では、構内で行う簡単な整備や、10日程度の修理はどうか。
問 化学消防自動車等について(1)簡単な整備を行う場合、(2)10日程度の修理を行う場合の措置はどのようになるか。
答 発災時に使用できない状態、又は速やかな出動ができない状態が生じる場合は、昭和63年1月19日付け消防特第15号の質疑3-1の回答により承知されたい。
簡単だから不要、10日なら不要、という答え方をしていません。
基準は状態です。発災時に使用できない状態。または速やかな出動ができない状態。これが生じるなら、代替車両の考え方が適用されます。
逆にいえば、整備中でもすぐ使える状態を保てるなら、代替車両は要りません。ボンネットを開けているだけで動かせるなら問題にならない、ということです。
実務での判断はここに落ちます。いま火災が起きたら出せるかを自問します。整備計画を立てるとき、この一点を工程ごとに確かめておく必要があります。
日数では切らないのですね。
出動できるかどうかで見ます。
整備の工程ごとに、出動の可否を書き添えてください。
泡消火薬剤はいつ更新するか

問 泡消火薬剤の更新はいつまでに行うべきか。
答 極力特例期間の終了日前に更新するよう指導されたい。やむを得ない場合は更新前の薬剤の性能を確認するなど災害発生時の使用に支障が生じないよう所要の対策を講じさせること。
原則は、極力特例期間の終了日前に更新することです。ぎりぎりまで使うのではなく、余裕を持って替えます。
やむを得ない場合の扱いも書かれています。更新前の薬剤の性能を確認するなど、災害発生時の使用に支障が生じないよう所要の対策を講じること。
放置してよいわけではありません。使えることを自分で確かめる義務に置き換わります。
泡消火薬剤の性能確認は分析が要るので、日数も費用もかかります。結果として、期限前に更新するほうが確実で安く済むことが多くなります。
期限より前に替えるのが原則なのですね。
余裕を持って更新します。
更新の時期を、年間の計画に入れてください。
オイルフエンスを他の目的に使えるか

産業廃棄物の拡散防止のために共同で使ってよいか。
問 オイルフエンスを産業廃棄物の拡散防止の目的で共同使用することができるか。
答 認められない。
一言で否定されました。
理由は書かれていませんが、これまで見てきた回答の並びから読み取れます。前の記事で加圧ポンプを消防用以外と兼用することはできないとされました。同じ筋です。
産業廃棄物の拡散を防いでいる最中に油が流出したら、オイルフエンスはもう使われています。同時に2つの役目は果たせません。
一方、予備動力設備や泡消火薬剤の共同保管は認められていました。容量を同時に満たせるものや、取りに行けば足りるものは共有できます。
分かれ目はいつも同じで、同時に成り立つかどうかです。
他の目的には回せないのですね。
消防用以外との兼用と同じ考え方です。
用途ごとに、資機材を分けてください。
展張船と油回収船を兼用できるか

1隻で両方の役目を持たせられないか。
問 オイルフエンス展張船と油回収船とを兼用することができるか。
答 兼用することはできない。
こちらも一言で否定されました。
現場を思い浮かべると理由が分かります。油が流出したら、まずオイルフエンスを張って広がりを止め、そのうえで回収します。2つの作業は同時に走ります。
1隻しかなければ、張り終わるまで回収が始まりません。その間に油は薄く広がり、回収の効率は落ちます。
前の記事で見た油回収装置の話ともつながります。装置を取り外しておく方式が認められなかったのは、取り付けの時間だけ出動が遅れるからでした。
この記事の5つの回答は、どれも同じところを向いています。点検して状態を保つ。整備中も出せるようにする。薬剤は期限前に替える。そして1つの物に2つの役目を持たせない。
必要なときに、必要なものが、すぐ使える。防災資機材に求められているのはそれだけです。
1隻で両方は難しいのですね。
2つの作業が同時に走ります。
備え付けの内容を、区分ごとに確かめてください。
よくある質問
Q維持管理はどこまでやればよいですか?
A回答は、昭和58年5月31日付け消防地第105号に基づき定期点検の実施等、維持管理の適正を図るよう指導されたいとしています。あわせて市町村長は法第40条の規定に基づき維持管理の状況を適宜確認するとされました。
Q10日程度の修理なら代替車両は不要ですか?
A回答は、発災時に使用できない状態、又は速やかな出動ができない状態が生じる場合は代替車両の考え方によるとしています。日数ではなくその期間中に出動できるかどうかで判断されます。
Q泡消火薬剤は期限をまたいで使えますか?
A回答は、極力特例期間の終了日前に更新するよう指導されたいとしています。やむを得ない場合は更新前の薬剤の性能を確認するなど、災害発生時の使用に支障が生じないよう所要の対策を講じさせることとされました。
Q船を1隻で両方の用途に使えませんか?
A回答は、オイルフエンス展張船と油回収船を兼用することはできないとしています。オイルフエンスを産業廃棄物の拡散防止に共同使用することも認められないとされました。
まとめ
- 事業者は定期点検の実施等により維持管理の適正を図ります
- 市町村長は法第40条に基づき状況を適宜確認します
- 整備中の措置は日数ではなく出動できる状態かで判断します
- 泡消火薬剤は極力特例期間の終了日前に更新します
- やむを得ない場合は更新前の薬剤の性能を確認します
- オイルフエンスの産業廃棄物拡散防止への共同使用は認められません
- 展張船と油回収船の兼用はできません
いま火災が起きたら出せるか、で考えればよいのですね。
すっきりしました。
整備計画は工程ごとに出動可否を書き添えておくと相談が早く進みます。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 石油コンビナート等災害防止法の運用に係る資料の送付について(昭和63年1月19日 消防特第15号)
- 防災資機材等の維持管理について(昭和58年5月31日 消防地第105号)
- 石油コンビナート等災害防止法第40条
- 石油コンビナート等における特定防災施設等及び防災組織等に関する省令
- 消防実務六法 質疑応答編
※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。掲載した回答には昭和60年代のものが含まれ、条番号や機関の名称等は当時のものです。個別の事案についての適用は、所轄消防署または自治体にご確認ください。




