危険物を貯蔵したり取り扱ったりする製造所・貯蔵所・取扱所は、許可を受けただけではまだ使うことができません。
市町村長等が行う完成検査に合格して、初めて稼働させることが認められます。
ただし変更工事に関わっていない部分だけは、承認を受ければ検査前でも動かせる仕組みがあります。
この記事では、完成検査前の使用禁止と仮使用が認められる範囲、違反したときの罰則までを条文から確認します。
新しく建てたタンクなんですが、検査の予約が先になりそうで困っています。
原則はできません。
市町村長等の完成検査に合格するまでは、施設を使うこと自体が認められていないんです。
じゃあ、変更した部分以外はどうなんですか。
前からある設備まで止めないといけないのはきついです。
工事に関係ない部分だけは、承認を受ければ検査前でも仮に使用できます。
その範囲と手続きを一緒に見ていきましょう。
- 完成検査に合格するまで危険物施設は使用できません(消防法第11条第5項)
- 変更工事に関わっていない部分は、承認を受ければ検査前でも仮に使用できます
- 仮使用の承認申請には工事中の火災予防上の措置を記載した書類を添えます
- 承認範囲外を使うと罰則の対象になります(消防法第42条第1項第3号)
- 仮使用が認められるのは承認された範囲だけで、工事完了後は改めて完成検査を受けます
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目次
危険物施設は完成検査を受ける前に使ってよいのか

市町村長等が行う完成検査に合格して初めて、稼働させることが認められます。
設置したときだけでなく、位置・構造・設備を変更したときも同じ扱いです。
検査を行うのは、設置や変更の許可を出した市町村長等です。
基準に適合していると認められて初めて、使用の制限が解けます。
まずはこの禁止が原則であることを押さえておきます。
設置したときだけでなく、変更のときも検査が必要なんですね。
設置と変更の両方が完成検査の対象です。
ただし例外もあるので、次で確認しましょう。
仮使用が認められるのはどんな範囲か

条文にはただし書きで例外が用意されています。
これを仮使用と呼び、承認するのは設置・変更の許可と同じ市町村長等です。
承認の対象になるのは、工事の対象になっていない部分の全部または一部です。
工事中の部分そのものを仮使用することはできません。
どこまでが承認の範囲かを、申請の時点ではっきりさせておく必要があります。
タンクを1基増設するだけなら、既存のタンクは止めなくていいということですか。
はい、既存部分について承認を受ければ仮使用できます。
次は承認をどう受けるかを見ていきます。
仮使用の承認はどう受けるのか

承認を受けるための手続きが規則で定められています。
提出先は、設置・変更の許可を出した市町村長等と同じです。
様式は別記様式第七の申請書と定められています。
変更許可の申請と仮使用の承認申請は、同時に行うこともできます。
工事の進め方が固まった段階で、早めに相談しておくと手続きがスムーズです。
申請書には工事の中身だけでなく、火災予防の対策も書くんですね。
工事中の火災予防上の措置を具体的に書く必要があります。
消防署や担当窓口に早めに相談すると進めやすいです。
実務で見落としやすいのはどこか

罰則まで定められているので注意が必要です。
第11条第5項に違反すると、6月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金が科されます。
「承認を受けた部分だけ」という線引きを、現場の作業員まで正しく共有できているかがポイントです。
工事の進み具合によって承認範囲が変わることもあるため、その都度の確認が欠かせません。
情状によっては拘禁刑と罰金が併科されることもあります。
うっかり工事中の部分まで動かしてしまったら、どうなるんですか。
承認の範囲外を使うと第11条第5項違反になり、罰則の対象です。
現場の作業員にも承認範囲を必ず伝えてください。
明日からなにをすればよいのか

明日から確認しておきたいことを整理します。 まず、今回の工事が完成検査と仮使用のどちらに関わるのかを整理します。
- 変更工事の範囲と、工事に関わらない部分を図面で明確に分ける
- 仮使用が必要なら、着工前に市町村長等へ承認申請を行う
- 申請書に添える火災予防上の措置を具体的に書き出しておく
- 承認された範囲を現場の作業員や協力会社にも周知する
まずは工事範囲を図面で線引きして、承認が必要かどうか確認してみます。
承認範囲の周知まで含めて準備しておくと安心です。
迷ったら着工前に相談してください。
よくある質問
まとめ
完成検査と仮使用の違いが、これでよく分かりました!
危険物施設の手続きのことでも、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法第11条(危険物施設の許可及び完成検査)
- 消防法第42条(罰則)
- 危険物の規制に関する規則第5条の2(仮使用の承認の申請)
※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





