飲食店の厨房にレンジやフライヤーを新しく入れるとき、排気ダクトや天蓋の基準まで気にする方は多くありません。
しかし油を使う厨房設備は火を使用する設備として消防法上の基準の対象になり、排気ダクトや天蓋の構造だけでなく、場合によっては自動消火装置の設置まで求められます。
基準は消防法が市町村条例に委ねる仕組みになっており、条例(例)を読むと具体的な要件が見えてきます。
この記事では厨房設備の位置・構造・管理の基準と、自動消火装置が必要になる条件を整理します。
うちの厨房にもフライヤーがあるんですけど。
排気の上の金網みたいなやつ、何か基準があるんですか。
あります。厨房設備は火を使用する設備として、位置・構造・管理の基準が条例で定められています。
今日は排気ダクトや天蓋の基準から、自動消火装置が必要になる条件まで順番に見ていきましょう。
厨房の工事は業者さんに任せきりで、基準まで確認したことがなかったです。
基準を知っておくと、工事の見積りの段階で業者さんに確認しやすくなります。
まずは厨房設備そのものの位置づけから確認しましょう。
- 業務用のレンジやフライヤーなどの厨房設備は、消防法第9条に基づく市町村条例で位置・構造・管理の基準が定められています。
- 排気ダクトと天蓋は耐食性のある不燃材料で造り、可燃物との間に10センチメートル以上の距離を保つ必要があります。
- 油煙が出る厨房設備の天蓋には、グリス除去装置と火炎伝送防止装置を設けなければなりません。
- 地階の特定用途や高さ31メートルを超える建築物では、入力350キロワット以上の厨房設備の火炎伝送防止装置は自動消火装置でなければなりません。
- 天蓋やグリス除去装置は容易に清掃できる構造にし、油脂の清掃を怠らず維持管理する義務があります。
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目次
厨房設備とはどのような設備を指すのか

まずは厨房設備がどのような位置づけの設備なのかを確認します。
消防法第9条は、かまどや厨房設備など火を使用する設備の位置・構造・管理の基準を、政令で定める基準に従って市町村条例で定めるとしています。
条例そのものは市町村ごとに制定されますが、多くの自治体は総務省消防庁が示す火災予防条例(例)に沿った内容で条例を作っています。
この条例(例)第3条の4が、業務用のレンジ・フライヤー・かまど等をまとめて「厨房設備」と呼び、位置・構造・管理の基準を定めている条文です。
自分の店舗の設備がこの基準の対象になっているかどうかは、まず設備の種類と規模を確認することから始まります。
うちの厨房のレンジも、消防法の基準の対象になるんですね。
はい。業務用のレンジやフライヤーは厨房設備として、位置・構造・管理の基準が条例で定められています。
次は排気ダクトと天蓋の基準を見てみましょう。
排気ダクトや天蓋にはどんな構造基準があるのか

条例(例)はダクトと天蓋の材質から接続方法まで細かく定めています。
接続部分はフランジ接続や溶接など気密性のある方法で仕上げ、途中で油煙が漏れない構造にしなければなりません。
可燃物との間には10センチメートル以上の距離を保つことも条件の一つです。
排気ダクトは他の用途のダクトと接続せず、直接屋外に排出する構造であることも求められます。
工事の際は、施工業者に条例(例)の基準を満たした材質・接続方法かどうかを確認してもらうと安心です。
排気ダクトって、普通の金属ダクトを使えばいいわけじゃないんですか。
耐食性のある不燃材料で、気密性のある接続にする必要があります。
工事のときはこの基準を業者さんに伝えておくと確実です。
油を使う厨房設備にはどんな装置が追加で必要なのか

天蓋に取り付ける装置を確認します。
ひとつはグリス除去装置で、排気に含まれる油脂を取り除き、ダクト内に油が溜まるのを防ぎます。
もうひとつは火炎伝送防止装置で、天蓋側で起きた火をダクトの奥まで伝えない役割を持ちます。
どちらも容易に清掃できる構造であることが条件になっており、点検・清掃のしやすさそのものが基準の一部です。
新しく厨房設備を入れるときは、天蓋にこの2つの装置が組み込まれているかを見積りの段階で確認しておきます。
フライヤーの上のフィルターは、そういう意味があったんですね。
はい。グリス除去装置と火炎伝送防止装置です。
次は、この装置がさらに自動消火装置でなければならない場合を見てみましょう。
どんな厨房設備が自動消火装置を備えなければならないのか

建物の条件と厨房設備の規模の両方を見る必要があります。
対象になる建物は、令別表第1の(1)項から(4)項、(5)項イ、(6)項、(9)項イ、(16)項イなど、不特定多数の人が使う用途を中心に指定されています。
「同一厨房室内に設ける他の厨房設備の入力の合計」で判断するため、1台だけでは基準未満でも複数台の合計で350キロワットを超えることがあります。
この条件に当たらない建物では、火炎伝送防止装置は自動消火装置でなくてもかまいません。
入力の合計を計算するときは、増設や入れ替えのたびに同一厨房室内の他の設備も含めて数え直す必要があります。
うちは地上1階だから大丈夫かと思ってたんですが。
高さ31メートルを超える建物なら地上階でも対象になります。
設備の入力の合計を一度計算してみましょう。
明日から厨房設備の何を確認すればよいのか

明日から確認できる手順を整理します。
まず自店の厨房設備の入力の合計を確認し、350キロワット以上かどうかを把握します。
次に建物が地階の特定用途、または高さ31メートルを超える建物に当たるかを確認し、自動消火装置が必須かどうかを見極めます。
入力の合計が350キロワット以上になる場合は、消防法第9条に基づく条例で設置前の届出が必要になることもあるため、事前に所轄消防署へ確認します。
最後に、天蓋・グリス除去装置・火炎伝送防止装置の清掃記録を残し、点検のたびに油脂の付着状況を確認する習慣をつけます。
うちの場合はまず入力の合計を計算してみます。
それが一番の近道です。
合計が350キロワット以上になりそうなら、自動消火装置と届出の両方を早めに確認しておきましょう。
よくある質問
まとめ
厨房設備にもいろんな基準があるんですね。
今度の見積りで、業者さんに確認してみます。
それが一番確実です。㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 消防法(昭和23年法律第186号)第9条
- 総務省消防庁「火災予防条例(例)」(昭和36年11月22日自消甲予発第73号、最終改正令和5年5月31日消防予第306号)第3条の4・第44条第3号の2
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





