屋外タンク貯蔵所は、大量の危険物を屋外の開放された場所で貯蔵する施設です。
1978年(昭和53年)の宮城県沖地震では、この屋外貯蔵タンクが実際に破損する被害が起きました。
消防庁はその原因を調べたうえで「屋外タンク貯蔵所の地震対策について」という通知を出しました。
たどってみるとタンクの大きさを問わず基礎への固定が今も法令上の義務であることが分かります。
うちの敷地にも屋外に置いた危険物タンクがあります。
地震で壊れたりしないか心配です。
実はそのタンクの地震対策は、消防庁の古い通知がきっかけで今の法令になっているんです。
まず、その通知の中身から見ていきましょう。
昔の通知なら、今の建物にはもう関係ないんじゃないですか。
いいえ、通知が示した考え方は今も現行の政令・規則にそのまま生きています。
順番に整理していきましょう。
- 屋外タンク貯蔵所は危険物の規制に関する政令第11条第1項第5号により地震及び風圧に耐える構造が義務付けられています
- 具体的な基準は危険物の規制に関する規則第21条で、タンクを堅固な基礎及び地盤の上に固定することが求められています
- きっかけは1978年の宮城県沖地震による屋外貯蔵タンクの破損で、これを機に消防庁が通知を出しました
- 規模の大きい特定屋外貯蔵タンク・準特定屋外貯蔵タンクには、規則第20条の4等でさらに詳しい保有水平耐力の基準が上乗せされています
- 対象に大きさの下限は無く、小規模なタンクでも基礎への固定は避けて通れません
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目次
屋外タンク貯蔵所の地震対策はなぜ通知で示されたのか

その危険性が現実になったのが1978年の宮城県沖地震でした。
発端は1978年(昭和53年)6月の宮城県沖地震で、屋外貯蔵タンクが破損する被害が確認されました。
消防庁は危険物技術基準委員会に原因を調べさせ、その結果をもとに「屋外タンク貯蔵所の地震対策に関する保安指針」をまとめています。
当時は大規模地震対策特別措置法に基づく地震防災対策強化地域の指定が始まった時期でもあり、行政として地震対策を急ぐ空気がありました。
つまりこの通知は、実際の被害事例を踏まえた再発防止策として出されたものです。
タンクの立地する地域で大きな地震が起きれば、今も同じ被害構造が繰り返されるおそれがあります。
昭和の通知だから、正直もう関係ないと思っていました。
保安指針の考え方は今の法令にそのまま引き継がれています。
次はどのタンクが対象になるかを見ていきましょう。
耐震構造が必要なのはどのタンクなのか

今の法令でも対象を絞り込む規定はありません。
屋外タンク貯蔵所であれば大小を問わずこの規定の対象になります。
一方で、貯蔵量が1,000キロリットル以上の特定屋外貯蔵タンクと、500キロリットル以上1,000キロリットル未満の準特定屋外貯蔵タンクには、規則で別途詳しい耐震計算の基準が上乗せされています。
つまり基本の耐震・耐風構造は全タンク共通の義務で、大型タンクにはさらに追加の計算が求められる二層構造になっています。
自分の施設のタンクがどちらの区分にあたるかは、まず貯蔵量で確認してください。
うちは小さいタンクだから対象外だと思っていました。
規模に関わらず対象になります。
次は具体的にどんな基準を満たせばよいかを見ましょう。
現在の基準は具体的に何を求めているのか

まず基本の条文を確認します。
地震や風の力が側板や支柱の一部分に集中しないように、タンクを堅固な基礎と地盤の上に固定することが基本の基準です。
慣性力や風荷重の具体的な計算方法は総務省令が定める告示に委ねられています。
特定屋外貯蔵タンク・準特定屋外貯蔵タンクは、これに加えて保有水平耐力が必要保有水平耐力以上であることという規則第20条の4等の基準も満たす必要があります。
つまり基礎の固定という土台部分は共通で、その上に大型タンクだけの追加計算が乗る構造です。
基礎さえしっかりしていれば良いということですか。
まずそこが土台になります。
次はうっかり見落としがちな点を確認しましょう。
小さいタンクなら地震対策は不要と思っていないか

見落としやすいのはこの範囲の違いです。
通知が「特に大量の危険物を貯蔵する」施設を重要な課題として強調したのは事実ですが、政令・規則の条文には貯蔵量による除外規定はありません。
特定屋外貯蔵タンクの保安検査が話題になりやすいため、対象は大型タンクだけだと誤解されがちです。
実際には小規模な屋外貯蔵タンクも規則第21条の耐震・耐風構造の基礎固定義務から外れていません。
保安検査の対象になるかどうかと、耐震構造にすべきかどうかは別の話として整理してください。
保安検査の対象じゃないから安心していました。
検査の対象外でも基礎の固定義務はあります。
最後に、明日からの確認事項をまとめます。
明日から何を確認すればよいのか

これは今の実務でもそのまま生きています。
①自分のタンクが特定・準特定屋外貯蔵タンクにあたるかどうかを貯蔵量で確認する、②該当する場合は保有水平耐力等の計算が最新の基準を満たしているか設計図書で確認する、③該当しない場合もタンクが堅固な基礎及び地盤に固定されているかを点検する、です。
加えて、市町村長等から資料提出や報告を求められた場合には消防法第16条の5第1項に基づく法的な求めであることも覚えておいてください。
古い通知だからと読み飛ばさず、今の政令・規則の条文と照らし合わせて自施設の状態を確認することが第一歩です。
まずは自分のタンクの区分と基礎の状態を確認してみます。
それが一番確実です。
よくある質問もまとめておきます。
よくある質問
まとめ
屋外タンクの地震対策が、今の政令・規則にそのまま引き継がれていることが分かりました。
まずはうちのタンクが基礎にしっかり固定されているか確認してみます。
基礎の固定とタンクの区分の2点を押さえれば実務は回ります。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 「屋外タンク貯蔵所の地震対策について」(昭和54年12月25日 消防危第169号 消防庁危険物規制課長)
- 危険物の規制に関する政令第11条第1項第5号
- 危険物の規制に関する規則第21条・第20条の4
- 消防法第16条の5第1項
- e-Gov 法令検索
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





