見た目がきれいなままでも、消火器の内部では静かに腐食が進んでいます。
実際に古い消火器が破裂する事故が相次いだことを受けて、消防庁は規格を見直しました。
規格が変わると、すでに合格していたはずの消火器が型式承認を失う仕組みがあります。
条文をたどるといつまで置いておけるかには明確な期限があることが見えてきます。
うちの消火器、古そうだけど見た目はまだきれいです。
このまま置いておいて大丈夫でしょうか。
実はそこが危ないところです。
見た目と内部の状態は別で、規格が変わると古いものは型式承認そのものが切れます。
型式承認が切れると、設置してはいけなくなるんですか。
そのとおりです。
型式が失効した消火器は、設置していても消火器として認められません。順番に見ていきましょう。
- 消防法第21条の5により、規格が変更されると既存の型式承認が効力を失うことがあります
- 絵表示の無い文字表示だけの消火器は、この仕組みで型式失効品にあたります
- 2011年に始まった経過措置は、令和3年12月31日をもって終了しています
- 蓄圧式は点検周期が緩和された一方、製造から10年を超えると耐圧性能点検が必要です
- 本体の表示を確認し、旧規格であればすみやかに交換とリサイクルの手続きを進めます
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目次
古い消火器を置き続けるとなぜ危険なのか

その先にあるのが、規格そのものが変わるという話です。
条文の主語は総務大臣で、消火器のような検定対象機械器具等の規格を見直したときに使われる仕組みです。
きっかけは、老朽化した消火器が破裂してけが人が出る事故が相次いだことでした。腐食で内部の圧力が異常に高まっても、外側からは気づけません。
そこで総務省令が改正され、新しい規格に適合しない型式は一定の期間が過ぎると承認の効力を失う形が採られました。
つまり老朽化そのものだけでなく、規格の切り替わりという制度上の理由でも交換が必要になる建物があるということです。
うちの消火器、見た目はきれいなので大丈夫だと思っていました。
そこが誤解しやすい所です。
見た目のきれいさと型式承認が生きているかどうかは別の話です。次で見分け方を確認しましょう。
交換が必要な旧規格消火器はどう見分けるのか

条文が定めているのは、この表示の書き方そのものです。
一 A火災(電気火災を除く。以下この号において同じ。)に適応する消火器にあつては「普通火災用」と、B火災(電気火災を除く。以下同じ。)に適応する消火器にあつては「油火災用」と、電気火災に適応する消火器にあつては「電気火災用」とそれぞれ明瞭に表示し、併せて(略)絵表示を、(略)絵表示の色で表示すること。
現在の規格は普通火災・油火災・電気火災のそれぞれに、専用の絵表示を色付きで表示するよう定めています。
平成23年より前に作られた消火器の多くは、この絵表示ができる前の基準で作られているため、文字表示だけのものが目立ちます。
同じ第38条第1項第23号は、標準的な使用条件のもとで安全に使える期間として「設計標準使用期限」を表示するよう定めており、この期限の表示が無い消火器も旧規格である可能性が高いです。
まずは自分の建物の消火器を1本ずつ確認し、絵表示と設計標準使用期限の有無を控えておいてください。
うちの消火器、丸い絵は付いていなくて「普通火災用」って文字だけです。
それは旧規格の消火器である可能性が高い印です。
設計標準使用期限の表示があるかどうかも一緒に確認してください。
いつまでに交換すればよいのか

条文には猶予の期間も定められています。
附則が定めた最初の期限は平成23年12月31日でしたが、その後の総務省令の改正により経過措置の期限は段階的に延長されてきました。
各消防局の公表資料によれば、その延長は令和3年12月31日で終了しており、2022年1月1日以降は型式が失効した消火器を設置し続けることはできません。
消防用設備等の設置義務がある建物でこの状態が続くと、消防法施行令が求める設置基準を満たしていないことになります。
本体に設計標準使用期限の表示が無い、または文字表示だけの消火器が残っている建物は、すでに交換の期限を過ぎている可能性があります。
うちの消火器、去年から表示を見ていません。もう期限を過ぎているかもしれません。
2022年1月1日より前の基準のまま放置している建物は少なくありません。
まずは設計標準使用期限の表示を確認してください。
実務で見落としやすいのはどこか

条文は点検の期間を消防庁長官の定めに委ねています。
この委任にもとづく告示の改正で、蓄圧式消火器の内部及び機能の点検周期は3年から5年に緩和されました。
一方で製造から10年を超えた消火器には、水圧をかけて容器の健全性を確かめる耐圧性能点検が新たに義務付けられ、以降は3年ごとに実施することになっています。
外観がきれいでも、内部の腐食は目視だけでは分かりません。周期が延びた分だけ、期限を過ぎていないかの確認がおろそかになりがちです。
家庭で自主的に置いている消火器には、この点検や交換の法令上の義務はありませんが、期限内の交換をおすすめします。
点検の周期が延びたなら、そのぶん安心していいのかと思っていました。
周期が延びた分だけ見落としの機会も増えます。
製造から10年を超えていないか、表示を確認してください。
明日からなにをすればよいのか

条文にはその連絡先を表示する義務も定められています。
まずは自分の建物の消火器を1本ずつ確認し、絵表示と設計標準使用期限の有無を控えてください。
表示が古い、または期限を過ぎているものが見つかったら、消火器の販売店か点検業者に連絡して交換の手配をします。
不要になった消火器は、本体に表示された廃棄時の連絡先か、指定引取場所に持ち込んでリサイクルに出します。自分で分解したり穴を開けたりしないでください。
交換のたびに毎回調べるのは手間なので、点検のタイミングで表示の確認までまとめて依頼しておくと確実です。
交換したあと、古いほうはどう処分すればいいですか。
本体に表示された廃棄時の連絡先か、指定引取場所に持ち込めば大丈夫です。
点検のタイミングで㈱防災屋にまとめてご相談いただくこともできます。
よくある質問
まとめ
消火器の表示を確認するところから始めます。
古いものが見つかったら早めに交換します。
絵表示と設計標準使用期限、この2つを確認すれば旧規格かどうかが分かります。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 消防法第21条の5
- 消火器の技術上の規格を定める省令(昭和39年自治省令第27号)第38条
- 消火器の技術上の規格を定める省令 附則(平成22年12月22日総務省令第111号)第2条
- 消防法施行規則第31条の6
- 横浜市「消火器の規格・点検基準が改正されました」(横浜市ウェブサイト)
- e-Gov 法令検索
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





