特別避難階段の付室や非常用エレベーターの乗降ロビーに設けられる「特殊な構造の排煙設備」には、排煙口だけでなく給気送風機という専用の送風機が組み込まれていることがあります。
排煙口が開くと同時に給気口へ空気を送り込み、煙が周囲の階段室へ流れ込むのを防ぐ仕組みです。
建築設備定期検査では、この給気送風機の外観・性能・吸込口まで、排煙口の性能とあわせて専用の検査事項に沿って確認されます。
本記事では、排煙口の性能から給気送風機の吸込口まで、17の検査事項をグループに分けて解説します。
前に給気口の話を聞きましたが、そのほかにも送風機のようなものがあるんですか。
はい、給気送風機という専用の送風機が組み込まれていることがあります。
排煙口の開放とセットで動く仕組みです。
送風機まで検査対象になっているとは知りませんでした。
外観・性能・吸込口と、給気送風機だけでも複数の検査事項があります。
順番に見ていきましょう。
- 特別避難階段の付室等の特殊な構造の排煙設備には、排煙口とセットで動く給気送風機が組み込まれていることがあります。
- 排煙口の排煙風量は、室の床面積×1㎥/min・㎡以上、排煙口の開口面積の合計値×550㎥/min・㎡以下であることが判定基準です。
- 給気風道は不燃材料で造られ、防煙壁を貫通する部分はモルタル等ですき間を埋めます。
- 給気送風機は排煙口の開放に連動して自動的に起動し、予備電源でも作動することが求められます。
- 給気送風機の吸込口は、周囲に障害物がなく、屋外の場合は雨水対策も確認します。
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目次
排煙口の排煙風量はどうやって数値で確認するのか

まずは検査事項(37)から(39)まで、排煙口の性能まわりを見ていきましょう。
測定は、排煙口の断面を5箇所に分けて風速計を当て、それぞれ30秒以上かけて平均風速を求めます。
検査事項(38)では、この排煙口の作動状況を中央管理室で確認できるかどうかも検査します(高さ31mを超える非常用エレベーター設置建築物等が対象)。
検査事項(39)では、発煙試験器等で煙感知器を作動させ、排煙口が連動して開放するかを確認します。
換気口の近くや厨房のように煙がこもりやすい場所は誤作動が起きやすいので、感知器の設置場所にも注意が必要です。
風速計で測るなんて、専門的ですね。
はい、5箇所を偏りなく測って計算式に当てはめますので、専門の検査員でないと難しい作業です。
次は風道そのものを見てみましょう。
給気風道の劣化や材質はどこまで検査するのか

検査事項(40)から(43)まで、劣化・材質・取付け・防煙壁の貫通措置を順に確認します。
検査事項(41)の材質では、給気風道が不燃材料で造られていることを確認します。たわみ継手も同様です。
検査事項(42)の取付けでは、接続部や吊りボルトが堅固に固定され、変形・破損・著しい腐食がないかを見ます。
検査事項(43)では、風道が防煙壁を貫通する部分のすき間が、モルタルその他の不燃材料で埋められているかを確認します。
すき間が埋まっていないと、そこから煙が別の区画へ漏れてしまうおそれがあります。
天井裏なんて、見ただけではわかりません。
検査では天井点検口から目視や触診で確認します。
点検口の周りに物を置かないでおくと検査がスムーズです。
給気送風機の設置状況はどこを確認するのか

検査事項(44)(45)は、送風機の設置状況と風道との接続を確認します。
基礎のコンクリートに大きな亀裂や浮き上がりがないか、架台やアンカーボルトのナットが緩んでいないかも見ます。
検査事項(45)では、送風機と給気風道との接続部に空気漏れ・破損・変形がないかを確認します。
また、保守点検のために送風機の周囲におおむね60cm以上の空間が確保されていることも欠かせません。
直結エンジンを設置している場合も、同じだけの空間が必要です。
送風機の周りに物を置かない方がいいんですね。
はい、保守や点検のスペースが確保できないと、いざというときの作業に支障が出ます。
次は送風機の作動そのものを見てみましょう。
給気送風機は排煙口の開放とどう連動しているのか

検査事項(46)から(50)まで、この連動と性能をまとめて確認します。
検査事項(47)では、運転中に異常な音や振動がないかを聴診・触診で確認します。
検査事項(48)では、常用電源が止まっても予備電源により正常に起動するかを確認します。
検査事項(49)の給気風量は、吸込口で5箇所×30秒以上風速を測定し、規定風量の上限値と下限値の範囲に収まっているかを判定します。
検査事項(50)では、高さ31mを超える非常用エレベーター設置建築物等について、中央管理室で送風機の起動と排煙口の開放が確認できるかを見ます。
排煙口が開くと、送風機も自動で動き出すということですね。
そのとおりです。
連動制御盤の表示ランプが正しく点灯するかも、あわせて確認しています。
給気送風機の吸込口はどこに設ければよいのか

検査事項(51)から(53)まで、設置位置・周囲の状況・雨水対策を確認します。
自分が吸い込む空気の中に、別の場所から出た煙が混ざってしまっては本末転倒だからです。
検査事項(52)では、吸込口の周囲に給気を妨げる障害物がないかを確認します。
検査事項(53)では、屋外に設置された吸込口について、浸入した雨水やねずみ等を排出できる措置がとられているかを見ます。
延焼のおそれのある部分に設ける場合は、防火壁を設けるなど防火上有効な措置も必要です。
吸込口の場所まで、そんなに細かく決まっているんですね。
はい、せっかくの給気送風機も、吸込口の位置を間違えると意味がなくなってしまいます。
次はよくある質問をまとめます。
よくある質問
まとめ
排煙口だけじゃなく、給気送風機まで細かく検査されているんですね!
周りに物を置かないよう、気をつけます。
はい、給気送風機の周囲のスペースや吸込口の状態は、日頃のちょっとした確認でも変わってきます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法第12条第3項(e-Gov法令検索)
- 建築基準法施行令第123条第3項第二号・第129条の13の3第13項(e-Gov法令検索)
- 建築基準法施行令第126条の2・第126条の3(e-Gov法令検索)
- 平成12年建設省告示第1437号
- 平成20年国土交通省告示第285号 別記第二号(排煙設備の検査結果表)
※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。検査の方法や判定の運用は特定行政庁や建物の状況によって異なる場合があります。個別の判断は所轄の特定行政庁または専門業者にご確認ください。




