クラウドサービスの普及にともない、輸送用コンテナの中にサーバーや電源を詰め込んだ「コンテナ型データセンター」が工場や物流施設の敷地に置かれる例が増えています。
一見どこにでもある箱のようですが、消防法令上はどう扱われるのか分かりにくい設備でもあります。
そこで平成23年、消防庁は国土交通省と足並みをそろえ、コンテナ型データセンターの取扱いに係る運用指針を全国の消防機関に通知しました。
敷地内にコンテナ型データセンターを置く・置かれる立場になったとき、消防法令上どこまで確認が必要なのかを、この記事で確認しておきましょう。
工場の空き地にコンテナ型のデータセンターを置きたいという相談を受けたんですが、消防法上どう扱われるのか分からなくて困っています。
実は消防庁が運用指針を通知していて、単体で置くか積み重ねるかで扱いが変わってくるんです。
積み重ねると変わるんですか。
詳しく教えてください。
順番に見ていきましょう。
- 平成23年3月31日、消防庁はコンテナ型データセンターの消防法令上の取扱いに係る運用指針を通知しました
- 対象は輸送用等のコンテナにサーバー・電源・通信配線・空調設備等を格納しデータセンターとして使用するものです
- 一般的な単体のコンテナは通常、消防用設備等の設置義務を生じる規模には達しないとされています
- 複数のコンテナを積み重ねる等により単一の防火対象物として相当規模に達する場合には設置義務が生じ得ます
- 設置単位の原則は一のコンテナであり、構造的な結合の有無で扱いが変わります
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目次
コンテナ型データセンターの消防法令上の扱いはなぜ指針で示されたのか

クラウドサービスの需要拡大にともない、輸送用コンテナを利用したデータセンターが工場や物流施設の敷地に置かれる例が増えてきました。
一般的な建物とは形が違うため、消防法令上どう扱うのか現場で判断に迷う相談が消防機関に寄せられていました。
建築基準法の通知と足並みをそろえて出された運用指針です。
消防庁は平成23年3月31日、消防組織法第37条に基づく助言としてこの通知を発出しました。
同じ時期に国土交通省住宅局建築指導課長からも、コンテナ型データセンターが建築基準法上の建築物に該当するかどうかを整理した通知が各都道府県あてに出されています。
2つの通知はセットで読む前提になっており、消防法令の扱いは国交省通知の判定結果を踏まえて決まる仕組みです。
コンテナという新しい形態の設備だからこそ、まず基準が明確にされたと理解しておくとよいでしょう。
国交省の通知とセットになっているとは知りませんでした。
建築基準法の判定が先に来る仕組みなんです。
次は指針の対象を見ていきましょう。
どんなコンテナ型データセンターがこの指針の対象になるのか

指針が対象にしているのは、コンテナの中にサーバーや電源などを格納してデータセンターとして使うものです。
外見が似ていても、中身によって指針の対象になるかどうかが決まります。
定義の軸は「サーバーとしての機能を果たす設備一式」です。
輸送用等のコンテナの中にサーバー・電源・通信配線・空調設備その他これらに類するものを格納し、データセンターとして使用するものが指針の対象です。
資材置き場として使っているだけのコンテナや、単なる倉庫としてのコンテナは対象になりません。
一般的なコンテナは面積30平方メートル程度とされ、この規模を単体で用いる場合が指針の基本的な想定です。
まずは自社の敷地に置かれている・置こうとしているコンテナがこの定義に当てはまるかを確認するところから始めましょう。
サーバーを積んでいるかどうかがポイントなんですね。
そのとおりです。
次は設置義務がいつ生じるのかを見ていきましょう。
コンテナ型データセンターに消防用設備等の設置義務はいつ生じるのか

コンテナ型データセンターの用途は、電気室や通信機器室に近い実態として扱われます。
問題は、その規模がどこまで達すると消防用設備等の設置義務が生じるかです。
用途区分は(15)項の「事業場」に原則として該当します。
火災予防上の実態が電気室や通信機器室と同様であることが理由で、他の用途にも用いている場合は個別の実情を勘案して総合的に判断されます。
一般的な単体のコンテナ(面積30平方メートル程度)は、通常、消防用設備等の設置義務を生じる規模には達しないと考えられています。
一方で、複数のコンテナを積み重ねる等により単一の防火対象物として相当規模に達する場合には、設置義務を生じることもあり得ます。
単体なら安心というわけではなく、規模の判定は敷地全体の使い方次第で変わってくる点に注意が必要です。
1台だけなら関係ないと思っていましたが、増設したら話が変わりそうですね。
その増設の判断こそ次の設置単位の考え方がかかわってきます。
詳しく見ていきましょう。
コンテナの接続の仕方で設置単位はどう変わるのか

規模の判定と同じくらい実務で見落としやすいのが、設置単位の考え方です。
コンテナ同士がどうつながっているかで、一の設置単位になるか別になるかが変わります。
原則は「一のコンテナ=一の設置単位」です。
設置単位は消防法施行令第8条・第9条・第19条第2項・第27条第2項のような特段の規定がない限り、敷地全体ではなく一のコンテナ単位で判定されます。
建築物とコンテナ、またはコンテナ同士が溶接等により構造的に結合されたり渡り廊下でつながったりしている場合は、原則として一の設置単位としてまとめて扱われます。
反対に、単に接して置かれているだけ、あるいは配線・配管・ダクトだけでつながっている場合は、別の設置単位のままです。
コンテナを増設するときは、渡り廊下を設けるのか配線だけでつなぐのかという工事の仕方そのものが、消防法令上の扱いを左右することになります。
渡り廊下でつなぐかどうかまで工事の設計段階で考える必要があるんですね。
接続方法まで含めて設置単位が決まります。
次で明日からの確認事項をまとめます。
敷地にコンテナ型データセンターを置くとき明日から何を確認すればよいか

最後は自主防火体制の構築と、管理主体が異なる場合の見落としやすい点です。
敷地に置く側として、明日から確認できる形にまとめておきましょう。
まず自社の消防計画にコンテナを組み込んでください。
敷地内にコンテナが置かれた場合は、そのコンテナを消防計画の範囲内に含めるなど、コンテナも含めた自主防火体制の構築が必要です。
コンテナ内やその周囲に電気設備等がある場合は、コンテナの外壁等を建築物の外壁等とみなして火気設備等の基準が適用されます。
見落としやすいのは、コンテナ型データセンターの管理主体が敷地内の防火対象物の管理権原者と異なる場合で、この場合は管理権原が異なる防火対象物として別に防火管理体制を構築しなければなりません。
管理主体がすぐに現場へかけつけられない事情があるなら、近隣の防火対象物との連絡体制もあわせて整えておきましょう。
管理会社が違うコンテナは別扱いになるんですね。
消防計画も見直しておきます。
管理主体の違いが防火管理体制の分け方に直結します。
まとめで全体を振り返りましょう。
よくある質問
まとめ
コンテナ型データセンターの設置単位の考え方がよく分かりました!
まずは自社の消防計画への組み込みから確認してみてください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- コンテナ型データセンターに係る消防法令上の取扱いについて(平成23年3月31日 消防予第96号)
- コンテナ型データセンタに係る建築基準法の取扱いについて(平成23年3月25日 国住指第4933号)
- 消防組織法(昭和22年法律第226号)第37条
- 消防法施行令(昭和36年政令第37号)別表第一(15)項・第8条・第9条・第19条第2項・第27条第2項
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





