粉末消火設備の消火剤には、消防法施行規則が定める四つの種類があります。
なかでも駐車場や道路の用に供される部分は、使える消火剤の種類が第三種粉末に限定されています。
消火剤の量も、全域放出方式・局所放出方式・移動式で求め方がまったく異なります。
この記事では、消火剤の種類分けと量の決まり方を、条文に沿って整理します
うちの駐車場、粉末消火設備が入ってるんですけど、消火剤ってどれも同じだと思ってました。
種類が決まってるんですか。
消火剤は消防法施行規則第二十一条で四つの種類に分かれていて、主成分が違います。
駐車場や道路は、その中の第三種粉末に限られているんです。
なるほど、場所によって使える種類が変わるんですね。
じゃあ量も種類ごとに違ったりするんですか。
はい、全域放出方式・局所放出方式・移動式で求め方も変わります。
順番に見ていきましょう。
- 粉末消火設備の消火剤は、消防法施行規則第二十一条が定める四つの種類(第一種〜第四種粉末)のいずれかを使う
- 駐車場や道路の用に供される部分に設ける粉末消火設備の消火剤は、第三種粉末に限られる
- 全域放出方式の消火剤の量は、防護区画の体積を基準に消火剤の種類ごとの割合で計算する
- 局所放出方式は表面積や計算式、移動式はノズル一本あたりの量という別の基準で求める
- 充てん消火剤量や消火剤の種類は、貯蔵容器等の見やすい箇所に表示されている
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目次
粉末消火設備の消火剤はなぜ4種類に分かれているのか

ですが消防法施行規則の条文上は、主成分が違う四つの種類に分かれています。
同条第三項第一号イの表 炭酸水素ナトリウムを主成分とするもの(第一種粉末)、炭酸水素カリウムを主成分とするもの(第二種粉末)又はりん酸塩類等を主成分とするもの(第三種粉末)、炭酸水素カリウムと尿素との反応物(第四種粉末)
第一種粉末は炭酸水素ナトリウム、第二種粉末は炭酸水素カリウムを主成分とし、いずれも重炭酸塩の仲間です。
第三種粉末はりん酸塩類等を主成分とし、第四種粉末は炭酸水素カリウムと尿素の反応物を主成分とします。
条文は消火剤の名称と主成分を挙げるだけで、性能の優劣までは書いていません。
どの種類が使われているかは、このあと見る貯蔵容器等の表示で確認できます。
同じ白い粉に見えるのに、四つも種類があるんですね。
うちの設備はどれなんでしょう。
貯蔵容器等の表示を見れば分かります。
点検のところで確認のしかたをお伝えします。
駐車場や道路になぜ第三種粉末しか使えないのか

駐車場と道路の用に供される部分がその代表です。
同項第一号の二 道路の用に供される部分には、全域放出方式又は局所放出方式の粉末消火設備を設けてはならない。
同条第五項第一号 道路の用に供される部分に設ける粉末消火設備に使用する消火剤は、第三種粉末とすること。
駐車場に設ける粉末消火設備は、方式を問わず消火剤が第三種粉末に限られます。
道路の用に供される部分では、そもそも全域放出方式や局所放出方式そのものを設置できず、移動式だけが対象になります。
その移動式についても、道路部分に使う消火剤は重ねて第三種粉末に限定されています。
新設や更新の相談を受けたときは、まず用途が駐車場や道路に当たるかどうかを確認することが出発点になります。
うちは立体駐車場なんですけど、消火剤の種類まで気にしたことなかったです。
駐車場は第三種粉末という決まりがありますので、更新のときは種類も必ず確認します。
全域放出方式では消火剤の量がどう決まるのか

全域放出方式では、防護区画の広さそのものが基準になります。
同号ロの表 開口部に自動閉鎖装置を設けない場合に加算する量は、開口部の面積一平方メートル当り第一種粉末四・五キログラム、第二種粉末又は第三種粉末二・七キログラム、第四種粉末一・八キログラム
同じ体積の部屋でも、第一種粉末は0.60キログラム毎立方メートル必要で、第二種粉末・第三種粉末の0.36キログラムより多い量になります。
さらに開口部に自動閉鎖装置が無い場合は、開口部の面積に応じた量を加算しなければなりません。
自動閉鎖装置が正常に働くかどうかは、必要な消火剤の量そのものに直結する点検項目だと分かります。
同一の防火対象物に防護区画が複数あるときは、それぞれ計算した量のうち最大の量以上を貯蔵する決まりです。
部屋の広さだけじゃなくて、扉が閉まるかどうかまで量に関わってくるんですね。
はい。
自動閉鎖装置の不具合は、消火剤の量の基準にも影響します。
局所放出方式や移動式ではなぜ計算のしかたが変わるのか

量の求め方も、体積とはまったく別の考え方になります。
同号ロ Q=X-Y(a/A)の式によるときのX及びYの値は、第一種粉末がX五・二、Y三・九、第二種粉末又は第三種粉末がX三・二、Y二・四、第四種粉末がX二・〇、Y一・五。
同項第四号 移動式は、一のノズルにつき第一種粉末五十キログラム、第二種粉末又は第三種粉末三十キログラム、第四種粉末二十キログラム以上
燃焼面が一面に限られる場合は表面積法で計算しますが、それ以外の場合は壁の面積の割合を使うQ=X-Y(a/A)という式に切り替わります。
壁で囲まれた割合が高いほど必要な量が減る仕組みで、全域放出方式の体積基準とは考え方そのものが異なります。
移動式はさらに単純で、一本のノズルにつき第一種粉末なら50キログラムというように、あらかじめ決まった量を満たせばよい基準です。
方式ごとに求め方が違うため、点検の記録を読むときは、その設備がどの方式で設計されているかを先に確認する必要があります。
局所放出方式と移動式、そんなに計算の考え方が違うとは知りませんでした。
方式を取り違えると量の基準も変わりますので、点検記録では必ず方式を確認します。
点検のとき何を確認すればよいのか

まずは貯蔵容器等そのものの表示を確認します。
同項第二号の表 貯蔵容器等の充てん比の範囲は、第一種粉末〇・八五以上一・四五以下、第二種粉末又は第三種粉末一・〇五以上一・七五以下、第四種粉末一・五〇以上二・五〇以下
表示には充てん消火剤量・消火剤の種類・製造年月・製造者名などが記されており、種類ごとの基準と食い違いがないかを照らし合わせられます。
充てん比も種類ごとに範囲が決まっており、0.85から2.50まで種類によって幅があります。
駐車場であれば第三種粉末になっているか、防護区画の広さに見合う量が入っているかも、あわせて確認したい点です。
専門的な数値の適合判断は点検資格者に委ねつつ、防火管理者としては表示の有無と用途との整合を日常点検で見ておくと安心です。
表示を見れば、種類も量もある程度は自分でも確認できそうです。
はい。
詳しい適合判断は点検資格者にお任せください。
よくある質問
まとめ
粉末消火剤の種類と量の決まり方がよく分かりました!
消火剤の種類や量の確認でご不明な点があれば、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行規則第二十一条第一項・第三項・第四項・第五項(粉末消火設備に関する基準)
- 消防法施行令第十二条(消火設備に関する基準)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





