変電設備は火を使う設備ではないのに、なぜ消防法上の基準がかかるかご存知でしょうか。
全出力20キロワットを超えると、置き場所や電気室の造りにまで細かい基準が及びます。
設置の届出が必要になる出力とは基準になっている値そのものが違うため、届出が不要でも基準だけは適用される場合があります。
変電設備は火災予防条例(例)第11条により、全出力20キロワットを超えると位置・構造・管理の基準が適用され、設置の届出(第44条)とは別の閾値で規制されています。
うちのビルには電気室があって、キュービクル式の変電設備が入っています。
特に基準は無いですよね。
実は全出力20キロワットを超える変電設備には、位置・構造・管理の基準がしっかり定められています。
え、うちは設置の届出もしていないので対象外だと思っていました。
届出の基準と適用基準の閾値は別です。
順番に確認していきましょう。
- 変電設備は火災予防条例(例)第11条により全出力20キロワット超のものが位置・構造・管理基準の対象になります
- 消防長が認めるキュービクル式や電気事業者用の柱上・道路上設置分は区画等の規定から除外されます
- 屋内の変電設備は不燃材料で区画し窓・出入口に防火戸を設けた室内に設置することが原則です
- 屋外に設ける場合は建築物から3メートル以上の距離を保つ必要があります
- 設置の届出が必要になるのは全出力50キロワット超で、20キロワット超50キロワット以下は届出不要でも基準は適用されます
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目次
なぜ変電設備にも消防法上の基準があるのか

まずはその位置づけを確認します。
炉やこんろのような火を使う設備と同じ条文で、電気設備由来の漏電・短絡による火災のリスクを規制する仕組みです。
この委任を受けて、消防庁が示す火災予防条例(例)を基に各市町村が火災予防条例を定めています。
第11条はその中で変電設備だけを取り出して位置・構造・管理の基準を定めた条文です。
まずは自分の建物の変電設備がこの基準の対象になるかどうかを、次の見出しで確認してください。
火を使う設備の条文に、火を使わない変電設備まで入っているんですね。
はい、「火災の発生のおそれのある設備」という括りに入っています。
次に対象になる範囲を確認しましょう。
どんな変電設備が基準の対象になるのか

出力の大きさと構造によって対象範囲が変わります。
20キロワット以下のものは、そもそもこの基準の対象から外れます。
一方で20キロワットを超えていても、消防長(消防署長)が認める構造のキュービクル式であれば、区画・防火戸の規定(第3号)からは除外されます。
ただし除外されるのは区画の規定だけで、換気・標識・点検記録などほかの号の基準はそのままかかります。
屋外に設ける場合も、柱上・道路上に設置する電気事業者用のものは対象から除かれます。
キュービクル式なら区画も防火戸も一切要らないということですか。
除外されるのは区画・防火戸の号だけです。
換気や標識などほかの基準は残ります。
屋内と屋外でどんな位置構造基準が求められるのか

それぞれの原則と、ただし書きによる例外を確認します。
ただし周囲に有効な空間を保有するなど防火上支障のない措置を講じていれば、この区画の規定は適用されません。
屋外は建築物から3メートル以上の距離を保つのが原則ですが、不燃材料の外壁で開口部が無い面に向けて設置する場合はこの距離の規定も適用されません。
このほか、ダクトやケーブルが壁を貫通する部分の隙間を不燃材料で埋めることや、屋外に通ずる換気設備を設けることも基準に含まれます。
「区画してあるか」だけでなく、ただし書きの条件を満たしているかまで確認してください。
屋外の変電設備が建物の壁にほぼくっついているんですが、それでも大丈夫なんでしょうか。
面する外壁が不燃材料で開口部が無いかを確認してください。
条件を満たさなければ3メートルの距離が必要です。
実務で見落としやすいのはどこか

届出の基準との閾値の違いも合わせて確認します。
点検すること自体は意識していても、結果を記録して保存するところまで実行できているかは別問題です。
さらに気をつけたいのが届出との閾値の違いです。設置の届出が必要になるのは全出力50キロワットを超える場合で、位置・構造・管理基準の対象(20キロワット超)より高い値になっています。
つまり全出力20キロワット超50キロワット以下の変電設備は、設置の届出こそ不要でも位置・構造・管理の基準はそのままかかります。
このほか、変電設備のある室内に油ぼろその他の可燃物をみだりに放置しないことも基準に含まれているため、物置代わりに使っていないかも確認してください。
うちの変電設備は届出をしていないので、20キロワット以下だと思い込んでいました。
届出の要否と基準の適用は別の話です。
実際の全出力を一度確認してみてください。
明日から何を確認すればよいのか

標識と立入制限も基準の一部です。
まず全出力を確認して20キロワット超・50キロワット超のどちらの閾値に当てはまるかを分け、区画・防火戸・換気設備の有無を見ます。
次に見やすい箇所に変電設備である旨の標識があるか、係員以外が自由に出入りできる状態になっていないかを確認します。
そのうえで点検・絶縁抵抗の測定結果が記録・保存されているか、油ぼろ等の可燃物が置かれていないかを見てください。
屋外設置の場合は、建築物からの距離とただし書きの外壁条件も忘れずに確認してください。
点検記録はどこかに書式が決まっているんでしょうか。
条例(例)自体に様式の指定はありません。
記録・保存できる形であれば構いません。
よくある質問
まとめ
届出と基準の閾値が違うとは知りませんでした。
全出力の確認と記録の保存から始めれば大きく外しません。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 消防法第9条(火を使用する設備等の位置、構造及び管理の基準の委任)
- 火災予防条例(例)第11条(変電設備の位置、構造及び管理の基準)
- 火災予防条例(例)第44条第9号(火を使用する設備等の設置の届出)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





