東京都で建築設備の定期検査報告を行うとき、対象になる設備の範囲や報告の時期は、建築基準法や施行令だけを読んでも実は分かりません。
具体的な線引きの多くは、東京都独自の規則である東京都建築基準法施行細則に委ねられているためです。
所有者や管理者が変わったときの届出、設備を廃止・休止するときの手続き、万一の事故が起きたときの報告についても、この細則が具体的な手順を定めています。
この記事では、東京都建築基準法施行細則にもとづいて、対象範囲から各種届出までを整理して解説します。
うちのビルは天井近くの窓を開けるだけの自然排煙なんですが、これも定期検査の対象になるんでしょうか。
先日オーナーが変わったので、その届出も気になっています。
動力を持たない自然排煙は、東京都では定期検査の対象から外れています。
ただしオーナー変更の届出は別の話で、こちらは必ず必要です。
対象になる設備の範囲や、届出が必要な場面がまだよく分かっていません。
報告の間隔もどう決まっているのか気になります。
東京都建築基準法施行細則が、対象範囲から報告の時期、届出の手続きまで具体的に定めています。
順番に整理していきましょう。
- 東京都で定期報告の対象になる特定建築設備等は、換気設備・排煙設備・非常用の照明装置・給排水設備の4区分ごとに東京都建築基準法施行細則第12条が個別に指定している
- 自然換気設備や動力を持たない排煙口は対象外で、排煙設備は排煙機又は送風機を有するものに限られる
- 初回の報告は検査済証交付日の翌日から2年以内、以降は1年ごと(国土交通大臣が定める項目は3年ごと)
- 設備を廃止・休止するときは特定建築設備等廃止・使用休止届の提出が必要になる
- 死者や重傷者が生じる事故が起きたときは事故報告書(速報)で直ちに、続けて事故報告書(詳細)で報告する
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目次
東京都で定期報告の対象になる建築設備等はどこまでか

東京都では、その中身をさらに細かく指定しています。
天井近くの窓を開けるだけの自然排煙や、自然の通風だけに頼る換気口には、そもそも点検すべき機械部分がありません。
一方で同じ排煙設備でも排煙機や送風機を備えているものは対象になり、給排水もタンクを持たない直結給水方式は対象から外れます。
自分のビルの設備がどちらに当たるかは、設備図面や過去の検査記録で機械部分の有無を確かめるとはっきりします。
うちは窓を開けるだけの自然排煙だから対象外なんですね。
てっきり排煙と名前が付けば全部検査が必要だと思っていました。
名前ではなく機械部分の有無で線引きされています。
迷ったら設備図面を一緒に確認しましょう。
初めての報告と2回目以降はいつまでに行うのか

起算日と間隔の年数を東京都の規則で確認する必要があります。
多くの検査項目は初回2年・以降1年ごとの間隔ですが、点検箇所が多く短期間での実施が難しい一部の項目は初回・以降とも3年ごとに延ばされています。
同じ建物でも検査項目によって周期が異なるため、報告書を1枚にまとめて考えると期限を見落としがちです。
昇降機等については、この期間がそれぞれ1年・6月に読み替えられる特則もあるので、設備の種類ごとに期限を分けて管理するのが安全です。
検査済証をもらった日を覚えていないと、起算日も分からなくなりますね。
設備ごとに周期が違うのは正直ややこしいです。
検査済証と過去の報告書控えを一緒に保管しておくと安心です。
㈱防災屋でも期限の一覧化からお手伝いできます。
設備を廃止や休止するときはどんな手続きが必要か

黙って使用をやめるだけでは、届出漏れとして扱われるおそれがあります。
休止届を出しておけば、その設備については休止中の報告を求められません。
再び使うときは、使用する3日前までに特定建築設備等再使用届を提出する必要があります。
「そのうち報告する」ではなく、廃止・休止・再使用のいずれも所定の様式で届け出ることが前提になっています。
老朽化した設備を停止したまま報告書だけ出し続けていました。
先に休止届を出すべきだったんですね。
今からでも休止届を出しておけば手続きは整います。
再使用の見込みが決まったら早めにご相談ください。
所有者や管理者が変わったらどうするのか

このとき忘れられがちなのが、行政への届出です。
変更届を出さないままだと、次回の報告時に台帳の名義と実態が食い違い、確認の手間が増えることになります。
建物を引き継いだ側は、前の所有者がいつ・どの設備を検査したのかを把握できていないことも多いため、変更届の提出と合わせて過去の報告履歴を確認しておくと安心です。
売買契約や相続の手続きに気を取られて、この届出だけ抜け落ちるケースは少なくありません。
先月ビルを相続したばかりで、正直この届出のことは知りませんでした。
前の所有者の検査履歴も把握できていません。
まずは変更届の提出と、過去の報告書控えの確認から始めましょう。
㈱防災屋でも履歴の洗い出しをお手伝いできます。
建築設備の事故が起きたらどう報告するのか

被害の程度によって、報告の速さと詳しさが変わります。
まず直ちに速報で事故の発生を知らせ、その後速やかに詳細な報告書で原因や経緯をまとめる流れです。
対象になるのは死者に加えて、治療に30日以上を要する重傷者が生じた場合で、軽微なけがであれば同じ手続きは求められません。
実際に事故が起きてから様式を探すのでは間に合わないため、速報・詳細それぞれの届出先と様式は平常時に確認しておくべきです。
速報と詳細で2段階になっているとは知りませんでした。
様式は事前に確認しておいたほうがよさそうですね。
おっしゃる通りです、いざというときに慌てないための準備が大切です。
様式の入手先も含めて確認しておきましょう。
よくある質問
まとめ
対象範囲から届出のタイミングまで具体的な手続きが分かってすっきりしました!
まずは自社の設備図面と検査記録を見直してみます!
それが一番確実な進め方です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法第12条・第101条
- 建築基準法施行規則第6条
- 東京都建築基準法施行細則第10条・第12条・第13条・第13条の2・第14条の3
※本記事は東京都建築基準法施行細則にもとづく東京都の運用を解説したものです。他の特定行政庁では対象範囲・報告の時期・届出様式が異なる場合がありますので、他地域の建物については所管の特定行政庁に必ずご確認ください。本記事は建築基準法・同施行規則及び東京都の関係規則の現行規定にもとづき、㈱防災屋が独自に解説を作成したものです。




