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危険物施設の定期点検はなぜ延期できることがあるのか|危険物の規制に関する規則第62条の4が定める市町村長等の特例を解説

危険物施設の定期点検の期限延長を解説する記事のアイキャッチ画像

危険物を貯蔵し、または取り扱う施設には、消防法第14条の3の2に基づく定期点検の義務があります。
点検の頻度は原則として年1回と決められていますが、実はこの期限を市町村長等が個別に定め直せる場合があります。
「災害の影響で点検が難しい」「常時監視する装置を付けているのに毎年点検が必要なのか」と迷う担当者も少なくありません。
この記事では危険物の規制に関する規則第62条の4が定める市町村長等の特例と、その手続きの流れを確認します。

うちのタンク、去年は災害の後片付けでバタバタしていて、今年の点検の日程も少し心配なんです。

実は市町村長等の判断で期限を延ばせる場合があります。
条件を順番に確認しましょう。

常時監視する装置を付けていれば、それだけで延ばしてもらえるんですか。

装置の設置に加えて、市町村長等が保安上支障がないと認めることが必要です。
まずは条文から見ていきましょう。

この記事の結論
  • 危険物施設の定期点検は、原則として年1回以上行うことが規則第62条の4で定められています
  • 災害その他の非常事態で点検が困難なときは、市町村長等が期限を別に定めることができます
  • 常時監視する装置を設置し市町村長等が保安上支障がないと認めた場合も期限を延ばせます
  • 期限が延びても、点検で確認する中身は技術上の基準への適合性のまま変わりません
  • 延長の可否は自己判断できず、所轄の市町村長等への相談が前提になります

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危険物施設の定期点検の期限は市町村長等の判断によって延ばせる場合があることを示す図解

危険物施設の点検はなぜ年1回と決められているのか

クリップボードに点検記録を書く施設管理者と貯蔵タンクを示すイメージ
消防法第14条の3の2は、政令で定める製造所や貯蔵所に定期点検を義務づけています。
点検の頻度そのものは、危険物の規制に関する規則が具体的に定めています。
危険物の規制に関する規則第62条の4第1項 法第十四条の三の二の規定による定期点検は、一年(告示で定める構造又は設備にあつては告示で定める期間)に一回以上行わなければならない。
点検は原則として毎年一回行うものと決められています。
特殊な構造や設備を持つ施設は、告示が別の期間を定める場合もあります。
とはいえ大半の施設にとっては、「年1回」が点検サイクルの基本です。
問題は、この期限を動かせる場合があるという点です。
次の項目で、市町村長等が期限を別に定められる具体的な条件を見ていきます。

うちは去年も定期点検をした記憶があるんですが、年1回で合ってますよね。

はい、原則は年1回です。
ただし例外もあるので次で確認しましょう。

どんなときに市町村長等は期限を別に定められるのか

書類に印を押す職員と警戒コーンに囲まれたタンクを示すイメージ
規則第62条の4のただし書は、期限を別に定められる場合を2つ挙げています。
どちらも施設側が勝手に判断してよいものではありません。
危険物の規制に関する規則第62条の4第1項ただし書 ただし、次の各号のいずれかに該当する場合には、市町村長等が点検を行うべき期限を別に定めることができる。一 第六十二条の二第一項第一号に掲げる事由により、定期点検を行うことが困難であると認められるとき。二 法第十条第四項の技術上の基準に適合していることを常時監視するための装置の設置その他の必要な措置が講じられており、かつ、市町村長等が保安上支障がないと認めるとき。
延期が認められるのは、施設側の自己判断ではなく市町村長等の判断があってこそです。
一つ目は、災害など非常事態によって点検が困難と認められる場合です。
二つ目は、常時監視する装置を設置し、市町村長等が保安上支障がないと認めた場合です。
どちらも届出や相談を経て初めて認められるものです。
次の項目では、点検そのものが何を確認するものかを見ていきます。

常時監視する装置さえ付ければ、それだけで延長になるということですか。

装置の設置に加えて、市町村長等が保安上支障がないと認めることが必要です。

点検で確認するのは基準に適合しているかどうかだけなのか

ゲージを持つ点検員が大きな弁を点検する様子を示すイメージ
期限が延びても、点検そのものの中身が変わるわけではありません。
規則は点検で何を確認するのかも定めています。
危険物の規制に関する規則第62条の4第2項 法第十四条の三の二の規定による定期点検は、法第十条第四項の技術上の基準に適合しているかどうかについて行う。
点検の対象は技術上の基準への適合性だけに絞られています。
つまり、施設の使い勝手や日々の運用ルールにまで点検が及ぶわけではありません。
基準に適合しているかどうかを確かめる、という点検の役割そのものは変わりません。
期限が延びても確認する中身が緩くなるわけではない点に注意が必要です。
この線引きを理解しておくと、点検の準備範囲を絞り込みやすくなります。

なるほど、期限が延びても点検の中身が甘くなるわけじゃないんですね。

そのとおりです。
確認する対象は変わらず技術上の基準への適合性です。

期限を延ばしてもらうにはどんな事由が必要なのか

制御盤とセンサーを備えた貯蔵タンクを示すイメージ
規則第62条の4第1項第1号は、他の条文が定める事由をそのまま借りています。
その中身を確認しておきましょう。
危険物の規制に関する規則第62条の2第1項 令第八条の四第二項ただし書の総務省令で定める事由は、次に掲げるものとする。一 災害その他非常事態が生じたこと。二 保安上の必要が生じたこと。三 危険物の貯蔵及び取扱いが休止されたこと。四 前号に掲げるもののほか、使用の状況(計画を含む。)等に変更が生じたこと。
定期点検の期限延長で借用されるのは、この中の第1号「災害その他非常事態が生じたこと」です。
地震や風水害など、施設の管理者に責任のない事情が念頭に置かれています。
一方で、単に忙しかった、人手が足りなかったという事情はこの号に当たりません。
延長を求めるときは、事由を具体的に示して市町村長等に相談する必要があります。
自己判断で点検を先延ばしにすることはできません。

去年は近くで水害があって、施設の復旧作業に追われていました。
こういう場合は対象になりますか。

災害による事情であれば対象になり得ます。
まずは所轄の消防署に相談してください。

明日からなにを確認すればよいのか

届出書を提出する施設管理者と窓口を示すイメージ
期限の延長は、施設側からの申し出があって初めて検討されるものです。
実務では次の点を押さえておくとよいでしょう。
  • まず今年度の点検予定日を確認し、延長が必要になりそうな事情があるかを早めに洗い出す
  • 災害や非常事態が理由の場合は、具体的な被害状況を整理しておく
  • 常時監視する装置を設置している場合は、設置状況を示す資料を用意しておく
  • 延長の可否は所轄の市町村長等(消防署)に相談し、自己判断で先延ばししない
  • 点検記録の作成・保存の義務は、期限が延びても変わらず残る

延長できるかどうかは、まず消防署に相談してみればいいんですね。

はい、自己判断せずに早めに相談するのが一番です。
これで確認の流れが一通り整いました。

よくある質問

Q定期点検の期限は誰でも延ばしてもらえるのですか?
Aいいえ。災害その他の非常事態、または常時監視する装置の設置など、規則が定める事由に該当し、かつ市町村長等が認めた場合に限られます。
Q忙しくて点検の日程が組めなかった場合も対象になりますか?
A単に多忙だったという事情だけでは、規則が定める「災害その他非常事態」には当たりません。個別の事情は所轄の消防署にご相談ください。
Q期限が延びれば点検自体をしなくてよいのですか?
Aいいえ。期限を別に定められても点検そのものが免除されるわけではありません。技術上の基準に適合しているかどうかの確認は必要です。
Q常時監視する装置とはどんなものを指しますか?
A規則は技術上の基準への適合を常時監視するための装置と定めており、具体的な設置状況を市町村長等が保安上支障がないか判断します。

まとめ

✔定期点検は原則として年1回以上行う義務があります
✔特殊な構造・設備は告示が別の期間を定める場合があります
✔災害その他の非常事態で点検が困難なときは市町村長等が期限を別に定められます
✔常時監視する装置の設置と市町村長等の認定があれば期限を延ばせる場合もあります
✔期限が延びても点検の中身は技術上の基準への適合性のまま変わりません
✔延長の事由は施設側の自己判断では認められません
✔延長を検討するときは早めに所轄の消防署へ相談しましょう

延長できるかどうか、まずは所轄の消防署に確認してみます。

早めの相談が延長を受けるいちばんの近道です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法第14条の3の2
  • 危険物の規制に関する規則第62条の2
  • 危険物の規制に関する規則第62条の4
  • e-Gov 法令検索

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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