移動タンク貯蔵所(タンクローリー)にも、消防法第14条の3の2に基づく定期点検の義務があります。
ただし通常の点検(原則年1回)とは別に、タンク自体の漏れを確認する点検が5年に1回だけ義務づけられています。
「年1回の点検を受けていれば十分では」と誤解している担当者も少なくありません。
この記事では危険物の規制に関する規則第62条の5の4が定める5年ごとの漏れの点検の対象と起算日を確認します。
うちのタンクローリーも、去年ちゃんと点検を受けたので今年は大丈夫ですよね。
実は年1回の点検とは別枠の点検があります。
条件を順番に確認しましょう。
漏れの点検って、いつもの点検と何が違うんですか。
対象と起算日にそれぞれ注意が必要です。
まずは条文から見ていきましょう。
- 移動タンク貯蔵所(タンクローリー)は、年1回の通常点検とは別に規則第62条の5の4が定める漏れの点検が必要です
- 対象は移動タンク貯蔵所全体で、規模や用途による除外はありません
- 5年ごとの漏れの点検は、通常点検とは異なりタンク自体からの漏れの有無に絞って確認します
- 起算日は完成検査済証の交付日または直近の点検日で、変更の許可を受けた場合は変更許可に係るものに限られます
- 点検が困難な事情や常時監視する装置がある場合は、市町村長等の判断で期限を別に定められることもあります
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目次
移動タンク貯蔵所にはなぜ年1回の点検のほかに5年ごとの点検もあるのか

移動タンク貯蔵所(タンクローリー)もこの対象で、通常の点検に加えてもう一つの点検が定められています。
「第六十二条の四の規定によるほか」とあるとおり、年1回の通常点検に加えて、この漏れの点検が上乗せされています。
つまり通常点検さえ受けていれば足りるという理解は正確ではありません。
2つの点検は目的も周期も異なるため、それぞれ別に管理する必要があります。
次の項目で、この点検の対象となる施設を確認します。
うちは毎年ちゃんと点検しているので、それで足りていますよね。
実は年1回の点検とは別枠の点検があります。
次で対象を見ていきましょう。
どんな移動タンク貯蔵所が対象になるのか

まずは根拠となる政令の規定を確認します。
容量やタンクローリーの用途による線引きは条文上ありません。
つまり保有するすべての移動タンク貯蔵所が、この漏れの点検の対象になります。
「小さいタンクだから対象外」といった自己判断はできません。
次の項目で、点検の中身が通常点検とどう違うのかを見ていきます。
小さいタンクローリーなら対象外だったりしませんか。
容量による除外はありません。
すべての移動タンク貯蔵所が対象です。
5年ごとの点検では通常点検と何が違うのか

条文を確認します。
通常点検(規則第62条の4第2項)が技術上の基準への適合性全般を見るのに対し、こちらは漏れの有無に的を絞っています。
言い換えると、通常点検の内容を漏れの点検が兼ねることはできません。
タンクに常時監視するセンサーを付けていても、それだけで人による点検の代わりになるわけではありません。
次の項目で、そのセンサーが期限にどう関わるのかを確認します。
漏れさえなければ、通常点検の結果で代用できませんか。
代用はできません。
それぞれ別に実施が必要です。
常時監視する装置があれば、この点検を省略できるのか

条文はそう単純には定めていません。
条文が求めているのは、装置の設置に加えて市町村長等の判断です。
どちらか一方だけでは、期限を別に定めてもらうことはできません。
「装置があるから点検不要」という自己判断は認められない点に注意が必要です。
最後に、明日から確認すべき点をまとめます。
漏れを常時監視するセンサーを付けたので、もう点検は要らないですよね。
市町村長等の判断が別に必要です。
自己判断で省略しないようにしましょう。
明日からなにを確認すればよいのか

自己判断せず、記録と条文をもとに確かめることが大切です。
- 保有する移動タンク貯蔵所ごとに、通常点検(年1回)と漏れの点検(5年に1回)を別々に記録しているか
- 漏れの点検の起算日を、完成検査済証の交付日と直近の点検日のどちらを基準にしているか確認する
- タンクローリーの改造や譲渡で変更の許可を受けた場合は、起算日を引き継がず確認し直す
- 点検が困難な事情がある場合は、自己判断せず所轄の消防署(市町村長等)に相談する
- 点検記録は規則が定める保存期間を確認したうえで保存する
まずは自社のタンクローリーの点検記録を確認してみます。
はい、通常点検と漏れの点検の両方を確認しましょう。
不明な点は所轄消防署にご相談ください。
よくある質問
まとめ
通常点検と漏れの点検の両方を、今日から確認します!
起算日の確認が漏れを防ぐいちばんの近道です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法第14条の3の2
- 危険物の規制に関する政令第8条の5
- 危険物の規制に関する規則第62条の4
- 危険物の規制に関する規則第62条の5の4
- e-Gov 法令検索
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。




