消防用機械器具等のカタログに、あたかも国が認めたかのような表示が使われることがあります。
また消火器のラベルが剥がれていると、それだけで違反になるのではと心配される方もいます。
検定と検査は何が違うのか、表示がなければどうなるのかは、条文を読んでも分かりにくいところです。
この記事では検定と表示をめぐる扱いを消防庁の質疑応答に沿って整理します。
カタログに消防庁承認って書いてあったんやけど、これほんまなんか。
同じ照会が過去にありました。
回答は当庁が承認した事実はないというものです。今後もそうした措置を行う考えはないとされています。
ほな消火器のラベルが剥がれてるやつはどうなんや。あれ違反か。
そこも整理されています。
表示が付いていなくても形状構造材質成分および性能が規格に適合していれば技術上の規格に適合しているものと解するとされています。この記事でまとめて解説します!
- 国家消防庁承認と表示された製品について当庁が承認した事実はないとされている
- 消火器の検査は検定ではなく新規格に適合するか否かを確認するための手段にすぎない
- 表示等が付されていなくても省令で定める規格に適合していれば技術上の規格に適合しているものと解する
- 点検結果の報告は最終の点検終了の時期よりおおむね15日以内に行うよう指導される
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目次
消防庁が製品を承認した事実はなく今後も認可等を行う考えはない

昭和44年11月19日付け消防庁第264号は、カタログの表示についての照会です。
問われたのは危険物を貯蔵又は取扱う機器等で国家消防庁承認等の、あたかも消防庁がそれを認めたかのようなカタログ等があり町村において混乱を生じているが、かかる機器等で消防庁が承認又はこれに類した指導をしている事実があるのかという点でした。
さらに今後とも設問の製品に限らず危険物規制に関連した製品について認可等の措置を行なう考えはないと明言されています。
照会には具体的な社名と製品名、そして問題となった表示事項まで添えられていました。
それに対して承認の事実はなく今後も行わないと正面から答えた形です。
この回答が示しているのは、公的な裏付けを示す仕組みは検定であって承認ではないということです。
承認という制度は存在しません。
消火器の検査は検定ではなく規格への適合を確かめる手段にすぎない

昭和39年10月7日付け自消丙予発第113号では、消火器の規格が改められた際の疑問がまとめて問われました。
そのひとつが検定の実施を消火器業者が行なうことは妥当か否かという点です。
そのうえで普通の人がやるには種々の設備器具とかなり高度の専門的な知識経験を要しますので、専門家による検査を利用されることをお勧めするとされ、これらの条件を備えた消火器業者が消防機関の監督の下に行なうのが適当であると示されています。
つまり検定は製品が世に出る前の手続きであり、検査は現に設置されているものを確かめる行為だという整理です。
両者は別のものです。
表示がなくても規格に適合していれば技術上の規格に適合している

昭和40年10月5日付け自消丙予発第154号では、設置済みの消火器の扱いが問われました。
照会は既に設置済の消火器で、その能力単位構造材質性能が規格に定める当該規定にすべて適合しているときは、規格第38条の表示および標識がなくとも消防法施行令第30条違反ではないと解釈してよいかというものです。
見られているのはラベルの有無ではなく中身が規格に合っているかという点です。
剥がれただけでは不適合ではありません。
ただしこれは規格に適合していることが前提の回答です。
表示が読めない状態では製造年や種別の確認もできなくなりますから、実務上は交換や更新の判断ができる状態を保っておくことが必要になります。
精密検査には耐圧と気密を確認する水圧気密検査が含まれる

同じ照会の二つめは検査の中身についてです。
消防法施行規則第33条第1項第3号に定める精密検査には、消火器の場合規格第12条に定める耐圧気密が維持されているかどうかを確認するための水圧気密検査が当然包含されると解釈してよいかと問われました。
耐圧と気密が維持されているかを確認する検査は精密検査に含まれるものという整理になります。
消火器は圧力を蓄えた容器であり、外観だけでは内部の状態が分からないという性質があります。
だからこそ耐圧性能を実際に確かめる工程が検査の一部として位置づけられているということです。
点検結果の報告は最終の点検が終わってからおおむね15日以内に行う

点検した結果をいつ報告するのかについても照会があります。
昭和51年3月23日付け消防安第46号では消防法第17条の3の3の維持管理の点検報告の期限は指導する場合どの程度を考えるべきかと問われました。
起点は報告の対象となる期間の最後の点検が終わった時期です。
点検が終わったら早めに出します。
点検そのものは規則に定める周期で行いますが、報告はその期間の点検がすべて終わってからまとめて行うことになります。
点検を終えたまま報告を先延ばしにしないよう、点検の日程と報告の期限をあわせて管理しておくのが確実です。
よくある質問
まとめ
- 国家消防庁承認等と表示された製品について当庁が承認した事実はないとされている
- 今後とも危険物規制に関連した製品について認可等の措置を行なう考えはないと示されている
- 消火器の検査は検定ではなく新規格に適合するか否かを確認するための手段にすぎない
- 検査は誰が行っても差し支えないが専門的な知識経験を要するため専門家の利用が勧められている
- 個別検定は型式承認を受けた型式に属するものについて比較的簡単な試験を行なうにとどまる
- 表示等が付されていなくても省令で定める規格に適合していれば技術上の規格に適合している
- 精密検査には耐圧気密が維持されているかを確認する水圧気密検査が包含される
- 点検結果の報告は最終の点検終了の時期よりおおむね15日以内に行うよう指導される
承認って書いてあっても鵜呑みにしたらあかんのやな。危ないとこやったわ。
そのとおりです。
見慣れない表示のある機器をすすめられたときは、契約の前に一度ご相談ください。
参考・出典
- 消防法(昭和23年法律第186号)第17条の3の3・第21条の2 e-Gov法令検索
- 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第30条 e-Gov法令検索
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第31条の4・第33条 e-Gov法令検索
- 消火器の技術上の規格を定める省令(昭和39年自治省令第27号)第12条・第38条 e-Gov法令検索
- 消火器の新規格について(昭和39年10月7日付け自消丙予発第113号 予防課長から中部電力株式会社総務部長あて回答)
- 消火器の規格適合および検査について(昭和40年10月5日付け自消丙予発第154号 予防課長から北九州市消防局長あて回答)
- 「国家消防庁承認」の製品について(昭和44年11月19日付け消防庁第264号 予防課長から秋田県厚生部長あて回答)
- 消防用設備等の点検及び報告(昭和51年3月23日付け消防安第46号 安全救急課長から鹿児島県総務部長あて回答)
- 「消防実務六法 質疑応答編」(消防実務研究会編・東京法令出版)の消防用機械器具等の検定に関する質疑応答を参考に、独自に解説を作成
※本記事は2026年8月時点の法令解釈に基づく一般的な解説です。個別の運用については所轄消防署にご確認ください。




