排煙設備の排煙機は、建築設備定期検査で必ず確認される機器のひとつです。
火災で煙が充満すると避難や消火活動が難しくなるため、排煙機が確実に作動するかどうかは建物の安全性を大きく左右します。
とはいえ検査当日にどこを見られ、どんな基準で判定されるのか分からないまま迎える方も少なくありません。
本記事では、排煙機に関する10の検査事項を5つの視点に整理し、検査方法と判定基準を解説します。
今度うちのビルで排煙設備の定期検査があるんですが、排煙機の何を見られるのか正直分かっていません。
排煙機は基礎の状態や風道との接続、作動状況など10の検査事項で確認されます。
ひとつずつ順番に見ていきましょう。
停電したときにちゃんと動くかどうかも見られるんですか。
はい、予備電源に切り替えて正常に作動するかどうかも検査項目に入っています。
次から詳しく解説しますね。
- 排煙機の点検は基礎架台の緩みや著しい腐食がないかの確認から始まります。
- 煙排出口は周囲の障害物や雨水の浸入がないことも判定基準に含まれます。
- 排煙口が開放されると、排煙機は自動的に連動して起動しなければなりません。
- 予備電源に切り替えても正常に作動することが判定基準です。
- 排煙風量は実測して算出式で確認し、中央管理室での監視状況もあわせて確認します。
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目次
排煙機の据え付けと風道の接続はどこを確認するのか

だからこそ検査では、まず土台がしっかりしているかどうかから確認します。
電動機を含め排煙機本体が基礎やアンカーボルトに堅固に据え付けられていること、コンクリート基礎に大きなひび割れがないことをチェックします。
あわせて検査事項(2)の排煙風道との接続部についても、破損や変形がないかを目視で確認します。
保守点検のためには排煙機の周囲におおむね60cm以上の空間が必要で、直結エンジンを設置する場合も同様です。
「著しい腐食」にあたるかどうかは、基準書が定める腐食状況の判定基準にもとづいて判断されます。
うちの排煙機、機械室の隅にぎゅうぎゅうに置かれている気がします。
周囲に60cm以上の空間がないと、点検や保守がしにくくなってしまいます。
次の検査までにスペースを見直しておくと安心です。
煙排出口はどんな場所に設けてはいけないのか

検査ではまず、煙排出口そのものの設置場所が適切かどうかを確認します。
換気・空調設備の外気取入口や窓から再び煙が建築物に侵入するおそれがある場所には設置できません。
検査事項(4)のとおり、排出口の前に物が置かれ煙の排出を妨げる障害物があることも是正の対象です。
検査事項(5)では、屋外に設けた排出口から浸入した雨水を排出できるかどうかもあわせて確認します。
延焼のおそれがある部分に設ける場合は、防火壁など防火上有効な措置が講じられているかも見るポイントです。
排煙機の前に物置みたいなものを置いてしまっていました。
それだと煙の排出を妨げる障害物とみなされてしまいます。
すぐに撤去しておきましょう。
排煙口が開いたとき排煙機はどう反応すべきか

排煙口が開いたタイミングに合わせて、正しく反応することが求められます。
排煙口の開放に連動して排煙機が自動的に起動することが判定基準で、人が別途スイッチを押す必要はありません。
起動の方法には、排煙口に内蔵されたリミットスイッチから直接信号を送る方式と、連動制御盤を経由する方式があります。
検査事項(7)の作動の状況では、運転時の異常な音や異常な振動がないかも聴診・触診で確認します。
回転方向が表示どおり正しいかどうかも、あわせてチェックする項目です。
排煙口を開けたら排煙機が勝手に動き出すということですか。
そのとおりです。
連動して自動で起動しないと、それだけで是正の対象になります。
予備電源への切り替えは検査でどう確かめるのか

検査では、そうした場面まで想定した動作確認を行います。
建築基準法施行令が電源を必要とする排煙設備に予備電源の設置を求めているため、検査でも実際に予備電源へ切り替えて作動するかどうかを確認します。
常用電源のときと同じく、運転時に異常な音や異常な発熱がないこと、定格運転中の電圧・電流値が仕様書どおりであることもあわせて見ます。
予備電源で作動しないことが確認されれば、それだけで是正が必要と判定されます。
高さ31mを超える非常用エレベーターが設置された建築物などでは、この作動状況を中央管理室でも監視できることが求められます。
予備電源の盤がどれなのか、正直わかっていません。
機械室の配電盤に表示があることが多いので、次回の検査で調査員に確認してみましょう。
排煙風量はどうやって測定し中央管理室で何を確認するのか

どれだけの風量を出せるかまで、実際に測定して確かめます。
建築基準法施行令第126条の3第1項第九号は、排煙機が1分間に120立方メートル以上、かつ防煙区画部分の床面積1平方メートルにつき1立方メートル以上の空気を排出する能力を持つことを求めています。
検査ではこの式で算出した排煙風量が、これらの基準に適合しているかどうかを確認します。
検査事項(10)では、高さ31mを超える非常用エレベーターが設置された建築物や、各構えの合計が1,000平方メートルを超える地下街について、中央管理室において制御及び作動の状況を確認できることもあわせて判定します。
連動制御盤の「開放」「起動」の表示ランプが点灯するかどうかも、忘れずに確認しておきたいポイントです。
風速計なんて機械、見たことがありません。
検査員が排出口で数か所に分けて測定してくれますので、立ち会うだけで大丈夫です。
よくある質問
まとめ
排煙機がどこを見られているのか、これでかなりイメージがつかめました!
周囲のスペース、次の検査までに見直しておきます。
それは安心です。
お困りの際は㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法第12条(e-Gov法令検索)
- 建築基準法施行令第126条の3(e-Gov法令検索)
- 平成20年国土交通省告示第285号 別記第二号(排煙設備の検査結果表)
※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。検査の方法や判定の運用は特定行政庁や建物の状況によって異なる場合があります。個別の判断は所轄の特定行政庁または専門業者にご確認ください。




