自治会館や貸しホールでちょっとした上映会やコンサートを開くことがあります
ふだん劇場として使っていない建物だから消防への届出は要らないと思われがちです
実は消防長(消防署長)へのあらかじめの届出が必要になる場合があります
この記事では対象になる催しと届出義務者を条文で確認します。
うちの会館で今度、地域の映画上映会をやるんですけど。
ふだんは会議室として使っているだけなので、届出とかは要らないですよね。
実はその上映会そのものが、火災予防条例に基づく届出の対象になるんです。
劇場ではない建物で映画や演劇を開く場合が名指しされています。
えっ、うちは劇場じゃないから関係ないと思ってました。
誰が届け出るんですか。出演者の方にお願いすればいいんでしょうか。
いいえ、届出義務者は開催者、つまり主催者側です。
まずは対象になる催しの範囲から一緒に確認しましょう。
- 劇場等以外の建物で演劇や映画などの催物を開くときは、あらかじめ消防長(消防署長)への届出が必要です
- 届出の義務者は開催者(主催者)であり、出演者や演技者ではありません
- 対象になるのは映画・演劇・音楽・スポーツ・演芸・観せ物など、公衆に見せ聞かせる催しです
- 根拠は消防法第9条に基づく市町村の火災予防条例です
- 届出は開催前に行い、内容に変更があれば改めて消防署に確認することが必要です
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目次
劇場ではない建物で催物を開くとどんな届出が要るのか

まずはどんな仕組みでこの届出が生まれているのかを見ていきます
条文は火を使う設備や器具の話が中心に見えますが、末尾に「その他火の使用に関し火災の予防のために必要な事項」という受け皿があります。
この受け皿を根拠に、各市町村の火災予防条例では、火を使う設備だけでなく、催物の開催や煙火の打上げ、水道の断水、道路工事など、消火活動や避難に影響しうる行為も届出の対象に加えています。
つまり建物の用途が劇場であるかどうかではなく、そこで行われる行為の中身で届出の要否が決まる仕組みです。
次の章で、具体的にどんな催しが対象になるのかを確認します。
火を使う設備の話だと思っていたら、催し物まで入ってるんですね。
うちの会館も対象になるということですか。
対象になるかどうかは、次の章で条文の言葉に沿って確認していきましょう。
どんな催しがこの届出の対象になるのか

火災予防条例(例)第45条は、劇場等以外の建物で行う催物の開催をはっきり列挙しています
(3) 劇場等以外の建築物その他の工作物における演劇、映画その他の催物の開催
条文が指す「劇場等」は消防法施行令別表第一(1)項イに掲げる劇場、映画館、演芸場、観覧場などを指し、それ以外の会議室、体育館、工場、宴会場などで演劇・映画その他の催物を行う場合が対象です
何が「催物」にあたるかについて、消防機関の運用では興行場法第1条にある「映画、演劇、音楽、スポーツ、演芸又は観せ物を、公衆に見せ、又は聞かせる」行為が目安とされています
社内の会議やごく限られた身内向けの集まりのように、公衆に見せ聞かせる要素がないものは対象になりません
自分たちの催しがこの範囲に入るかどうかは、開催前に所轄の消防署へ確認しておくと安全です。
うちは公民館の会議室なんですが、地域の方向けに映画を見せる会をやる予定です。
これは対象になりますよね。
はい、劇場ではない建物で不特定多数に見せる映画会は、まさにこの届出の対象になります。
次は誰がいつまでに届け出るのかを見ていきましょう。
届出は誰がいつまでに何を出すのか

届出をするのは誰で、いつまでに出す必要があるのかを確認します
- 届出をするのは開催者(主催者)です。出演者や演技者本人が届け出る義務はありません
- 提出先は会場を管轄する消防署の消防長・消防署長です
- 提出時期は催しを開く前の「あらかじめ」と定められており、開催日の直前ではなく余裕を持って出します
- 水道工事の請負人のように行為を代わりに行う者がいる場合は、その実際の行為者が届出義務者になります
これは条文の解釈でも明確にされていて、演技者や出演者に届出の義務を負わせる規定ではないとされています
届け出る内容は催しの日時や場所、内容など、消防機関が消火活動や避難誘導の準備を整えるために必要な事項です
様式や添付書類は市町村ごとに異なるため、管轄消防署への事前相談が実務上の近道になります
次の章では、この届出でとくに見落としやすいポイントを確認します。
誰が届け出るのかで迷っていたんですが、主催者が出すんですね。
出演してくれる方に頼まなくていいので安心しました。
そうです。開催前の届出さえ済ませておけば大丈夫です。
次は実務でつまずきやすいポイントを見ておきましょう。
実務で見落としやすいのはどこか

代表的なものを確認しておきます
- 火を使わない催しでも対象になります。第45条第3号には対象火気器具の使用という限定がなく、映画の上映や演劇のように火気を伴わない催しでも届出の対象になります
- 「うちは劇場ではないから関係ない」という思い込みが最大の落とし穴です。条文はむしろ劇場等以外の建物を名指ししています
- 届出義務者は開催者(主催者)であり、会場の防火管理者が自動的に届出を担うわけではありません。会場側と主催者側のどちらが出すのかを、催しごとに事前に確認しておく必要があります
「劇場ではないから」「火を使わないから」という理由で対象外だと判断してしまうと、届出のタイミングを逃しやすくなります
会場を借りて催しを開く側と、会場を管理する側の防火管理者とでは、消防法上の立場が異なる点にも注意が必要です
迷った場合は、催しの企画段階で管轄の消防署に問い合わせておくと安心です。
うちの会館を貸すだけで、企画は外部の団体がやるんですが、それでも届出はうちが出すんですか。
いいえ、届出をするのは実際に催しを開く主催者側です。
ただ、会場を貸す側としても、届出が出ているかを確認しておくと安心ですよ。
明日からなにを確認すればよいのか

特別な準備は要りませんが、順番を踏めば迷いません
- 企画段階で、催しの内容が演劇・映画・音楽・スポーツ・演芸・観せ物など公衆に見せ聞かせるものにあたるかを確認する
- 会場が劇場等(映画館・演芸場・観覧場・公会堂・集会場など)にあたらないかを確認する
- 対象になりそうであれば、開催日の前に会場を管轄する消防署へ相談し、届出書の様式と提出期限を確認する
- 届出は主催者の名前で提出し、会場側の防火管理者にも実施日を共有しておく
届出の様式や運用の細かな取扱いは市町村ごとに異なるため、条文だけでは判断しきれない部分が出てきます
早めに相談しておけば、当日の消火器の配置や避難経路の確認など、他の指導もあわせて受けられることがあります
届出を出したあとも、催しの内容に大きな変更があれば、その都度消防署に連絡することが望まれます。
なるほど、企画の早い段階で消防署に相談すればいいんですね。
次に催しをやるときは早めに動いてみます。
それが一番確実です。
届出のことも含めて、気になることがあればいつでもご相談ください。
よくある質問
まとめ
劇場じゃないから関係ないと思い込んでいたので、聞けてよかったです。
催しの企画段階で早めに相談していただくのが一番です。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 消防法第9条
- 火災予防条例(例)(総務省消防庁)第45条
- 興行場法第1条
- 千葉市消防局「火災予防条例に関する運用指針」45.1〜45.3(解釈及び運用)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





