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防火対象物の使用開始届は誰が出すのか|対象になる建物と罰則の有無を解説

開業前の店舗の窓辺に置かれたクリップボードの書類

新しく店舗や事務所を開くとき消防用設備の設置届のことは思い浮かんでも
建物そのものの使用を始める前に必要な届出は見落とされがちです
使用開始の何日前までに誰が届け出る決まりになっているのでしょうか
使用を始めようとする本人が使用開始の7日前までに消防長(消防署長)へ届け出る決まりになっています。

今度、うちのビルに新しいテナントが入ることになったんです。
建物自体はもう使用開始届を出しているので、今回は関係ないですよね。

実はそうとも限らないんです。
使用する用途が変わるときも、あらためて届出が必要になる場合があります。

え、そうなんですか。
てっきり新築のときだけの手続きだと思っていました。

対象になる建物や届出のタイミングを、順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 令別表第1に掲げるほとんどの防火対象物が対象で、使用開始の日の7日前までに消防長(消防署長)へ届け出る決まりです
  • 届出をするのは実際にその用途で使用しようとする本人で、工事業者ではありません
  • 新築のときだけでなく用途変更や模様替えによる使用開始も対象になります
  • 令別表第1の(19)項・(20)項に掲げる一部の防火対象物は、この届出の対象から除かれています
  • 罰則の有無は市町村の条例ごとに異なり、ひな形となる条例には罰則の定めがありません

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使用開始届は火災予防条例(例)第43条に基づき使用を始める側が使用開始の7日前までに消防長・消防署長へ届け出ることを示した図解

防火対象物の使用開始届とは何を指すのか

書類を持って店舗に向かう人と半分開いたシャッターの店のイラスト
消防用設備の設置届とは別に、建物の使用そのものについて必要になる手続きがあります
それが防火対象物の使用開始届です
火災予防条例(例)第43条(防火対象物の使用開始の届出等) 令別表第1に掲げる防火対象物(同表(19)項及び(20)項に掲げるものを除く。)をそれぞれの用途に使用しようとする者は、使用開始の日の7日前までに、その旨を消防長(消防署長)に届け出なければならない。
使用を始める前に一声かけておく制度です。
建物を新しく使い始めても、消防署はその事実を自動的には把握できません。
そこで使用を始めようとする本人に、開始前の届出を義務づけています。
消防用設備等の設置届が「設備」についての届出であるのに対し、
こちらは建物の使用そのものについての届出という違いがあります。

うちは消防用設備の設置届のほうは出したので、それで終わりだと思っていました。

設置届と使用開始届は別ものなんです。
次はどんな建物が対象になるか見てみましょう。

どんな建物のどんな使用開始が届出の対象になるのか

小さな店舗とオフィスビル、除外される小さな船のイラスト
対象になる範囲はかなり幅広く設定されています
一部の防火対象物は対象から除かれているので、条文で確認します
消防法施行令別表第1 (十九) 市町村長の指定する山林 (二十) 総務省令で定める舟車
令別表第1のほとんどの防火対象物が対象になります。
店舗、事務所、共同住宅、工場など、用途を問わず幅広い建物が届出の対象です。
除かれているのは(19)項の市町村長が指定する山林と(20)項の舟車だけで、いずれも例外的な区分です。
また対象になるのは新築の建物だけではありません。
既存の建物で用途変更や模様替えをして新しい用途に使い始める場合も、同じ届出が必要です。

うちのビルは築年数が古いんですが、それでも関係あるんですか。

建物の古さは関係ありません。
新しく「その用途で使い始める」ことが基準になります。

届出は誰がいつまでに提出するのか

重なったカレンダーのタイルと立てかけられた書類のイラスト
期限と提出する人を取り違えると、開業日に間に合わなくなります
条文の言葉どおりに確認しておきます
火災予防条例(例)第43条 令別表第1に掲げる防火対象物(同表(19)項及び(20)項に掲げるものを除く。)をそれぞれの用途に使用しようとする者は、使用開始の日の7日前までに、その旨を消防長(消防署長)に届け出なければならない。
届け出るのは工事業者ではなく使用する本人です。
条文の届出義務者は「使用しようとする者」であり、実際にその用途で使う本人や事業者を指します。
期限は使用開始の7日前までで、開業日や入居日から逆算して準備する必要があります。
提出先は建物の所在地を管轄する消防署の予防課です。
テナントとして入居する場合も、ビルの所有者任せにせず自分で提出の要否を確認したほうが安全です。

テナントとして入るだけなので、届出はビルのオーナーの仕事だと思っていました。

条文上は使用する本人が届出義務者です。
入居が決まったら早めに確認しましょう。

実務で見落としやすいのはどこか

古い看板が外れ新しい看板が取り付けられる店舗のイラスト
新築のときだけ気をつけていれば足りると考えると、見落としが起こります
実務でつまずきやすい点を確認します
火災予防条例(例)第49条(罰則) 次の各号の一に該当する者は、30万円以下の罰金に処する。一 第30条の規定に違反して指定数量の5分の1以上指定数量未満の危険物を貯蔵し、又は取り扱つた者 二 第31条の規定に違反した者 三 第33条又は第34条の規定に違反した者 四 第42条の3第2項の規定に違反して、同条第1項に規定する火災予防上必要な業務に関する計画を提出しなかつた者
ひな形の条例には第43条違反への罰則がありません。
総務省消防庁が示す火災予防条例(例)の罰則規定は第30条・第31条・第33条・第34条・第42条の3の違反が対象で、使用開始届の第43条は含まれていません。
ただし実際に施行する市町村がこのひな形どおりに定めているとは限らず、独自に罰則を追加している条例も見られます。
「罰則が無いから出さなくてもよい」とは考えず、所轄消防署に確認するのが確実です。
もう一つの落とし穴は、テナントの入れ替えのように見た目の工事を伴わない用途変更でも届出が必要になる点です。

罰則が無いなら、忙しいときは後回しにしてもいいかなと思っていました。

市町村によっては罰則を独自に定めていることもあります。
後回しにせず早めに出しておくのが安心です。

明日からなにをすればよいのか

デスクで書類を書く人と旗が立つ建物のイラスト
開業日が決まったら、逆算して準備を始める必要があります
実務での進め方を整理します
火災予防条例(例)第48条(委任) この条例の実施のための手続きその他その施行について必要な事項は、市(町・村)長が定める。
まず開業日から7日前を逆算しましょう。
使用開始の7日前を締切として、届出書の準備を始めます。
届出書の様式や添付書類は市(町・村)長が定めることになっているため、所轄消防署の予防課に事前に確認します。
消防用設備等の工事を伴う場合は、使用開始届とあわせて工事等計画届出の要否も確認しておくと二度手間になりません。
用途変更や模様替えで使い始める場合も、同じ手順で早めに相談するのが確実です。

まずは所轄の消防署に電話して、必要な書類を確認してみます。

それが一番の近道です。
次はよくある質問で細かい点を確認しましょう。

よくある質問

Q消防用設備等の設置届を出していれば、使用開始届は不要か?
Aいいえ。設置届は消防用設備等についての届出で、使用開始届は建物の使用そのものについての届出です(火災予防条例(例)第43条)。両方が必要になる場合があります。
Qテナントの入れ替えのように用途が変わるだけでも届出は必要か?
A必要です。条文は「それぞれの用途に使用しようとする者」に届出を義務づけており、新築だけでなく用途変更や模様替えによる使用開始も対象になります。
Q届出をしないと罰則があるのか?
Aひな形となる火災予防条例(例)の罰則規定(第49条)には第43条違反が含まれていません。ただし実際の市町村条例では独自に罰則を追加している場合があるため、所轄消防署に確認するのが確実です。
Q(19)項や(20)項の建物は届出が一切不要か?
A使用開始届の対象からは除かれています。ただし(19)項・(20)項以外の用途を併せ持つ建物の場合は、その部分について届出が必要になることがあります。

まとめ

✔令別表第1のほとんどの防火対象物が、使用開始届の対象になります
✔届出の期限は使用開始日の7日前までです
✔届出をするのは、実際にその用途で使用を始める本人です
✔新築だけでなく、用途変更や模様替えによる使用開始も対象になります
✔(19)項・(20)項に該当する防火対象物は、この届出の対象から除かれています
✔罰則の有無は市町村の条例次第で、ひな形となる条例(例)自体には定めがありません
✔開業日が決まったら、まず所轄消防署の予防課へ届出の要否を確認しましょう

設置届のことしか意識していなかったので、まず使用開始届を確認してみます。

それが一番の近道です。
㈱防災屋でもご相談を承っています。

防火管理はプロにお任せ下さい

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法施行令別表第1
  • 火災予防条例(例)(総務省消防庁)第43条・第48条・第49条

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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