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換気設備を設けるべき調理室等は定期検査でどこを確認するのか|排気筒の材質から機械換気設備の換気量まで13のチェックポイントを解説

調理室等の換気設備を点検する女性の建築設備検査員

火を使う調理室や浴室など「換気設備を設けるべき調理室等」には、専用の換気設備を設ける独自の構造基準が定められています。
建築基準法第12条第3項に基づく定期検査では、施行令第20条の3が定める構造基準に沿って、排気筒の材質から機械換気設備の換気量まで13の検査事項を確認します。
換気設備を設けるべき調理室等は、居室そのものの換気基準とは異なる独自の規定を持つため、混同しないことが実務上のポイントです。
台所の換気扇や煙突は見慣れていても、法令上の要求までは意外と知られていません

うちのテナントの厨房には換気扇と煙突が付いています。
これだけでもう基準を満たしていると思っていました。

実は排気口の位置や煙突の高さなど、細かい構造基準が定められています。
定期検査ではそこまで確認します。

具体的にはどんなところを見るんでしょうか。

排気筒の材質から機械換気設備の換気量まで、13の検査事項があります。
順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 火を使用する調理室等の換気設備は、居室の換気基準とは別の施行令第20条の3が適用される独自の構造基準を持ちます
  • 排気筒・排気フード・煙突は不燃材料で造られ、堅固に取り付けられていることを確認します
  • 給気口は天井高さの2分の1以下、排気口は天井又は天井から下方80センチメートル以内という位置基準があります
  • 煙突には防火ダンパーその他排気を妨げるものを設けてはならないという、直感に反する規定もあります
  • 機械換気設備は換気扇・給排気機の設置状況に加え、風速計による換気量測定まで確認します

換気設備を設けるべき調理室等の定期検査13のチェックポイントを示すインフォグラフィック

排気筒や煙突の材質と取付けはどこを確認するのか

鋼板製の排気フードと煙突の継手部分を検査員が目視と触診で確認している様子
調理室等の換気設備でまず確認するのは、排気筒・排気フード・煙突そのものの材質と取付け状態です。
ここが崩れていると、以降のどの基準を満たしていても意味がありません。
問1 排気筒、排気フード及び煙突の材質、並びに取付けの状況は、どのような基準で確認するか
答1 排気筒、排気フード及び煙突は不燃材料で造られていることを目視又は触診により確認する。火を使用する設備又は器具の近くに排気フードを有する排気筒を設ける場合、建築基準法施行令第20条の3第2項四号の規定により排気フードは不燃材料で造ることとされている。取付けについては、堅固でないこと又は著しい腐食、損傷等があることをもって要是正とする。
排気フードは法令が不燃材料を明文で求める数少ない部材です
排気筒・煙突についても、鋼板等の不燃材料で造られていることが実務上の確認事項とされています。
取付けについては著しい騒音や振動がないかもあわせて見ます。
腐食の程度は、基準書の参考資料「腐食状況の判定基準」に沿って判定します。
レンジフードとダクトの接続部にすき間があると、そこから廃ガスが室内側へ漏れる事故につながります。

排気フードって、そんなに厳しい基準があるものだったんですね。

不燃材料であることが法令で明記されています。
取付けの緩みや腐食もあわせて確認します。

給気口や排気口の大きさと位置はどう確認するのか

天井高さの2分の1以下に設けられた給気口と、天井から80センチメートル以内に設けられた排気口の位置関係を示す断面図
材質と取付けを確認したら、次は給気口・排気口それぞれの「大きさ」と「位置」です。
位置がずれていると、廃ガスが室内にとどまりやすくなります。
問2 給気口、給気筒、排気口、排気筒、排気フード及び煙突の大きさ、並びに給気口及び排気口の位置は、どのような基準で確認するか
答2 建築基準法施行令第20条の3第2項一号イ(3)、(4)、(6)又は(7)の規定により、給気口の有効開口面積又は給気筒の有効断面積、排気口又は排気筒の有効換気量若しくは有効開口面積が国土交通大臣が定める数値以上であることを確認する。位置については同号イ(1)(2)の規定により、給気口は天井の高さの2分の1以下の高さ、排気口は天井又は天井から下方80センチメートル以内の高さに設けることとされている。
給気口と排気口では、位置の基準がまったく逆になります
給気口は天井高さの2分の1以下の低い位置、排気口は天井付近の高い位置が原則です。
新鮮な外気を人のいる高さに取り入れ、温まった廃ガスを上方から排出するための配置になっています。
煙突や排気フードを有する排気筒を設ける場合は、この位置基準によらず適当な位置でよいとされています。
大きさは有効開口面積や有効断面積を鋼製巻尺等で実測し、告示が定める数値と照合します。

給気口と排気口、上下で逆の位置にあるのには理由があったんですね。

給気は低く、排気は高くが基本です。
大きさも告示の数値以上か確認します。

鳥の巣による給排気の妨げや断熱材の劣化はどこを見るのか

排気筒の先端に作られた鳥の巣、脱落した断熱材、可燃物から離隔された煙突の3つの点検箇所
排気の経路がふさがれていないか、断熱や離隔が保たれているかも欠かせない確認事項です。
特に長期間使われていない設備ほど、思わぬ形で不具合が見つかります。
問3 給気口、給気筒、排気口、排気筒、排気フード及び煙突の設置の状況、排気筒及び煙突の断熱の状況、並びに可燃物・電線等との離隔距離は、どのような基準で確認するか
答3 鳥の巣等により給排気が妨げられていないことを目視又は触診により確認する。断熱については建築基準法施行令第115条第1項三号イ(1)の規定により、小屋裏、天井裏、床裏等にある部分の断熱材に脱落又は損傷がないことを確認する。離隔距離は同号イ(2)の規定により、煙突は木材その他の可燃材料から15センチメートル以上離して設けることとされている。
長期間使われていない排気筒ほど、鳥の巣のリスクが高まります
給気口が家具でふさがれていたり、目の細かいネットで目詰まりしていたりする例もあわせて確認します。
排気フード内のフィルターに油が多量に付着すると廃ガスの吸引量が低下するため、発煙器等で吸込み状態も見ます。
断熱材の脱落は、天井裏の可燃物を廃ガスの熱で燃やしてしまう危険に直結します。
可燃材料からの離隔が15センチメートル未満でも、厚さ10センチメートル以上の不燃材料で覆われていれば適合とされる例外があります。

換気扇の効きが悪いと思ったら、フィルターの油汚れが原因だったこともあります。

鳥の巣や油汚れは排気不良の代表例です。
断熱材の状態もあわせて確認します。

煙突に防火ダンパーを設けてはいけないのはなぜか

煙突に防火ダンパーが取り付けられていないことを示す禁止マークと、屋根面から60センチメートル以上立ち上がった煙突
ここまでとは逆に、「付けてはいけない」という基準もあります。
防火ダンパーは本来防火区画を守るための設備ですが、煙突では話が変わります。
問4 煙突への防火ダンパー、風道等の設置の状況、並びに自然換気設備の煙突の先端の立ち上がりの状況は、どのような基準で確認するか
答4 昭和45年建設省告示第1826号第四第二号の規定により、煙突には防火ダンパーその他温度の上昇により排気を妨げるおそれのあるものを設けてはならない。同第三号により、火を使用する設備又は器具を設けた室の排気筒又は煙突は、他の換気設備の排気筒、風道等に連結しないことも確認する。自然換気設備の煙突は、建築基準法施行令第115条第1項一号・二号の規定により屋根面から60センチメートル以上立ち上げることとされている。
煙突に防火ダンパーが付いていたら、それ自体が是正対象です
防火区画を貫通する場合でも例外ではなく、平成12年の法改正時に明文化された規定です。
煙突使用時に防火ダンパーが作動すると、不完全燃焼によるガス中毒事故に直結するおそれがあるためです。
法改正前に設置された建物でも、防火上支障がないと認める基準に適合するよう改修し、直ちに取り外すよう指導します。
煙突の先端は、水平距離1メートル以内に建築物があり軒がある場合、その軒から60センチメートル以上高くする必要もあります。

防火のためのダンパーなのに、煙突には付けたらいけないんですか。

はい、不完全燃焼を防ぐための規定です。
見つけたら直ちに取り外す指導対象です。

機械換気設備特有の設備はどこを確認するのか

半密閉式瞬間湯沸器と煙突の連結部、換気扇、給排気機、風速計で換気量を測定する検査員
最後は機械換気設備だけに求められる4つの確認事項です。
換気扇や給排気機の設置状況に加え、実際の換気量まで測定します。
問5 煙突に連結した排気筒及び半密閉式瞬間湯沸器等の設置の状況、換気扇による換気の状況、給気機又は排気機の設置の状況、並びに機械換気設備の換気量は、どのような基準で確認するか
答5 昭和45年建設省告示第1826号第四第四号の規定により、防火ダンパー等を設けた排気筒に煙突を連結する場合は、煙突内の廃ガスの温度が65℃を超えた場合に自動的に作動を停止する装置を備えた半密閉式瞬間湯沸器等に限られる。換気扇は外気の流れによって著しく換気能力が低下しない構造であること、給気機又は排気機は損傷がなく堅固に取り付けられていることを確認する。換気量は排気口の同一断面内5箇所で風速を測定し、V=3,600×ν×Aの式により算出して告示が定める数値以上であることを確認する。
機械換気設備は「動いているか」だけでなく「数値」まで確認します
半密閉式瞬間湯沸器等の設置状況は、煙突内の廃ガス温度が65℃を超えたときに自動停止する装置の有無が判定基準です。
給気機・排気機は基礎のコンクリートに亀裂がないか、架台やアンカーボルトに緩みがないかもあわせて見ます。
換気量測定に用いる式は、居室の換気量測定と同じ考え方ですが、根拠となる条項は施行令第20条の3で異なります。
数値が基準を下回っていた場合は、フィルターの目詰まりなど風量低下の原因を洗い出す必要があります。

換気扇が回っていれば大丈夫だと思っていましたが、数値まで測るんですね。

風速計で実際の換気量を算出します。
基準を下回れば要是正です。

よくある質問

Q調理室等の換気設備の基準は、居室の換気基準と同じものか?
A異なります。居室の換気は建築基準法施行令第20条の2、調理室等に設ける換気設備は同令第20条の3が根拠で、給気口・排気口の位置基準など細部が異なります。
Q煙突に防火ダンパーが付いていたら、既存の建物でも是正が必要か?
A必要です。法改正前に設置された建物であっても、防火上支障がないと認める基準に適合しない限り、直ちに取り外すよう指導の対象になります。
Q排気フードのフィルターは検査でどこまで確認するのか?
Aフィルターを取り外した状態での使用は好ましくありません。多量の油の付着は廃ガスの吸引量低下につながるため、発煙器等で吸込み状態を確認します。
Q機械換気設備の換気量はどうやって測定するのか?
A排気口の同一断面内から5箇所を偏りなく抽出して風速計で風速を測定し、V=3,600×ν×Aの式で算出した数値を告示の基準値と照合します。

まとめ

火を使用する調理室等の換気設備は、施行令第20条の3が適用される独自の構造基準を持ちます
排気筒・排気フード・煙突は不燃材料で造られ、堅固に取り付けられていることを確認します
給気口は天井高さの2分の1以下、排気口は天井から下方80センチメートル以内が位置の基準です
鳥の巣やフィルターの油汚れによる給排気の妨げがないかも確認します
断熱材の脱落や、可燃物からの15センチメートル以上の離隔距離も検査事項です
煙突には防火ダンパー等を設けてはならないという、直感に反する規定があります
機械換気設備は換気扇・給排気機の設置に加え、風速計による換気量測定まで行います

調理室の換気設備、思っていたよりずっと細かい基準があるんですね!
まずは排気フードの材質から確認してみます。

点検は資格を持った検査員が実施しますが、日頃の確認も大切です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 建築基準法第12条第3項
  • 建築基準法施行令第20条の3・第115条・第129条の2の5
  • 昭和45年建設省告示第1826号(換気設備の構造方法を定める件)
  • 昭和56年建設省告示第1098号(防火上支障がない煙突の基準を定める件)
  • 平成20年国土交通省告示第285号(建築設備の定期検査の項目、事項、方法及び結果の判定基準を定める件)別表第一

※本記事は建築基準法・同施行令及び関連告示に基づく一般的な解説です。実際の検査方法・判定基準は建物の構造や設備の仕様により異なる場合があります。個別の判断は建築設備検査員又は所轄の特定行政庁にご確認ください。

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