火災現場に着くと、黄色と黒のテープの手前で下がるよう指示されることがあります。
警察の規制と思われがちですが、実はこれは消防の権限にもとづく措置です。
一方で、関係者や勤務者など区域の中に残れる人もいて、線引きは条文で細かく定められています。
この記事では、消防法第28条が定める消防警戒区域の仕組みと、命令に従わなかった場合の罰則を、実際の条文にもとづいて解説します。
火事の現場に行ったら、警察官に下がってくださいと言われました。
消防の人じゃないのに、そんな権限あるんですか。
あります。
消防吏員又は消防団員がいないときや要求があったときは、警察官が代わりに権限を行使できます。
うちの従業員は、規制線の中に残って作業してもいいんでしょうか。
勤務者として認められれば残れます。
ただし現場の状況によっては、その人にも退去を命じられることがあります。
- 消防法第28条第1項は消防吏員又は消防団員に消防警戒区域を設定する権限を認めています
- 総務省令で定める者以外は区域からの退去を命じられ、または出入を禁止・制限されます
- 消防吏員又は消防団員が現場にいないとき等は警察官がその職権を代行できます
- 関係者や勤務者であっても現場の状況によっては退去を命じられることがあります
- 退去命令や出入の禁止・制限に従わなかった者は三十万円以下の罰金又は拘留に処せられます
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目次
火災現場ではなぜ下がるよう命じられるのか

これは警察の規制ではなく、消防法にもとづく消防吏員の権限です。
現場の安全確保と消火活動の妨げを防ぐことが目的で、条文は区域を設定する権限と、退去命令・出入の禁止/制限という2つの手段をあわせて認めています。
規制線の中に入れるかどうかは、次に見る総務省令で定める者に当たるかどうかで決まります。
野次馬扱いをされたと感じても、これは消防吏員の正式な職務権限にもとづく行為です。
警察じゃなくて消防が規制線を張るんですか。
はい、消防吏員又は消防団員に、その権限が与えられています。
区域の中に残れるのはどんな人なのか

実は「残ってよい人」は、総務省令で7種類に定められています。
自分の建物が火元でなくても、隣接する建物の関係者であれば区域内での対応を求められることがあります。
報道関係者も号の1つとして挙げられていますが、後ほど見るとおり無条件ではありません。
自社の従業員が勤務者として残る場合も、身分を示せる用意をしておくと現場でのやり取りが円滑になります。
うちの従業員は、勤務者として残れるんですね。
はい、ただし証票の準備など、確認しておくべき点もあります。
警察官は消防吏員の代わりに区域を仕切れるのか

これも条文にもとづく正式な仕組みです。
火災の発生直後は消防隊の到着より先に警察官が現場に着くことも珍しくなく、この規定によって現場の安全確保に空白が生じないようになっています。
消防吏員が到着した後は、通常は消防吏員が主体となって区域を管理します。
条文はさらに、上席消防員の指揮で区域を設定する場合、現場にいる警察官には援助を与える義務があるとも定めています。
消防と警察、どっちの指示に従えばいいのか迷いそうです。
どちらも同じ消防法第28条にもとづく権限です。
指示に従っていただいて大丈夫です。
許可された人でも退去を命じられることがあるのか

現場の状況によっては、後から退去や出入禁止を命じられることがあります。
号に該当する立場は「残れる資格」であって、絶対に残れる権利ではない点に注意が必要です。
そしてこの退去命令や出入の禁止・制限に従わなかった場合は、別の条文で罰則が定められています。
現場で一時的に区域の外に出るよう求められたときは、処罰を避けるためにもその指示に従うべきです。
関係者だから大丈夫と思って居座るのは危ないんですね。
はい、現場の指示には必ず従ってください。
従わないと罰則の対象になります。
明日からなにを確認しておけばよいのか

防火管理者として明日からできることを整理します。 関係者としての立場をすぐに示せる準備が、現場での混乱を防ぎます。
以降のポイントを、消防計画の見直しにあわせて確認しておきましょう。
- 自社の従業員が消防警戒区域内で作業する可能性がある場合、身分証や腕章など勤務者であることを示せる用意をしておく
- 消防長又は消防署長があらかじめ発行する立入許可の証票の申請方法を、所轄消防署に確認しておく
- 規制線が張られたときは、関係者であっても現場の指示に従うことを従業員に周知しておく
証票のことは、今度所轄の消防署に聞いてみます。
それがいいですね。
いざというときに慌てず動けます。
よくある質問
まとめ
消防警戒区域の仕組みが、これでよく分かりました。
いざというときは、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法第28条(消防警戒区域)
- 消防法施行規則第48条(消防警戒区域出入者)
- 消防法第44条(罰則)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。




