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消毒用アルコールはなぜ消防法上の危険物にあたるのか|保管量に応じた注意点と容器表示を解説

オフィスの受付に置かれた消毒用アルコールのディスペンサーを表すイメージ

新型コロナウイルスの流行をきっかけに、消毒用アルコールを大量に備え置く職場や店舗が増えました。
実は手指消毒液も消防法上の危険物にあたり、保管の仕方を誤ると火災につながるおそれがあります。
消防庁は令和2年、安全な取扱いと容器の表示についてそれぞれ通知を出し、現場に注意を呼びかけました。
この記事では通知が示す注意事項と、防火管理者が確認すべきポイントを解説します。

うちの受付にも消毒用アルコールをまとめて置いてるんですが、これも危険物になるんですか。

消毒用アルコールは消防法の第四類危険物にあたります。
令和2年に消防庁から取扱いの通知が出ていますよ。

知りませんでした。
具体的に何に気をつければいいんでしょう。

保管場所や容器の表示など、通知に基準がはっきり書かれています。
順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 消毒用アルコールは消防法別表第一の第四類アルコール類に分類される危険物である
  • 令和2年3月18日付け消防危第77号は、火気厳禁での使用や換気など安全な取扱いを求めている
  • 令和2年8月28日付けの事務連絡は、容器の容量に応じた表示を求めている
  • 貯蔵・取扱いの量によっては消防法や火災予防条例の手続きが必要になる場合がある
  • 詰め替えた容器にも品名と数量の表示が必要になる

消毒用アルコールの危険物該当性の確認・保管量に応じた手続きの判断・容器の表示・換気と保管場所の確認という手順を示した図解

消毒用アルコールはなぜ通知の対象になったのか

受付カウンターに置かれた消毒用アルコールのボトルと背後のオフィスのイラスト
令和2年、新型コロナウイルス感染症への対応として、手指消毒用のアルコールが職場や家庭で一気に広まりました。
消防庁はこの急増を受けて、危険物としての取扱いを周知する通知を出しています。
今般の新型コロナウイルス感染症の発生に伴い、手指の消毒等のため、消防法(昭和23年法律第186号)に定める危険物の第四類アルコール類に該当する消毒用アルコール(以下「消毒用アルコール」という。)を使用する機会が増えています。消毒用アルコールは火気により引火しやすく、また、消毒用アルコールから発生する可燃性蒸気は空気より重く低所に滞留しやすいため、多量に取り扱う場合には換気が必要であるなど、火災予防に留意する必要があります。(消毒用アルコールの安全な取扱い等について 令和2年3月18日 消防危第77号 消防庁危険物保安室長)
消毒用アルコールは「日用品」ではなく法律上の危険物です。
手指消毒液の主成分はエタノールで、消防法別表第一の第四類アルコール類にそのまま該当します。
新型コロナの感染拡大で製造・流通量が急に増え、扱う場所も店舗や事務所など消防の目が届きにくい場所に広がりました。
だからこそ消防庁は令和2年3月、通常の危険物と同じ注意が必要だと改めて周知したのです。
まず、自分の職場にある消毒用アルコールが対象になるという前提を持つことが出発点になります。

うちは店舗用にボトルをまとめ買いしてるんですが、それも対象になるんですか。

はい。家庭用も業務用も成分がエタノールであれば同じ第四類の危険物として扱われますよ。
次はどこまでが対象になるか見ていきましょう。

消毒用アルコールはどこまで消防法の対象になるのか

複数の消毒用アルコールの容器が並んだ棚と背後の倉庫のイラスト
通知が対象にしているのは、家庭で少量使う場合だけではありません。
貯蔵・取扱いの量が増えるほど、確認すべき法令が変わってきます。
また、消毒用アルコールについては、貯蔵・取扱いの量に応じ、消防法や火災予防条例の規定が適用される場合があり、特に製造企業による増産や各種事業所における保管・使用が増加することに伴い、法令上の手続きや一定の安全対策が必要になることが考えられることから、関係事業所への注意喚起をお願いします。(消毒用アルコールの安全な取扱い等について)
境目になるのは、指定数量という保管量の基準です。
消毒用アルコールを指定数量以上まとめて貯蔵・取扱いする場合は、消防法の許可や届出の対象になり得ます。
指定数量に達しない量でも、市町村の火災予防条例が基準を定めていることがあります。
通知はあわせて、新型コロナ対応で増産が急がれる事情を踏まえ、基準の特例を弾力的に運用するよう消防機関に求めています。
量の把握を怠ると、対象になっていることに気づかないまま保管を続けてしまいます。

少量なら関係ないと思ってました。

量が増えるほど、条例や消防法の基準が関わってきます。
次は通知が具体的に求めている中身を見ていきます。

通知が示す安全な取扱いと容器表示の基準は何か

ラベルの付いた消毒用アルコールの容器とチェックリストの書類のイラスト
通知は大きく分けて、安全な取扱いの注意事項と、容器の表示という2つの基準を示しています。
まずは容器の表示から見ていきましょう。
最大容積が500ミリリットルを超える容器の表示 容器の外部に「危険物の品名」、「危険物等級Ⅱ」、「化学式」、「水溶性」、「数量」、「火気厳禁」の表示を行うこと。なお、表示の字体、大きさ及び色は問わない。(消毒用アルコールの容器に係る適正な表示について 令和2年8月28日 事務連絡 消防庁危険物保安室)
最大容積が500ミリリットル以下の容器の表示 容器の外部に「危険物の通称名」、「数量」、「火気厳禁又は火気厳禁と同一の意味を有する他の表示」の表示を行うこと。なお、危険物の通称名としては「エタノール」や「消毒用エタノール」、火気厳禁と同一の意味を有する他の表示としては「火気の近くで使用しないでください」や「火気を近づけないでください」等の例があること。(消毒用アルコールの容器に係る適正な表示について)
容器の表示は、容量によって求められる項目が変わります。
500ミリリットルを超える容器には、品名や危険物等級、化学式まで含めた詳しい表示が必要です。
500ミリリットル以下の小さな容器では、通称名と数量、火気厳禁の表示があれば足ります。
あわせて通知は、火気の近くでは使用しないことや、可燃性蒸気がたまりやすい密閉空間での多量噴霧を避けることなど、安全な使い方そのものも求めています。
容器の表示と使い方の両方が、通知が求める基準の柱になります。

うちの容器、そこまで細かい表示はしてないかもしれません。

容器の大きさごとの表示項目を、あとで一緒に確認しましょう。
次は見落としやすいポイントです。

現場で見落としやすいのはどこか

大きな容器と表示のない小さなスプレーボトルに禁止マークが付いたイラスト
「容器に火気厳禁と書いてあれば足りる」という思い込みが、見落としの一番の原因になります。
実務では、詰め替えの場面で特に注意が必要です。
消毒用アルコールを容器に詰め替える場合は、漏れ、あふれ又は飛散しないよう注意するとともに、詰め替えた容器に消毒用アルコールである旨や「火気厳禁」等の注意事項を記載すること。(消毒用アルコールの安全な取扱い等について)
見落としやすいのは、詰め替えたあとの表示です。
大きな容器から小さなスプレーボトルへ詰め替えたとき、元の容器のラベルは移りません。
500ミリリットル以下の容器であっても、通称名と数量、火気厳禁の表示は必要です。
社内で配りやすいように小分けにするほど、この表示忘れが起きやすくなります。
詰め替えた容器を見るたびに、表示があるかどうかを確認する習慣が欠かせません。

小分けのボトルには何も貼ってませんでした。

詰め替えたらそのつど表示し直す必要があります。
最後に確認の手順をまとめます。

明日から何を確認すればよいのか

担当者が棚に並んだ消毒用アルコールの保管量を確認するイラスト
通知から日数が経っていますが、確認すべき基準そのものは今も変わっていません。
まずは自分の職場にある消毒用アルコールの量と表示を洗い出すことから始めます。
消毒用アルコールの使用に際して、火気の近くでは使用しないこと。(消毒用アルコールの安全な取扱い等について)
まず確認すべきは保管量と容器の表示です。
職場にある消毒用アルコールの保管量を数え、指定数量に近づいていないかを確認してください。
容器の容量ごとに、500ミリリットルを超えるものと以下のものとで表示項目が違う点も見直します。
詰め替えた小分けの容器に表示が残っているか、換気の良い場所で保管しているかも忘れずに確認しましょう。
判断に迷う量や使い方があれば、早めに所轄消防署へ相談することが実務の基本です。

まずは保管量と表示を確認してみます。

それが一番確実な第一歩です。
容器の表示も一緒に見直しましょう。

よくある質問

Q消毒用アルコールは家庭で使う分にも通知の基準が及ぶのですか?
Aいいえ。通知は主に事業者や住民への周知を通じた注意喚起を目的としており、家庭で少量使う分に許可や届出は必要ありません。ただし保管量が増える場合は注意が必要です。
Q500ミリリットルちょうどの容器はどちらの表示が必要ですか?
A通知は「500ミリリットルを超える容器」と「500ミリリットル以下の容器」で分けているため、500ミリリットルちょうどは後者の簡易な表示が対象になります。
Q消毒用アルコールの保管に許可や届出は必要ですか?
A貯蔵・取扱いの量が消防法の指定数量に達する場合は許可や届出の対象になり得ます。達しない量でも市町村の火災予防条例の基準が及ぶことがあります。
Q通知が引く消防法の危険物の分類は、今も同じ内容ですか?
Aはい。第四類アルコール類の分類は現在まで条文上の変更はなく、消防法別表第一にそのまま定められています。

まとめ

消毒用アルコールは消防法別表第一の第四類アルコール類に分類される危険物である
令和2年3月18日付け消防危第77号が安全な取扱いの注意事項を、令和2年8月28日付けの事務連絡が容器表示の基準を示している
貯蔵・取扱いの量が指定数量に達すると消防法の許可・届出の対象になり得る
指定数量未満でも市町村の火災予防条例の基準が及ぶことがある
500ミリリットルを超える容器と以下の容器とで、求められる表示項目が異なる
詰め替えた容器にも品名・数量・火気厳禁の表示が必要になる
保管量と容器表示の両方を確認することが、実務上の見落とし防止につながる

消毒用アルコール、ただ置いておけばいいわけじゃないんですね。
保管量と表示を見直してみます。

そのとおりです。保管量と容器表示の両方を確認すれば安心です。
㈱防災屋でもご相談を承っています。

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参考・出典

  • 消毒用アルコールの安全な取扱い等について(令和2年3月18日 消防危第77号 消防庁危険物保安室長)
  • 消毒用アルコールの容器に係る適正な表示について(令和2年8月28日 事務連絡 消防庁危険物保安室)
  • 消防法(昭和23年法律第186号)別表第一
  • 消防組織法(昭和22年法律第226号)第37条
  • 危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)第23条

※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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