消防から改修や使用停止の命令を受けたのに、担当者まかせのまま対応が後回しになっていないでしょうか。
実は消防法令の命令違反には、違反した本人だけでなく会社そのものを罰する規定があります。
罰金の上限額は、違反した命令の種類によって1億円・3千万円・各本条と同額の3段階に分かれています。
本記事では、消防法第45条が定める両罰規定の仕組みと、会社が負う罰金額の違いを条文に沿って整理します。
うちの担当者が消防からの命令の対応を後回しにしていて心配です。
実は会社そのものが罰せられる規定があります。
担当者を罰すれば会社は関係ないと思っていました。
両罰規定により、違反した命令の種類で罰金額が変わります。
順番に見ていきましょう。
- 消防法第45条は、代表者や従業員が業務に関して命令に違反したとき、行為者本人に加えて会社にも罰金を科す両罰規定を定めています
- 使用停止命令(第5条の2)や措置命令(第5条)に違反すると、会社には1億円以下の罰金刑が科されます
- 危険物の無許可貯蔵など第41条の一部違反では、会社の上限は3千万円以下です
- それ以外の多くの命令違反は、会社の罰金も個人と同額(各本条の罰金刑)にとどまります
- 防火管理者選任命令のような比較的軽い命令の違反でも、会社は両罰規定の対象になり得ます
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目次
そもそも両罰規定とはどんな仕組みなのか

まず消防法第45条の柱書を確認します。
条文は「行為者を罰するほか」と定めており、従業員本人への処罰と会社への罰金は別枠で科されます。
対象になるのは代表者だけでなく、代理人・使用人その他の従業者まで幅広く含まれます。
条件は「その法人又は人の業務に関し」た違反であることで、私生活上の行為は対象になりません。
事業主が個人事業主(自然人)のときは、法人の場合と同じ枠組みでその人自身が各本条の罰金刑を科されます。
担当者だけが叱られる話だと思っていました。
いいえ。
業務に関する違反であれば会社も罰金の対象です。
どの命令に違反すると最も重い罰金の対象になるのか

まず最も重い区分から確認します。
1つ目は第5条の2の使用停止命令(防火対象物の使用の禁止・停止・制限)への違反です。
2つ目は第5条の措置命令(防火対象物の改修・移転・除去等)への違反です。
3つ目は検定に合格しない機械器具等の回収命令(第21条の13等)への違反で、いずれも第41条第1項第7号にあたります。
命令の内容そのものではなく、命令に従わなかったことが最も重い区分の要件である点がポイントです。
使用停止命令に従わなかった場合が一番重いんですね。
はい。
措置命令や検定関連の命令違反も同じ区分です。
罰金額はなぜ3段階に分かれているのか

第45条の全体を確認します。
第2号は、指定数量以上の危険物の無許可貯蔵など第41条の一部違反に3千万円以下を定めています。
第3号は、それ以外の多くの違反行為をまとめて挙げ、会社の罰金も個人と同額(各本条の罰金刑)にとどめています。
たとえば第39条の2(防火対象物の使用禁止命令に至る前段階の命令)への違反も、この第3号に含まれます。
段階が下がるほど対象になる違反行為の数は多く、上がるほど個別に限定されている、という構造です。
結局どの区分になるかは違反の内容次第なんですね。
そのとおりです。
違反した条文がどの号にあたるかで決まります。
軽い命令の違反でも会社は罰せられるのか

しかし第45条第3号の対象を具体的に見ると、そうとは言えません。
第8条第3項の防火管理者選任命令への違反は第42条第1項第1号にあたり、この号に含まれます。
第36条第1項で準用される防災管理者の選任命令も同じ扱いです。
罰金額こそ各本条と同額(六月以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金)にとどまりますが、会社が処罰対象から外れるわけではありません。
「担当者に任せているから会社は関係ない」という考え方は、命令の軽重を問わず通用しないということです。
防火管理者を選ばないよう命じられただけなら、会社は関係ないですよね。
いいえ。
選任命令への違反も第45条第3号の対象です。
明日からなにを確認すればよいのか

確認すべき順番を整理します。
- 消防から改修命令・使用停止命令・選任命令などを受けていないか、担当者任せにせず会社として把握する
- 命令を受けた場合は、誰が・いつまでに・なにを対応するのかを文書で記録する
- 期限までに対応が完了したかを、担当者だけでなく会社としても確認する
- 金額の大小にかかわらず、命令そのものを放置しない体制を整える
まずなにから確認すればいいですか。
受けている命令の有無を、担当者任せにせず会社として洗い出してください。
よくある質問
まとめ
会社として受けている命令の有無を、まず洗い出します!
命令への対応体制づくりから日々の運用まで、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法第45条第1号・第2号・第3号
- 消防法第5条第1項・第5条の2第1項
- 消防法第39条の2の2・第39条の3の2・第41条第1項・第42条第1項
- 一般財団法人日本消防設備安全センター「消防法の命令違反概要・罰則規定一覧」
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





