屋外タンク貯蔵所は、完成検査に合格すればそれで終わりではありません。
使い続けている間も、法律で決まった周期どおりに検査を受け続ける義務があります。
対象になるのは大型のタンクだけですが、周期や検査項目には細かい決まりがあります。
条文が示すのは、使用中のタンクを長期間見張り続けるための仕組みです。
うちの敷地にある大きな屋外タンクも、完成検査を受けたので安心していました。
その後も検査が続くとは知りませんでした。
大きなタンクほど、内部の劣化は外から見えません。
だから使用中も定期的な検査が義務づけられています。
どんなタンクでも同じように検査されるのでしょうか。
いいえ、対象は規模で絞られています。
消防法第14条の3を順に見ていきましょう。
- 屋外タンク貯蔵所と移送取扱所は完成後も保安に関する検査を受け続ける義務があります
- 対象は液体危険物の最大数量が1万キロリットル以上の特定屋外タンク貯蔵所と移送取扱所です
- 周期は原則8年ですが、保安措置や腐食のデータ次第で延びます
- 検査で見るのはタンク底部の板の厚さと溶接部の劣化です
- 不等沈下が基準を超えれば、定期を待たず臨時の保安検査が必要になります
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目次
屋外タンク貯蔵所には完成後も検査が続くのか

一定の規模を超えるタンクには、使用中もずっと続く検査の義務があります。
政令で定める屋外タンク貯蔵所又は移送取扱所の所有者、管理者又は占有者は、政令で定める時期ごとに、当該屋外タンク貯蔵所又は移送取扱所に係る構造及び設備に関する事項で政令で定めるものが第十条第四項の技術上の基準に従つて維持されているかどうかについて、市町村長等が行う保安に関する検査を受けなければならない。
完成検査が設置時点の基準適合を確かめるのに対し、保安検査は使用を続けている間の劣化を確かめる制度です。
主体は市町村長等で、政令で定めた時期ごとに受けなければなりません。
すべての屋外タンク貯蔵所が対象ではなく、次に見る規模の条件で絞られています。
完成検査とは別の検査が、また改めてやってくるということですね。
そのとおりです。
タンクの規模によって対象になるかどうかが決まります。
どれくらいの規模のタンクが対象になるのか

政令が規模で線を引いています。
法第十四条の三第一項の政令で定める屋外タンク貯蔵所又は移送取扱所は、特定屋外タンク貯蔵所で、その貯蔵し、若しくは取り扱う液体の危険物の最大数量が一万キロリツトル以上のもの又は前条に規定する移送取扱所とする。
特定屋外タンク貯蔵所のうち、貯蔵・取扱いする液体危険物の最大数量が1万キロリットル以上のものと、危険物を配管で送る移送取扱所が対象です。
周期は原則8年ですが、総務省令で定める保安のための措置を講じていれば10年又は13年に延び、腐食のデータに基づけば市町村長等が8年から15年の範囲で定めることもできます。
岩盤タンクは10年、特殊液体危険物タンクは13年、移送取扱所は1年ごとと、区分によって周期が細かく分かれています。
災害その他の事由で決められた時期に検査を受けるのが適当でないときは、所有者等の申請に基づいて市町村長等が別の時期を定めることもできます。
うちのタンクがどの周期に当てはまるのか、自分で調べる必要がありますね。
はい。
前回の保安検査の日付から、次の周期を逆算して確認してください。
検査は具体的に何を確認するのか

確認する対象は政令で決められています。
法第十四条の三第一項の屋外タンク貯蔵所又は移送取扱所に係る構造及び設備に関する事項で政令で定めるものは、次の各号に掲げる特定屋外タンク貯蔵所又は移送取扱所の区分に応じ、当該各号に定める事項とする。
一 特定屋外タンク貯蔵所(略) 液体危険物タンクの底部の板の厚さに関する事項及び液体危険物タンクの溶接部に関する事項
危険物を貯蔵するタンクは、底部が地面に接しているため腐食による板厚の減少が外からは見えにくい場所です。
溶接部も同じで、内部からの腐食が進んでいても表面の見た目だけでは分かりません。
だからこそ、超音波などを使った測定で数値として確認する仕組みになっています。
岩盤タンクだけは対象が異なり、岩盤タンクそのものの構造及び設備に関する事項が確認されます。
目視で異常が無ければ、それで十分だと思っていました。
そこが誤解されやすい点です。
見えない腐食こそ、数値で確かめる必要があります。
定期の周期を待たずに検査が必要になるのはどんなときか

タンクに異常の兆候が出たときは、周期を待たずに検査が動きます。
政令で定める屋外タンク貯蔵所の所有者、管理者又は占有者は、当該屋外タンク貯蔵所について、不等沈下その他の政令で定める事由が生じた場合には、…市町村長等が行う保安に関する検査を受けなければならない。
政令が定める事由は、液体危険物タンクの直径に対する不等沈下の数値の割合が百分の一以上であることなどです。
つまり、直径の大きなタンクほど、わずかな傾きでもこの基準に達しやすくなります。
定期の周期はスケジュールで管理できますが、この臨時検査は日々の測定で兆候をつかまなければ気づけません。
沈下の測定を怠っていると、義務が生じたこと自体に気づけないおそれがあります。
普段から沈下量を測っておかないと、義務が発生したことにすら気づけないのですね。
そのとおりです。
日常の測定記録が、臨時検査の要否を判断する材料になります。
明日からなにを確認すればよいのか

保安検査を拒めば、それ自体が罰則の対象になります。
次のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金又は拘留に処する。(略)
四 第十四条の三第一項若しくは第二項又は第十七条の三の二の規定による検査を拒み、妨げ、又は忌避した者
保安検査を拒み、妨げ、又は忌避しただけでこの罰則の対象になり、検査結果が良いか悪いかは関係ありません。
市町村長等はこの審査を(公財)危険物保安技術協会に委託できるので、協会の担当者が来ることもあります。
自社での確認は次の3つです。
前回の保安検査日から周期を逆算して次の予定を把握すること、日頃からタンクの沈下量を測定して記録しておくこと、そして測定でタンクの直径に対する沈下の割合が百分の一に近づいていないかを確認することです。
災害等で予定どおりに検査を受けられないときは、早めに市町村長等へ相談してください。
周期の逆算と沈下量の記録、この2つを担当者と共有します。
それができれば
検査の見落としはかなり防げます。
よくある質問
まとめ
次の検査時期を今すぐ調べます!
沈下の測定も習慣にします。
周期の逆算と沈下の測定、そして拒否しないこと。
この3つを押さえれば保安検査は怖くありません。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法第14条の3第1項・第2項
- 消防法施行令第8条の4第1項・第3項・第5項
- 消防法第44条第4号
※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





