屋内消火栓のホースを持つのは、消防隊員だけとは限りません。
火災に気づいた従業員やテナントの人が、初期消火のために自分でノズルを構えることもあります。
そのとき反動が強すぎてホースを保持できなければ、消火どころではなくなります。
だから施行規則は、ノズル先端の放水圧力に上限を定めています。
うちの消火栓、いざ使うときにホースが暴れたりしないか心配です。
消防隊員が使う前提の力なんですよね。
いいえ、屋内消火栓は在館者が自分で使うことを想定した設備です。
だからこそ、圧力には上限が決められています。
上限があるなんて知りませんでした。
どこで決まっているんですか。
消防法施行規則です。
条文と一緒に、順番に見ていきましょう。
- 屋内消火栓のノズル先端の放水圧力は、0.7メガパスカルを超えないための措置が義務付けられています
- 屋内消火栓は消防隊員だけでなく、在館者が初期消火のために使うことを想定した設備です
- 建物が高くなるほどポンプの全揚程が大きくなり、圧力が上がりやすくなります
- 具体的な措置は消防庁長官が定める基準に適合させ、設計段階で計算して取り付けられます
- 点検では放水圧力の実測値が基準内かどうかを確認します
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目次
屋内消火栓のホースはなぜ力任せに使ってはいけないのか

ノズルから出る水の反動が強すぎれば、持っている人がホースを制御できなくなります。
屋内消火栓は消防隊員だけでなく、在館者が自分で初期消火にあたることを前提にした設備です。
力の弱い人でも扱えなければ、いざというときに設備そのものが役に立ちません。
そこで施行規則は、ノズルの先端における放水圧力が0.7メガパスカルを超えないよう、加圧送水装置に措置を講じることを義務付けています。
この一文が、消火栓の設計と点検の両方を支えている基準になります。
屋内消火栓は誰でも使えるように、力の弱い人でも扱えるようになっているんですね。
消防隊員専用だと思っていました。
そのとおりです、在館者が使うことを前提にした設備です。
だから圧力の上限が細かく決められています。
圧力が上がりやすいのはどんな建物か

建物が高くなるほど、ポンプにかかる負担と配管内の圧力は上がりやすくなります。
落差とは、ポンプから一番遠い、つまり一番高い位置にある消火栓までの高低差のことです。
建物が高くなるほど落差は大きくなり、ポンプはその分だけ強く水を押し上げなければなりません。
すると、ポンプに近い低層階の消火栓では、必要以上に強い圧力がかかりやすくなります。
加圧送水装置の方式を問わず、この圧力超過を防ぐ措置が必要になります。
同じ建物でも、下の階のほうが圧力が強くなりやすいなんて意外でした。
高い建物だと余計に気を付けないといけませんね。
はい、全揚程の計算には建物の高さがそのまま影響します。
高層の建物ほど、この措置が重要になります。
圧力を抑える措置とは具体的に何を指すのか

どんな措置で0.7メガパスカルの範囲に収めているのでしょうか。
実務では、ノズルや配管の途中に水の通り道を絞る部品を組み込んだり、階ごとに送水の系統を分けたりする方法がとられます。
これらは建物の高さや配管の長さに合わせて、設計の段階で計算したうえで取り付けられるものです。
現場の判断で後から付け外ししてよい部品ではありません。
点検のときには、この部品が正しく機能しているかどうかも確認の対象になります。
減圧のための部品って、点検のときに自分たちで見分けられるものなんですか。
部品そのものは専門的なので、点検資格者に確認してもらうのが確実です。
実務で見落としやすいのはどこか

圧力の数値そのものが、基準の範囲に収まっているかどうかが問われます。
ホースやノズルを古くなって交換するとき、規定と違う部品に替えてしまうと、この圧力のバランスが崩れることがあります。
消防用設備等の点検では、実際にノズルを開いて放水圧力を測定し、点検票に数値を記録する項目があります。
交換や改修の履歴が図面や点検票にきちんと残っているかどうかも、見落としやすいポイントです。
「水は出る」というだけで安心せず、数値まで確認する意識を持っておきましょう。
点検報告書は、水が出たかどうかしか見ていませんでした。
圧力の数値の欄も、次回からぜひ見てみてください。
明日から何を確認すればよいのか

点検の記録と、交換工事のときの依頼先を押さえておくことが基本になります。
次に点検報告書を受け取ったら、屋内消火栓の欄に圧力の数値が記入されているかを確認してみてください。
数値に異常があれば、点検業者から指摘が入っているはずです。
ホースやノズルの交換・改修工事をするときは、消防設備士など資格を持つ業者に依頼し、圧力の計算をやり直してもらいましょう。
自己判断で部品だけを取り替えることは避けてください。
交換工事のときは、業者さんに圧力のことも聞いてみます。
それが一番確実な確認方法です。
よくある質問
まとめ
これからは点検報告書の圧力の数値も見るようにします!
数値まで見ていただければ安心です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法第17条第1項
- 消防法第17条の3の3
- 消防法施行規則第12条第1項第7号ニ・ホ
- 消防法施行規則第12条第1項第7号ハ(ロ)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





