立入検査で「消火器の置き方」を指摘された防火管理者は少なくありません。
消防法施行規則第9条は、消火器具の設置および維持に関する技術上の基準の細目を定めています。
対象になるのは消火器だけでなく、消火バケツや消火水槽、消火砂、消火ひる石も含まれます。
この記事では、高さ・置き場所・転倒防止・標識という4つの細目を、条文にもとづいて整理します。
立入検査のとき、消火器の置き方まで細かく指摘されたことがあって。
消火器具は置くだけでなく、高さや置き場所、転倒防止の措置まで基準が決まっているんです。
うちは消火バケツや消火砂も置いているんですが、あれにも基準があるんですか。
はい、消火器具の5種類すべてが同じ基準の対象になります。
- 消火器具の設置基準の細目は消防法施行規則第9条が定めています
- 対象になるのは消火器だけでなく、消火バケツ・消火水槽・消火砂・消火ひる石を含む5種類です
- 消火器具は床面からの高さが1.5メートル以下の箇所に設けなければなりません
- 凍結・変質・噴出のおそれが少ない場所に設け、地震による転倒防止の措置を講じます
- 設置した箇所には見やすい位置に標識を設ける義務があります
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目次
消火器具は置くだけでは基準を満たさないのはなぜか

それだけでは立入検査に対応したことにはなりません。
消火器具をどこに置くかを決める基準(施行令が定める設置義務)と、
置いたあとにどう保つかを決める基準(規則第9条の細目)は別のものです。
この条文には4つの号があり、高さ・置き場所の環境・転倒防止・標識をそれぞれ定めています。
立入検査で消火器具の置き方を指摘されるのは、この細目のどこかが満たされていないときです。
設置基準は分かるんですが、「維持」の基準というのは何が違うんですか。
設置したあとも適正な状態を保つためのルールです。
高さや置き場所、転倒防止まで含まれます。
基準の対象になるのは消火器だけなのか

規則第9条第4号には、対象になる道具の名前が具体的に列挙されています。
消火バケツ、消火水槽、乾燥砂、膨張ひる石(または膨張真珠岩)も、
消火器と同じ規則第9条の対象です。
古い建物では消火バケツや消火砂だけを置いている区画もありますが、
そこにも種類ごとの標識を見やすい位置に設ける義務があります。
うちにある消火バケツにも、標識を付けないといけないんですね。
そうです。
消火器だけでなく5種類とも、それぞれの名称を表示した標識が必要です。
高さと置き場所には何が決まっているか

規則第9条第1号と第2号は、高さと周囲の環境について基準を定めています。
棚の上や高い位置に置いてしまうと、誰でもすぐ取り出せるという趣旨から外れてしまいます。
あわせて、水や消火剤が凍結・変質・噴出するおそれが少ない場所に設ける必要があります。
屋外や厨房の近くに置く場合は、保護のための有効な措置を講じているかどうかも確認します。
立入検査では、まずこの高さと置き場所の2点が見られます。
倉庫の消火器、棚の上に置いてしまっているかもしれません。
床から1.5メートルを超える位置は基準を満たしません。
次の点検で高さを測ってみてください。
転倒防止の措置はすべての消火器具に必要なのか

規則第9条第3号は転倒防止の措置を求めていますが、例外もあります。
蓄圧式の消火器のように重心が高く、転倒すると薬剤が漏出するものは、
ストラップや専用の据置台で固定することが求められます。
一方で粉末消火器など、転倒しても薬剤が漏れないものは、ただし書により対象から外れます。
建物にある消火器の種類ごとに、この線引きを確認しておく必要があります。
粉末消火器には転倒防止の器具を付けていないんですが、大丈夫でしょうか。
粉末消火器のように薬剤が漏れないものは対象外です。
重心の高い蓄圧式は注意してください。
明日から何を確かめればよいか

建物内の消火器具を、次の観点で見て回ってみてください。
- 設置場所の高さが1.5メートル以下に収まっているか、棚の上などに置いていないか
- 水や湿気の影響を受けやすい場所に、保護のための措置なく置いていないか
- 据置き型や大型の消火器に転倒防止の措置が講じられているか
- 標識が色あせたり物陰に隠れたりして、見やすい位置になくなっていないか
特に倉庫や機械室のような人の出入りが少ない区画では、高さや標識の基準が崩れやすい傾向があります。
一度チェックリストにして各区画を回っておくと、立入検査の当日に慌てずに済みます。
気になる箇所があれば、次の巡回までに是正しておきましょう。
標識が古くなって、文字が読みにくくなっているものがあります。
色あせて読めない状態では基準を満たしません。
次の巡回で交換を検討しましょう。
よくある質問
まとめ
消火器の置き方ひとつで、こんなに基準があるとは思いませんでした!
高さと標識の2点をまず確かめれば大丈夫です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行規則第9条(消火器具に関する基準の細目)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





