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駐車場や車庫は消防法上どう区分されるか|特殊消火設備の設置基準を解説

駐車場や車庫は消防法上どう区分されるのかを示すアイキャッチ画像

月極駐車場やコインパーキング、立体駐車場は、見た目は様々でも消防法上の扱いが大きく分かれます。
屋根や壁があるかどうかだけで、防火対象物になるかならないかが変わってくるのです。
該当すれば、床面積や車両の収容台数によって特殊消火設備の設置が必要になります。
条文をたどると、駐車場の建物としての作りが義務の重さを決めていることが見えてきます

屋根がある立体駐車場を経営しています。
これって消防法の対象になるんでしょうか。

屋根や壁がある駐車場は、自動車車庫又は駐車場として消防法上の防火対象物になります。
床面積や駐車のさせ方によって設備義務が変わります

青空のコインパーキングを月極で貸しているのですが、こちらはどうですか。

屋根も壁もない青空駐車場は工作物とは扱われず、防火対象物に当たらないと解されています。
条文から順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 屋根や壁のない青空駐車場は防火対象物に当たらないと解されています
  • 屋根や壁がある駐車場は令別表第一(13)項イの自動車車庫又は駐車場になります
  • 床面積や機械式の台数によって特殊消火設備の設置が必要になります
  • 全車両が同時に屋外へ出られる開放型の階は面積基準の対象から外れます
  • 収容人員は従業者の数だけで算定するため防火管理者の要否判定が独特です

駐車場は屋根や壁の有無・床面積・機械式の台数で特殊消火設備の要否が決まることを示した図解

駐車場や車庫はなぜ消防法の規制対象になるのか

立体駐車場の建物の隣に一般的な建物が並び工作物としての駐車場を示したイメージ
月極駐車場や立体駐車場は、街のいたるところにあります。
消防法は、こうした施設もほかの建物と同じ枠組みで規制の対象にしています。
消防法第2条第2項 防火対象物とは、山林又は舟車、船きよ若しくはふ頭に繋留された船舶、建築物その他の工作物若しくはこれらに属する物をいう。
規制の入口は「建築物その他の工作物」に当たるかどうかです
屋根や壁を持つ駐車場の建物は、この「工作物」に含まれます。
消防法施行令別表第一では、(13)項イ「自動車車庫又は駐車場」という区分が用意されています。
同じ(13)項のロには飛行機又は回転翼航空機の格納庫が並び、車両を格納する施設という共通点でくくられています。
まずはこの区分に自分の施設が当てはまるかどうかを、次の章で具体的に見ていきます。

駐車場も消防法上は「建物」として扱われるということですね。

そのとおりです。
次はどんな駐車場が対象になるのかを見ていきましょう。

どんな駐車場が(13)項イになるのか

屋根のない青空駐車場に禁止マークが屋根のある立体駐車場に許可マークが付いたイメージ
自動車を格納する施設であれば、なんでも(13)項イになるわけではありません。
建物としての作りがあるかどうかが、最初の分かれ目になります。
消防法施行令別表第一(十三) イ 自動車車庫又は駐車場 ロ 飛行機又は回転翼航空機の格納庫
屋根や壁を持つ駐車場は(13)項イに当たります
自走式・機械式を問わず、建物の形をしている駐車場や車庫はこの区分に入ります。
一方、屋根も壁も持たない青空駐車場は、消防法第2条第2項が定める「建築物その他の工作物」に当たらないと一般に解され、防火対象物そのものになりません。
コインパーキングでも区画に屋根がかかっていれば話は別なので、構造そのものを見て判断する必要があります。
判断に迷う場合は、所轄消防署に施設の図面を見せて確認するのが確実です。

屋根のあるタワー式の駐車場も持っているのですが、こちらは対象になりますか。

屋根と壁がある以上、対象になります
次はどんな設備が必要になるかを見ていきましょう。

特殊消火設備はどんな駐車場に必要になるのか

地下駐車場の天井に泡消火設備のノズルが並び隣に機械式駐車タワーがあるイメージ
(13)項イに当たる駐車場のすべてに、同じ設備が必要になるわけではありません。
床面積や駐車の方式によって、必要な消火設備が変わります。
消防法施行令第13条(抜粋) 別表第一に掲げる防火対象物の駐車の用に供される部分で、次に掲げるもの 一 当該部分の存する階(屋上部分を含み、駐車するすべての車両が同時に屋外に出ることができる構造の階を除く。)における当該部分の床面積が、地階又は二階以上の階にあつては二百平方メートル以上、一階にあつては五百平方メートル以上、屋上部分にあつては三百平方メートル以上のもの 二 昇降機等の機械装置により車両を駐車させる構造のもので、車両の収容台数が十以上のもの
床面積か車両の収容台数、どちらかの基準を超えると特殊消火設備が必要になります
面積基準は階ごとに決まり、地階・2階以上は200平方メートル、1階は500平方メートル、屋上は300平方メートルです。
面積を満たさなくても、昇降機等で車両を駐車させ収容台数が10台以上なら対象になります。
必要になる設備は、水噴霧消火設備・泡消火設備・不活性ガス消火設備・ハロゲン化物消火設備・粉末消火設備のいずれかです。
自分の駐車場がどの方式に当たるか、まず床面積と駐車のさせ方を確認してみてください。

うちは機械式で8台分なのですが、床面積はそこまで広くありません。

台数が10台未満で面積基準にも届かなければ対象外です。
ただし増設で10台を超えたら要注意です。

収容人員や既存の建物ではどんな見落としがあるか

車が直接屋外に出られる開放型の駐車場ランプと隙間なく並ぶ立体駐車装置を対比したイメージ
条文には、駐車場ならではの見落としやすい例外がいくつもあります。
数字の基準だけを見ていると、判断を誤ることがあります。
消防法施行規則第1条の3(抜粋) 令別表第一(十)項及び(十二)項から(十四)項までに掲げる防火対象物 従業者の数により算定する。
駐車するすべての車両が同時に屋外へ出られる構造の階は、面積基準の対象から外れます
開放型のランプウェイなど、車が行き止まりなく走り抜けられる構造であれば、面積が大きくても特殊消火設備が不要になる場合があります。
さらに(13)項イの収容人員は従業者の数だけで算定し、利用者や駐車台数は数えません。
無人精算機だけの月極駐車場は収容人員が実質ゼロに近く、50人以上で必要になる防火管理者の選任義務にはまず該当しません。
ただし複数の駐車場を1人の従業者がまとめて管理している場合など、数え方に迷ったら所轄消防署に確認してください。

従業員がほとんどいない駐車場なら、防火管理者は要らないということですね。

多くの場合はそうなりますが、建物の使い方が変わると話が変わります
最後に、明日から確認することをまとめます。

明日からなにを確認すればよいか

駐車場の図面を広げた机と電話とチェックリストを持つ人物のイメージ
自分の駐車場が(13)項イに当たるかどうかは、図面と現地を見比べれば分かります。
判断に迷ったら、早めに所轄消防署へ相談するのが確実です。
消防法施行令第4条の3第1項(抜粋) 法第八条の三第一項の政令で定める防火対象物は、別表第一(一)項から(四)項まで、(五)項イ、(六)項、(九)項イ、(十二)項ロ及び(十六の三)項に掲げる防火対象物(略)とする。
まず確認するのは、屋根と壁の有無、床面積、駐車の方式の3点です
上の条文のとおり、(13)項イの駐車場は防炎規制の対象にも含まれていません。
ただし高さ31メートルを超える高層建築物に当たる場合は、用途を問わず別に防炎規制がかかります。
床面積が基準に近い駐車場や、機械式の増設を検討している駐車場は、工事の前に所轄消防署へ相談しておくと手戻りがありません。
図面を持って予防課の窓口に行けば、自分の施設がどの基準に当たるかを具体的に教えてもらえます。

一度うちの駐車場の図面を持って、消防署に相談してみます。

それが一番確実です。
屋根と壁、面積、方式の3点を整理しておくとスムーズです。

よくある質問

Q屋根がない立体駐車場でも壁があれば対象になりますか?
A壁だけでも「建築物その他の工作物」に当たると判断されれば対象になり得ます。屋根と壁の両方をそろえないと対象にならないという規定はなく、実際の構造をもとに個別に判断されるため、迷う場合は所轄消防署にご確認ください。
Qバイクだけを収容する駐車場も(13)項イになりますか?
A条文は「自動車車庫又は駐車場」とだけ定めており、収容する車両の種類までは限定していません。建物としての構造があれば対象になり得ますが、個別の扱いは所轄消防署にご確認ください。
Q機械式駐車場が10台未満なら消火設備は一切不要ですか?
A収容台数が10台未満でも、床面積の基準を満たせば特殊消火設備が必要になります。台数と面積は別々の基準なので、両方を確認してください。
Q既存の駐車場が対象になった場合は新基準に合わせないといけませんか?
A(13)項イは、既存の基準を超えて新基準が遡って適用される特定防火対象物には含まれていません。そのため既存の駐車場は原則として新基準の遡及適用を受けませんが、増改築や用途変更の内容によって扱いが変わるため所轄消防署にご確認ください。

まとめ

屋根や壁のない青空駐車場は防火対象物に当たらないと解されています
屋根や壁がある駐車場は令別表第一(13)項イの自動車車庫又は駐車場になります
床面積か機械式の収容台数のいずれかが基準を超えると特殊消火設備が必要になります
面積基準は階ごとに決まり、地階・2階以上は200平方メートル、1階は500平方メートル、屋上は300平方メートルです
全車両が同時に屋外に出られる開放型の階は面積基準の対象から外れます
収容人員は従業者の数だけで算定するため、無人駐車場は防火管理者の選任義務が生じにくくなります
(13)項イは特定防火対象物に含まれず、既存の建物は原則として新基準の遡及適用を受けません

うちの駐車場がどの基準に当たるか、まず図面で確認してみます。

それが一番の近道です。
屋根や壁の有無と床面積、駐車の方式の3点を押さえておいてください
㈱防災屋でもご相談を承っています。

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参考・出典

  • 消防法第2条第2項
  • 消防法施行令別表第一(十三)
  • 消防法施行令第13条
  • 消防法施行令第1条の2
  • 消防法施行令第4条の3
  • 消防法施行令第34条の4
  • 消防法施行規則第1条の3
  • e-Gov 法令検索

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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