特定建築物の定期報告は、報告書を提出すればそれで完結するわけではありません。
建築基準法第12条には、報告のあとも特定行政庁が状況を確かめ続けられる仕組みが用意されています。
所有者だけでなく、設計者や工事施工者にまで報告を求めたり、現地に立ち入って検査したりする権限がそれです。
実はこの確認に応じなかった場合の罰則は、定期報告そのものを怠った場合より重く定められています。
定期報告さえ済ませておけば、それで終わりだと思っていました。
実は報告のあとも、行政から個別に確認が入ることがあります。
確認された場合、何に気をつければよいのでしょうか。
応じ方を間違えると、定期報告を怠るより重い罰則になることがあります。
順番に見ていきましょう。
- 建築基準法第12条には、特定行政庁が報告を求めたり立入検査をしたりできる仕組みがあります
- 報告や書類の提出を求められるのは所有者だけでなく、設計者や工事施工者など幅広い関係者です
- 特定行政庁は調査・検査の結果を台帳として整備し、建物が無くなるまで保存し続けます
- 求められた報告を拒んだり虚偽の報告をしたりすると、1年以下の拘禁刑を含む罰則の対象になります
- 立入検査や質問を拒み妨げた場合も同じ重さの罰則で、住居部分には居住者の承諾が必要です
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目次
建築基準法の定期報告はなぜ出したあとも行政との関わりが続くのか

条文には、報告のあとも行政が状況を確かめ続けられる規定が置かれています。
特定行政庁・建築主事等・建築監視員は、法律が定める対象者に対して報告を求める権限を持っています。
これは第12条第1項・第3項の定期報告そのものとは別に置かれた、独立した確認の仕組みです。
つまり報告書を1回提出したあとも、必要に応じて個別の確認が入ることがあると考えておく必要があります。
報告を出したらそれで一区切りだと思っていました。
誰が確認の対象になるかを、次に見ていきましょう。
誰が報告や書類の提出を求められるのか

条文は対象者を具体的に列挙しています。
一 建築物若しくは建築物の敷地の所有者、管理者若しくは占有者、建築主、設計者、建築材料等を製造した者、工事監理者、工事施工者又は建築物に関する調査をした者
二 (略)指定確認検査機関
三 (略)指定構造計算適合性判定機関
所有者・管理者・占有者だけでなく、設計者や工事施工者、調査をした建築物調査員なども対象です。
確認検査を行った指定確認検査機関、構造計算の適合性を判定した機関も同じく対象になります。
さらに第6項では、特定行政庁や建築主事等が帳簿や書類そのものの提出を求めることもできます。
所有者の自分だけが答えればよいと思っていました。
設計者や施工業者にも連絡が行くことがあります。
関わった業者の連絡先も控えておきましょう。
特定行政庁の台帳には何が記載されいつまで保存されるのか

条文は、特定行政庁に台帳の整備を義務づけています。
台帳は建築物に係るもの・建築設備に係るもの・防火設備に係るものなど、種類ごとに分けて記載されます。
台帳そのものは、その建物が滅失又は除却されるまで保存され続けます(施行規則第6条の3)。
つまり自分の建物の報告履歴は、行政の側に建物が無くなるまで残り続けると考えておく必要があります。
台帳がそんなに長く残るとは知りませんでした。
建物が建っている間はずっと残ります。
過去の報告内容と食い違いが出ないよう気をつけましょう。
定期報告を怠るより重い違反があるのはなぜか

条文を比べると、その差がはっきり分かります。
五 第十二条第五項(第一号に係る部分に限る。)(略)の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
六 第十二条第六項(略)の規定による物件の提出をせず、又は虚偽の物件の提出をした者
七 第十二条第七項(略)の規定による検査若しくは試験を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して答弁せず、若しくは虚偽の答弁をした者
ところが特定行政庁から個別に求められた報告を拒んだり虚偽の報告をしたりすると、1年以下の拘禁刑を含む罰則の対象になります。
帳簿や書類の提出を拒んだ場合、そして条文にある立入検査や質問を拒み妨げた場合も、同じ重さの罰則です。
定期報告を1回忘れることより、行政からの個別の確認をないがしろにするほうが重く扱われています。
忙しいときは、うっかり後回しにしてしまいそうです。
個別の確認だけは後回しにしないでください。
連絡が来たら期限内に応じましょう。
明日からなにをすればよいのか

条文には、立入検査に応じるうえでの決まりも置かれています。
住居に立ち入るときは、事前に居住者の承諾を得ることが条文上の条件です。
調査や検査を担当した建築物調査員・建築設備等検査員の記録は、自分の側でも控えておきます。
立入検査に対応する担当者をあらかじめ決めておくと、実際に連絡が来たときも慌てずに済みます。
共同住宅の場合は、入居者にも伝えておく必要がありますね。
そのとおりです。
住居部分の承諾は事前に周知しておきましょう。
よくある質問
まとめ
報告のあとの話まで考えないといけないとは、思ってもいませんでした!
行政からの連絡への備えまで含めて、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法第12条第5項〜第9項(昭和25年法律第201号)
- 建築基準法第99条・第101条・第102条(昭和25年法律第201号)
- 建築基準法施行規則第6条の3(昭和25年建設省令第40号)
※本記事は建築基準法・同施行規則にもとづき、㈱防災屋が独自に解説を作成したものです。報告徴収や立入検査への具体的な対応は、所轄の特定行政庁(建築指導課等)にご確認ください。





