オフィスや店舗で煙や炎に気づいたとき、多くの人がまず考えるのは「消火できないか」ということです。
けれど、その前にしなければならないことがあります。
「もう誰かが119番しているはずだ」という思い込みが、通報の遅れにつながることもあります。
この記事では、消防法第24条が定める通報義務の範囲と、虚偽通報にまつわる罰則を、実際の条文にもとづいて解説します。
火災報知機が鳴ったので確認しに行ったら、小さな煙が見えました。
落ち着いてください。
消防法は、発見した人に通報の義務を課しています。
でも、もう誰かが119番しているかもしれません。
その思い込みが一番危険です。
気づいた人には、消防隊が来るまで通報の義務があります。
- 消防法第24条第1項は火災を発見した者に通報義務を課しています
- 通報先は消防署、または市町村長が指定した場所です
- 「発見した者」に立場や順番の限定はなく気づいた人全員に義務が生じ得ます
- 通報義務そのものには直接の罰則がありませんが、道徳的な義務とされています
- 正当な理由なく虚偽の通報をすると三十万円以下の罰金又は拘留に処せられます
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目次
火災を見つけたらまず何をしなければならないのか

消防法は、発見した本人に通報の義務を課しています。
初期消火や避難誘導に気を取られて通報が後回しになりがちですが、条文は「遅滞なく」と定めており、猶予を認めていません。
自動火災報知設備の受信機が作動した段階でまだ現地を確認していなくても、火元を目視できた時点で通報義務は生じます。
「様子を見てから」と判断を先延ばしにすることは、この条文が想定する行動ではありません。
まずは119番、それから初期対応という順番を徹底することが出発点になります。
煙が見えたら、まず何をすればいいんですか。
まずは通報です。
消火や避難誘導より、119番を優先してください。
通報の義務を負うのはどんな人なのか

誰が義務を負い、いつまでその義務が続くのかを整理します。
- 条文の「火災を発見した者」に立場の限定はなく、最初の発見者である必要もありません
- 火元の関係者はもちろん、近隣の人や通行人でも、火災に気づけば通報義務を負います
- 消防車が現場に到着した、または到着しつつあることが明らかな場合、それ以降に気づいた人に通報義務は生じません
条文は「火災を発見した者」とだけ定めており、立場や順番を問いません。
同じ火災を複数の人が別々に目撃すれば、その全員が通報義務を負う可能性があります。
一方で、消防車がすでに現場に到着している、または到着しつつあることが明らかな状況で気づいた人には、この義務は生じません。
自分の火の不始末で出火させた本人であっても、発見した以上は同じように通報しなければなりません。
自分が最初に見つけたわけじゃなくても、通報しないといけませんか。
はい、発見した順番は問いません。
気づいた人には、それぞれ通報の義務があります。
通報先はどうやって決まっているのか

条文は通報先の仕組みと、周囲の人の協力義務も定めています。
消防本部・消防署が置かれている地域では消防署が通報先になり、電話であれば局番なしの119番が直接消防機関につながります。
消防署が置かれていない地域では、市町村長があらかじめ消防団の詰所や役場などを指定し、住民に周知する仕組みになっています。
条文はさらに、通報しようとする人に電話を貸す、代わりに連絡するなど、周囲の協力義務も定めています。
自分のスマートフォンや職場の電話がすぐ使える状態かどうかも、日ごろから確認しておく価値があります。
119番以外にも通報先があるんですか。
消防署が無い地域では、市町村長が指定した場所に通報します。
地域ごとに確認しておくと安心です。
実務で見落としやすいのはどこか

一方で、通報のしかたを誤ると別の条文で罰則に触れることがあります。
条文に違反しても、通報しなかったこと自体を理由に処罰される規定はありません。
しかし正当な理由のない虚偽の通報をした場合は話が別で、三十万円以下の罰金又は拘留の対象になります。
さらに火災報知機の発信機をいたずらに押すなど、みだりに使用したり正当な使用を妨げたりすれば、消防法第18条第1項違反として別に罰則が科されることもあります。
「本当か確信が持てない」ことは通報をためらう理由にはならず、故意の虚偽通報だけが処罰の対象になる点を正しく理解しておく必要があります。
半信半疑で通報したら、罰せられますか。
大丈夫です。
罰則の対象は、正当な理由のない虚偽の通報だけです。
明日からなにをすればよいのか

防火管理者として明日からできることを整理します。
社内の報告ルートを先に通そうとして通報が遅れる事例があるため、通報と社内連絡は同時並行で行うよう手順化しておきます。
自動火災報知設備が作動した際は、確認担当者が現地で煙や炎を確認した時点で速やかに119番する体制を消防計画に落とし込みます。
火災報知機やその他の消防用設備を訓練以外でいたずらに使わないよう、日ごろから従業員に伝えておくことも欠かせません。
市町村長が指定した通報先がある地域では、その場所と連絡手段をあらかじめ確認しておきましょう。
分かりました、まず通報を最優先にするよう社内で共有します。
通報が最優先だと徹底しておけば、いざというときにも迷わず動けます。
よくある質問
まとめ
通報のタイミングを、これでちゃんと覚えられました。
いざというときは、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法第24条(火災発見の通報)
- 消防法第44条(罰則)
- 消防法第18条(火災報知機等の使用制限)
- 消防法第25条(応急消火義務等)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。




