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学校給食施設や家族風呂は消防法上どう区分されるか|特殊可燃物や増築時の設置義務も解説

学校給食施設や家族風呂は消防法上どう区分されるかを解説するアイキャッチ画像

学校の給食室や家族風呂のような小さな施設ほど、消防法上どの用途になるのか迷います。
棉実のような身近な農産物や、建物を増築したときに設置義務が生じるかどうかも、判断に迷う場面の一つです。
消防実務六法の質疑応答は、こうした判定に迷う場面に一つずつ答えを示しています。
質疑応答が示したのは建物のつながり方や増築の規模で判定が変わるという線引きです。

うちの学校の給食室は校舎とは別の建物なんですが、これも学校の一部として扱われますか。

つながり方によって答えが変わります。
他にも似たような判定に迷うケースがいくつもあります。

塾や家族風呂、それに増築したときの設置義務なんかも、いつも判断に迷います。

ひとつずつ順番に見ていきましょう。
建物の実態を確認することが判断の出発点です。

この記事の結論
  • 学校給食施設は、渡り廊下でつながっていれば校舎と合わせて一つの防火対象物として扱われることがあります
  • 校舎と分離した別棟の給食施設や、複数校で使う給食共同調理施設は、(12)項イの防火対象物になります
  • 各種学校や塾も、学校の形態をなしていれば(7)項に掲げる防火対象物として扱われるとされました
  • 家族風呂は蒸気浴・熱気浴を用いなければ(9)項ロの公衆浴場に該当し、市町村の火災予防条例で基準を強化できます
  • 棉実は特殊可燃物の綿花類には含まれず、増築が一定規模を超えなければ既存の建物に新たな設置義務は生じません

学校給食施設は消防法上どの用途になるか

校舎の隣に、屋根付きの渡り廊下でつながった給食用の別棟が建っていることを示したイメージ
学校の給食室は、校舎と一体になっていることもあれば、別棟で建てられることもあります。
つながり方の違いで、防火対象物としての扱いはどう変わるのか。
問(昭和40年6月15日 自消予第106号) 学校の学校給食の用に供するため学校内に設けられた学校給食施設(共同調理施設を含む。)は、消防法施行令別表第1(6)項又は(7)項に掲げる防火対象物に該当するか。この場合、学校の同一敷地内に設けられた学校給食施設は、当該学校の校舎と合わせて一つの防火対象物と解してよいか
答 おたずねの学校給食施設は、一般的には消防法施行令別表第1(6)項又は(7)項の防火対象物に該当する。分離して別棟となつている学校給食施設は別の防火対象物である。二つ以上の学校の学校給食の用に供するため独立機関として設けた学校給食共同調理施設は、同施行令別表第1(12)項イの防火対象物に該当する
校舎とのつながり方で扱いが変わります
渡り廊下でつながっていれば学校本体と合わせて一つの防火対象物として扱われますが、分離した別棟なら別の防火対象物になります。
複数の学校で共同利用する給食調理施設は、学校ではなく(12)項イの工場に近い施設として扱われます。
給食室を増築や改修する際は、まず渡り廊下の有無と共用範囲を確認することが実務の出発点になります。

渡り廊下があるかないかだけで、こんなに扱いが変わるんですね。

建物の配置図を確認するのが早道です
次は各種学校や塾の話です。

各種学校は令別表第1の何項になるか

似た形の2棟の学校風の建物が並んで建っていることを示したイメージ
学校教育法にもとづかない教室でも、外から見れば学校と変わらない建物があります。
そうした各種学校や塾は、消防法上どう区分されるのか。
問(昭和48年10月23日 消防予第140号・消防安第42号) 消防法施行令別表第1(5)項に掲げる防火対象物のうち、各種学校及びこれらに類するもの(塾等)が同表(7)項に掲げる防火対象物となったが、その規模、範囲等について具体的に教示願いたい
答 学校教育法(昭和22年法律第26号)に規定する学校以外のものでも、学校の形態をなしているものは、これらに類するものとして令別表第1(7)項に掲げる防火対象物に該当する
学校の名称ではなく形態で判断します
学校教育法上の学校でなくても、教室や時間割を備えた学校の形態をなしていれば、塾や各種学校でも(7)項の防火対象物として扱われます。
逆に学校の形態を備えていなければ、(15)項の事業所などとして扱われる可能性があります。
自分の施設がどちらに近いか迷ったら、教室の配置や時間割の有無といった運営の実態を所轄消防署に説明して確認するのが確実です。

学校という名前が付いていなくても(7)項になることがあるんですね。

名称よりも実態が優先されます
続いては家族風呂の話です。

家族風呂は特殊浴場としてどう区分されるか

個室の家族風呂の隣に、複数の浴槽が並ぶ公衆浴場があることを示したイメージ
家族風呂は個室感覚で使える浴場として、大型化しながら普及してきました。
蒸気浴や熱気浴を使わないこの浴場は、消防法上どちらの区分になるのか。
問(昭和48年4月21日 消防予第64号) 公衆浴場法にもとづく特殊浴場として家族風呂が普及しはじめているが、家族風呂専用の防火対象物は消防法施行令別表第1(9)項イ又はロの何れにより規制すべきか。家族風呂が普通浴場に併設された場合も同様か。また、(9)項ロで規制するとした場合、市町村火災予防条例で自動火災報知設備及び非常警報設備等の設置基準を強化することができるか
答 蒸気浴、熱気浴等がもちいられない公衆浴場であれば、消防法施行令別表第1(9)項ロに該当する。普通浴場に併設された場合も同様に解されたい。強化することができる
蒸気や熱気を使うかどうかが分かれ目です
家族風呂は蒸気浴・熱気浴を用いない限り、単独でも普通浴場に併設されていても(9)項ロの公衆浴場として扱われます。
さらに(9)項ロで規制する場合は、消防法第17条第2項にもとづき市町村の火災予防条例で自動火災報知設備等の基準を強化できるとされました。
自分の地域の条例が独自の上乗せ基準を定めていないか、所轄消防署か自治体の条例集で確認しておくと安心です。

条例で基準が上乗せされていることもあるんですね。うちの地域も確認してみます。

それが確実です
次は少し毛色の違う特殊可燃物の話です。

棉実は特殊可燃物の綿花類に含まれるか

ふわふわとした綿花の束にチェックマーク、丸い棉の実が入った木箱に禁止マークが付いていることを示したイメージ
特殊可燃物の規制は、見た目が似ている物でも線引きが変わることがあります。
綿花類の規制対象に、綿の実である棉実は含まれるのか。
問(昭和41年4月19日 自消丙予第46号) 消防法施行令別表第3の特殊可燃物中「綿花類」に「棉実」を含めることの可否について、実の外面に綿花が相当付着して残っているので綿花類に該当するという解釈と、棉実は特殊可燃物として法令で規制する必要がないという解釈と、いずれによるべきか
答 棉実は特殊可燃物として法令で消防用設備等について規制する必要がない
棉実そのものは規制の対象外です
表面に綿花が付着して残っていても、棉実は綿花類には含まれず、消防法施行令別表第3の特殊可燃物としての規制は受けません。
ただし、この回答は棉実そのものについてのものであり、綿花類そのものは今も特殊可燃物として規制されています
農産物や繊維原料を保管する施設では、素材の名前だけで判断せず、対象物が実際にどの特殊可燃物の区分に当たるかを一つずつ確認してください。

綿花はダメで実の方は大丈夫、というのは意外でした。

名前が似ていても区分は別です
最後は増築と設置義務の話です。

増築したら消防用設備等の設置義務は生じるか

2階建ての建物の側面で、クレーンが鉄骨を吊り上げながら平屋の増築部分を建てていることを示したイメージ
建物を増築すると、それまで不要だった消防用設備等が急に必要になるのではと心配になります。
実際に設置義務が生じるかどうかは、何で決まるのか。
問(昭和51年7月29日 消防予第45号) 消防用設備等の設置を要しない規模である防火対象物の増築について、昭和43年に新築された延べ800平方メートルの耐火建築の事務所(A)に、延べ200平方メートルの簡易耐火建築の部分(B)を増築する場合、自動火災報知設備の設置義務については、Aの建築時点の技術上の基準によることとなるか
答 お見込みのとおり。(Aの建築は現行の技術上の基準の施行前であり、B部分の増築は消防法第17条の2第2項第2号の増築に該当しないため、同条第1項が適用され、従前の例=Aの建築時の技術上の基準によることとなる。)
増築の規模が基準を超えるかどうかが分かれ目です
基準ができる前に建てられた建物は、増築部分が延べ面積の2分の1以上または1,000平方メートル以上にならない限り、当時の基準のままでよいとされました。
逆にこの規模を超える増築をすると、消防法第17条の2第2項第2号の増築にあたり、建物全体を現行の基準に合わせる必要が生じます
増築を計画する段階で、増築後の延べ面積と増築部分の面積の両方を所轄消防署に伝え、設置義務の有無を確認しておくことをおすすめします。

小さな増築なら大丈夫と思っていましたが、面積次第なんですね。

面積を計画段階で確認するのが確実です
ここまでの5つをまとめます。

よくある質問

Q学校の給食施設が校舎と分離した別棟の場合、必ず別の防火対象物になりますか?
A回答では、校舎と分離して別棟となっている学校給食施設は別の防火対象物として扱われるとされています。用途や規模に応じた設置義務も校舎とは別に確認してください。
Q塾や各種学校であれば、規模を問わず(7)項になりますか?
A判断のもとになるのは学校の形態をなしているかどうかです。教室や時間割を備えず学校の形態と言えない施設は、(7)項ではなく別の項に区分される可能性があります。
Q家族風呂に蒸気浴やサウナを併設したらどうなりますか?
Aこの回答は蒸気浴・熱気浴を用いない家族風呂を前提にしています。蒸気浴等を併設する場合は前提が変わるため、所轄消防署に区分を確認してください。
Q増築の規模を判断する「延べ面積」は、増築部分だけの面積ですか?
A増築部分の面積そのものと、既存部分を含めた基準時の延べ面積の両方を見て判断します。延べ面積の2分の1以上1,000平方メートル以上のいずれかに該当するかどうかがポイントです。

まとめ

学校給食施設は、渡り廊下でつながっていれば校舎と合わせて一つの防火対象物として扱われることがあります
校舎と分離した別棟の給食施設や、複数校で使う給食調理施設は、(12)項イの防火対象物になります
各種学校や塾も、学校の形態をなしていれば(7)項に掲げる防火対象物として扱われるとされました
家族風呂は蒸気浴・熱気浴を用いなければ、単独でも併設でも(9)項ロの公衆浴場に該当します
(9)項ロの家族風呂は、市町村の火災予防条例で自動火災報知設備等の基準を強化できます
棉実は特殊可燃物の綿花類には含まれず、法令による規制の対象になりません
増築部分が延べ面積の2分の1未満かつ1,000平方メートル未満なら、既存の建物に新たな設置義務は生じません

学校給食施設から増築の話まで、実態をよく見て判断すればいいんですね。
よく分かりました。

名称や見た目だけで判断せず、つながり方や規模を確認することが大事です。
迷ったときは所轄消防署に相談してください
㈱防災屋でもご相談を承っています。

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参考・出典

  • 学校給食施設の消防法施行令別表第1上の取扱いについて(昭和40年6月15日 自消予第106号)
  • 防火対象物である物品販売店舗と各種学校及びこれらに類するものの規模、範囲等について(昭和48年10月23日 消防予第140号・消防安第42号)
  • 特殊浴場としての家族風呂に係る疑義について(昭和48年4月21日 消防予第64号)
  • 特殊可燃物中「綿花類」に「棉実」を含めることについて(昭和41年4月19日 自消丙予第46号)
  • 既存防火対象物の増築に伴う消防用設備等の技術上の基準に関する規定の適用について(昭和51年7月29日 消防予第45号)
  • 消防実務六法 質疑応答編

※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。掲載した回答は各通達が発出された当時のもので、告示番号等は当時のものです。その後の改正により運用が変わっている場合があります。個別の事案についての適用は、所轄消防署にご確認ください。

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