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ガソリン携行缶はなぜ高温で噴き出すのか|蓋を開ける前のエア抜き手順を解説

ガソリン携行缶と発電機が炎天下の駐車場に置かれたアイキャッチ画像

平成25年、花火大会の会場でガソリン携行缶からガソリンが噴き出す事故が起き、多数の死傷者が出ました。
携行缶が炎天下や発電機の排熱にさらされると、内部の圧力が上がりガソリンが噴出しやすくなります。
消防庁はこの事故を受けて、携行缶の正しい保管方法とエア抜きの手順を示す通知を出しました。
この記事では通知が示す留意事項と、防火管理者が確認すべき手順を解説します。

うちも駐車場に予備のガソリンを携行缶で置いてるんですが、あれも危険なんですか。

はい。携行缶を炎天下に置くと内部の圧力が上がり、ガソリンが噴き出す事故につながります。
平成25年に消防庁から注意喚起の通知が出ていますよ。

知りませんでした。
具体的にどう扱えばいいんでしょう。

保管場所や蓋の開け方など、通知に手順がはっきり書かれています。
順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • ガソリン携行缶を直射日光の当たる場所や高温の場所に置いてはいけない
  • 平成25年10月4日付け消防危第177号は、福知山花火大会火災を受けて携行缶の安全な取扱いを求めている
  • 携行缶が高温になると内部で気泡が発生し可燃性蒸気が大量に噴き出す
  • 携行缶が熱を持っている場合は、蓋の開放もエア抜きも厳禁で、日陰で6時間程度冷ましてから開ける
  • ミニドラム等の小型危険物容器にも同じ注意事項の表示が望ましい

ガソリン携行缶の保管場所の確認・注油前のエンジン停止・蓋を開ける前のエア抜き・熱を持っている場合は6時間待つという手順を示した図解

なぜガソリン携行缶に注意を求める通知が出されたのか

炎天下に置かれたガソリン携行缶と排熱を出す発電機のイラスト
平成25年8月、京都府福知山市の花火大会で、ガソリン携行缶が原因とみられる火災が発生しました。
消防庁はこの事故を受けて、携行缶の使用実態を調べたうえで注意喚起の通知を出しています。
さて、平成25年8月15日に発生した福知山花火大会火災の原因については現在調査中ですが、ガソリン携行缶が炎天下に長時間置かれていたことに加え、ガソリン発電機の排熱を浴び続けていた可能性があることを踏まえ、同種の事故を防止するために、消防研究センターにおいて、ガソリン携行缶を炎天下に長時間置いた場合やガソリン携行缶が発電機の排熱を浴び続けた場合の性状確認実験等が行われました。(ガソリン携行缶を安全に取り扱うための留意事項について 平成25年10月4日 消防危第177号 消防庁危険物保安室長)
携行缶そのものより、置き場所と熱の当たり方が事故の引き金になりました。
花火大会の会場では、露天の業者が使う発電機のそばに携行缶が置かれ、炎天下と排熱の両方にさらされていたとみられています。
消防研究センターの実験でも、携行缶を高温にさらすと内部の圧力が上がることが確かめられました。
携行缶は普段どおりに使っていても、置き場所ひとつで危険度が変わるという点がこの通知の出発点です。
まずは「携行缶は熱に弱い」という前提を持つことから始めます。

うちのイベントでも発電機のそばに携行缶を置いていました。あれが原因になり得るんですか。

はい。炎天下と発電機の排熱の両方が携行缶を高温にした可能性があります。
次はどんな容器が通知の対象になるか見ていきましょう。

どんな容器が通知の対象になるのか

ガソリン携行缶とミニドラム型の小型危険物容器を並べたイラスト
通知が対象にしているのは、市販のガソリン携行缶だけではありません。
一般の人が使う小型の危険物容器全般に、同じ考え方が広げられています。
3 ガソリン携行缶以外の小型危険物容器に係る注意表示への対応 ミニドラム等の小型危険物容器であって、一般の者がガソリン等を収納することを目的として販売されているものにあっても、1及び2に示した注意事項及び表示の方法を参考にしていただき、当該容器を安全に取り扱うために注意すべき事項について表示することが望ましいこと。(ガソリン携行缶を安全に取り扱うための留意事項について 別紙2)
対象は携行缶という名前の製品に限りません。
発電機用に売られているミニドラム等の小型容器も、ガソリンを入れる以上は同じ危険性を持ちます。
携行缶とミニドラムは形が違っても、直射日光で温まり内部の圧力が上がる仕組みは同じです。
容器を選ぶときは、携行缶かどうかよりガソリンを入れる容器かどうかで考える必要があります。
次の章では、通知が携行缶の扱いに具体的に何を求めているかを見ていきます。

うちは発電機とセットで買ったミニドラムを使っているんですが、それも同じ扱いでいいんですか。

はい。ガソリンを入れる容器であれば、携行缶と同じ注意事項が当てはまります。
次は通知が求める具体的な扱い方を確認しましょう。

通知は携行缶の扱いに何を求めているのか

発電機の電源を切る手とガソリン携行缶のイラスト
通知は携行缶の安全な取扱いとして、大きく3つの留意事項を示しています。
まずは保管場所と使用時の基本的な確認事項から見ていきましょう。
ガソリンは揮発性が非常に高く、蒸気は空気より重いため、低温環境下においてもガソリン携行缶の蓋を開けると可燃性蒸気が出て、静電気火花のような小さな火源でも火災になる可能性があることがわかっている。また、消防研究センターが行った夏季にガソリン携行缶を直射日光の当たる場所に置いた実験等から、携行缶内の液温は約55℃まで上昇するとともに携行缶内圧も上昇することがわかっており、その状態でガソリン携行缶の蓋を開放するとガソリン内部に気泡が発生(低沸点成分が沸騰)し、大量の可燃性蒸気が携行缶外に排出されることもわかっている。(ガソリン携行缶を安全に取り扱うための留意事項について 別紙2)
2 ガソリン携行缶を取り扱う場合は、周囲の安全確認とエンジン停止を徹底すること。(中略)特にガソリン携行缶を用いて発電機等にガソリンを注油する際には、携行缶の蓋を開ける前に発電機等のエンジンを停止することが必要である。(ガソリン携行缶を安全に取り扱うための留意事項について 別紙2)
求められているのは、保管場所とエンジン停止、そしてエア抜きの3つです。
まず、携行缶は直射日光や高温の場所を避けて保管することが基本になります。
発電機にガソリンを注油する際は、周囲の安全を確認したうえでエンジンを停止してから蓋を開けます。
そして蓋を開ける前には、少しずつ空気を抜くエア抜きを行うことが望ましいとされています。
この3つを順番どおりに守ることが、通知が求める安全な取扱いの基本になります。

エア抜きって、普段あまり意識したことがなかったです。

エア抜きは噴き出しを防ぐだけでなく、注油をスムーズにする効果もあります。
次は実務で見落としやすいポイントを確認しましょう。

実務で見落としやすいのはどこか

熱を持ったガソリン携行缶に伸びる手と禁止マークのイラスト
エア抜きは基本の手順ですが、状況によっては行ってはいけない場合があります。
携行缶が熱を持っているときの対応が、実務でもっとも見落とされやすいポイントです。
ただし、直射日光や発電機の排気口等によりガソリン携行缶が暖められている場合は、ガソリン携行缶の蓋の開放のみならずエア抜きも厳禁である。直ちにガソリン携行缶を周囲に火気や人がいない日陰の風通しの良い場所に移動させ、ガソリン温度が常温程度まで下がる6時間程度はおいた後に、ゆっくりとエア抜きをすることが必要である。なお、ガソリン携行缶内部が高温・高圧になっている場合は、ガソリン携行缶の外側が熱くなっていたり、ガソリン携行缶の蓋が固く開けにくくなっている場合があることにも留意されたい。(ガソリン携行缶を安全に取り扱うための留意事項について 別紙2)
熱くなった携行缶は、エア抜きさえもその場でしてはいけません。
「エア抜きは安全な手順」という理解のまま、熱を持った携行缶でその場でエア抜きをしてしまう誤りが起きやすいところです。
携行缶が熱を持っているときは、まず火気や人のいない日陰の風通しの良い場所へ移動させます。
そのうえで常温近くまで下がる6時間程度待ってから、ゆっくりとエア抜きを行います。
携行缶の外側が熱い、あるいは蓋が固いと感じたときは、まだ内部の圧力が高いサインとして扱う必要があります。

暑い日に外に置いていた携行缶をすぐ開けようとしていました。危なかったんですね。

はい。熱いうちは開けずに移動させて、冷めるまで待つことが基本です。
最後に明日から確認する手順をまとめます。

明日から何を確認すればよいのか

ガソリン携行缶の注油口付近に注意ラベルを貼る作業員のイラスト
通知は携行缶の注意事項を、シール等で見える形にして表示することも求めています。
まずは自分の携行缶に表示があるかどうかを確認するところから始めます。
1に示した注意事項の旨をガソリン携行缶の注油口付近の目立つ場所に判読しやすい大きさのシール等により表示することが望ましいこと。(ガソリン携行缶を安全に取り扱うための留意事項について 別紙1)
まず確認すべきは、保管場所と携行缶本体の表示です。
携行缶が直射日光や高温の場所に置かれていないかを見直してください。
注油口付近に注意事項のシールがない場合は、通知が示す内容を参考に表示を追加することを検討します。
ミニドラム等の小型容器を使っている場合も、同じ表示を参考にできないか確認しましょう。
判断に迷う保管方法や表示があれば、早めに所轄消防署へ相談することが実務の基本です。

まずは携行缶の置き場所と表示を確認してみます。

それが一番確実な第一歩です。
エア抜きの手順もあわせて確認しましょう。

よくある質問

Q携行缶を車内に置いて出かけても大丈夫ですか?
A車内は直射日光で高温になりやすいため、通知が避けるよう求める保管場所にあたります。日陰の風通しの良い場所での保管が基本です。
Q携行缶が熱を持っているかどうかは、どこで判断すればよいですか?
A通知は携行缶の外側が熱くなっていたり、蓋が固く開けにくくなっている場合を高温・高圧のサインとして挙げています。
Qエア抜きの無い携行缶を使っている場合はどうすればよいですか?
Aエア抜きが無い製品でも、直射日光や高温の場所を避けるという基本の保管方法は同じように守る必要があります。
Q通知が引く消防組織法の助言の根拠は、今も変わっていませんか?
Aはい。消防組織法第37条の助言に関する規定は、現在まで条文上の変更はありません。

まとめ

ガソリン携行缶が炎天下や発電機の排熱にさらされると内部の圧力が上がる
平成25年10月4日付け消防危第177号は、福知山花火大会火災を受けて携行缶の安全な取扱いを求めている
ミニドラム等の小型危険物容器にも同じ注意事項が当てはまる
発電機への注油前には周囲の安全確認とエンジン停止を徹底する
携行缶が熱を持っている場合は、蓋の開放もエア抜きも厳禁で、日陰で6時間程度冷ましてから開ける
携行缶の外側の熱さや蓋の固さは内部の高温・高圧のサインになる
注油口付近への注意表示と保管場所の見直しが、実務での確認の出発点になる

携行缶、ただ置いておけばいいわけじゃないんですね。
保管場所と表示を見直してみます。

そのとおりです。保管場所とエア抜きの手順を確認すれば安心です。
㈱防災屋でもご相談を承っています。

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参考・出典

  • ガソリン携行缶を安全に取り扱うための留意事項について(平成25年10月4日 消防危第177号 消防庁危険物保安室長)
  • 消防組織法(昭和22年法律第226号)第37条

※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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