特定屋外タンク貯蔵所の実務は、地盤の評価と底部の補修という2つの重い作業を抱えています。
どちらも告示や通知に細かい定めがあるものの、現場で読み方が割れる箇所がいくつも残ります。
平成11年6月15日付けの消防危第58号は、そうした論点について運用の形で答えを示しました。
この記事では、液状化判定に関わる2点と、補修基準の読み方に関わる3点を整理します。
ボーリングを3箇所打ったんですけど、液状化指数がばらつきまして。どの値を採ればいいんでしょうか。
条件付きで平均値を使えるという運用が示されています。ただし条件のほうが本題で、そこを外すと平均を採る前提が崩れます。
補修のほうも聞かせてください。図面の寸法がどこからどこまでを指すのかで、いつも解釈が分かれます。
そこも一言で決着がついています。どこを起点に測るのかが明示されているので、覚えておくと図面のやり取りが早くなります。
この記事の結論
- 液状化指数は、各ボーリングデータで地盤の層序が明らかになり性状を表している場合に、総合判断として平均値を用いるとされています
- 液状化判定に用いる地盤の動的せん断強度は、告示第74条の式によるほか、地盤の詳細な土質試験により求めてもよいとされています
- 補修基準の図1における「※印寸法」は、溶接線止端間距離を示しています
- タンク附属物取付用当板の板厚は、その当板の保護の対象が主にアニュラ板であるか底板であるかにより判断するとされています
- マンホール及びノズルの補強板等でタンクの機能上必要なものには、補修基準の図2の規定は適用されません
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目次
液状化指数を複数のボーリングデータから算出する場合

そこから液状化指数を算出するとき、最も厳しい値を採るのか、平均を採るのかで結論が変わります。
通達は、平均値を用いてよい場合を条件付きで示しました。
運用 各ボーリングデータより当該タンク地盤の層序が明らかになり、各ボーリングデータが当該タンク地盤の性状を表している場合には、液状化指数の総合判断として平均値を用いる。
総合判断として平均値を用いるとされています。
逆に、一部のデータだけ層序が読めない場合や、局所的な異常を拾っただけと考えられる場合には、平均を採る前提が成り立ちません。
平均値という結論だけを取り出さず、条件の側を先に確認する順序が実務では重要になります。
液状化判定に用いる地盤の動的せん断強度の求め方

危険物の規制に関する技術上の基準の細目を定める告示第74条には、これを求める式が規定されています。
式による算定しか認められないのかが問われました。
運用 動的せん断強度は、告示第74条に規定する式で求めるほか、地盤の詳細な土質試験(動的試験)により求めてもよい。
一方で、実際の土を採取して動的試験にかければ、その地盤そのものの値が得られます。
詳細な土質試験で求めることもできます。
式による結果が厳しく出た地盤でも、試験による裏づけを添えるという選択肢が残されていることになります。設計の自由度に直接効く運用です。
補修基準の図1における「※印寸法」は何を指すか

補修の可否を判断する寸法である以上、どこからどこまでを測るのかが決定的です。
溶接の中心か、板の端か、それとも溶接の裾なのか。
運用 ※印寸法は溶接線止端間距離を示している。
止端から止端までの距離を指しています。
溶接中心間の距離で測ると、ビードの幅のぶんだけ数値が大きく出ます。
判定が境界付近にある補修では、この読み違いがそのまま可否の違いになります。
タンク附属物取付用当板の板厚をどう判断するか

両者の板厚は必ずしも同じではなく、アニュラ板のほうが厚い場合があります。
その継手線をまたぐ位置に附属物取付用の当板が載ったとき、当板の板厚はどちらを基準に考えるのか。
運用 アニュラ板の板厚が底板の板厚より厚い場合において、タンク附属物取付用当板が、アニュラ板及び底板の溶接継手線上に取り付けられる場合の当該当板の板厚は、当該当板の保護の対象が主にアニュラ板であるか底板であるかにより判断する。
保護の対象がどちらかで判断します。
当板は本来、下にある板を守るために置くものです。
その当板が主に守っているのがアニュラ板なのか底板なのかを、附属物の位置や荷重の伝わり方から見極めることになります。設計意図を説明できる資料を残しておくことが前提になる運用です。
マンホールやノズルの補強板等に補修基準の図2は適用されるか

ただしタンクには、補修とは無関係に、はじめから必要とされる取付物があります。
マンホールやノズルの補強板がその代表です。
運用 マンホール及びノズルの補強板等のタンク機能上必要なものであれば、73号通知の別添1「補修基準」中の図2の規定は適用しない。
機能上必要なものなら図2は適用されません。
補修として後から当てた板と、はじめから設計に組み込まれている補強板を、同じ基準で見ないという整理です。
既設タンクの図面を確認するとき、その板がどちらの性格のものかを押さえておくと、検査時のやり取りが早くなります。
よくある質問
Q. 1万キロリットル以上のタンクのサンプリング配管やドレン配管は移送する配管以外とみなせますか?
同じ平成11年6月15日付け消防危第58号の問3が扱っています。容量1万キロリットル以上の特定屋外貯蔵タンクに接続するサンプリング配管、ドレン配管等は使用時に必ず係員がバルブ直近に配置されるので、危険物を移送する配管以外の配管とみなしてよいかという照会に対し、回答は「お見込みのとおり」となっています。係員がバルブの直近にいることが前提になっている点に注意が必要です。
Q. 新法タンクの底部板厚が最小厚さに満たない場合はどう扱われますか?
同じ消防危第58号が、次のすべての条件に適合する場合には火災予防上支障がないと認め、令第23条の規定を適用するとしています。ア 最小厚さの90パーセント以下である箇所の周囲における測定板厚平均値が最小厚さの80パーセントを超えている。イ 最小厚さからの板厚の減少が3ミリメートルを超えていない。ウ 規則第20条の4第2項第1号の2の保有水平耐力の規定に適合すると認められる。保有水平耐力に関する条件が加わっている点が、従前の取扱いとの違いです。
Q. コーティングの下地処理でブラスト面の粗さはどの程度にすればよいですか?
同じ消防危第58号が扱っています。平成6年9月1日付け消防危第74号に定める「コーティングに関する指針」に基づき、特定屋外貯蔵タンクにガラスフレークコーティング又はガラス繊維強化プラスチックライニングを行う場合の下地処理に際して、ブラスト面の表面粗さは標準板法(KTAコンパレーター等)によりRz30から100マイクロメートルとして差し支えないかという照会に対し、回答は「お見込みのとおり」となっています。
Q. 旧法タンクの底部板厚検査についての従前の取扱いは今も有効ですか?
特定屋外タンク貯蔵所の保安検査のうち底部の板厚検査については、平成7年3月30日付け消防危第29号の中の1の(1)によってきましたが、この部分は平成26年5月27日付け消防危第146号により廃止されています。旧法タンクの取扱いを確認する際は、廃止後の資料に当たる必要があります。
まとめ
- 液状化指数を3箇所以上のボーリングデータから算出する場合、各データで層序が明らかになり地盤の性状を表しているときは、総合判断として平均値を用いるとされています
- 平均値を使えるかどうかは結論ではなく条件の側で決まるため、層序と性状の確認が先になります
- 液状化判定に用いる地盤の動的せん断強度は、告示第74条に規定する式で求めるほか、地盤の詳細な土質試験により求めてもよいとされています
- 補修基準の図1における「※印寸法」は溶接線止端間距離を示しており、溶接中心間の距離ではありません
- アニュラ板が底板より厚い場合に継手線上へ取り付ける附属物取付用当板の板厚は、その当板の保護の対象が主にアニュラ板か底板かにより判断します
- マンホール及びノズルの補強板等でタンクの機能上必要なものであれば、補修基準の図2の規定は適用されません
- いずれも数値そのものより、どの条件に当てはめて読むかで結論が変わる論点です
止端間距離やったんですね。うちは溶接中心で測ってた図面がありそうなので、確認します。
判定が境界付近にあるものほど効いてきます。図面の測り方から見直すのが確実です。㈱防災屋でも検査前の確認をお手伝いしています。
参考・出典
- 危険物規制事務に関する執務資料(屋外タンク貯蔵所及び一般取扱所関係)の送付について〔抄〕(平成11年6月15日 消防危第58号 危険物規制課長から各都道府県消防主管部長あて)別紙 屋外タンク貯蔵所関係 特定屋外タンク貯蔵所関係 問1・問2・問3・問4
- 危険物の規制に関する規則の一部を改正する省令等の施行について(平成6年9月1日付け消防危第73号)別添1 補修基準
- 特定屋外貯蔵タンク内部の腐食を防止するためのコーティングに関する指針について(平成6年9月1日付け消防危第74号)
- 危険物の規制に関する技術上の基準の細目を定める告示第74条・第4条の17
- 危険物の規制に関する規則第20条の4第2項第1号の2
- 消防実務六法 質疑応答編
※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。個別の施設についての適用は、所轄の消防機関にご確認ください。




