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地下街に設ける建築設備は定期検査でどこを確認するのか|換気・排煙・照明・排水の22のチェックポイントを解説

地下街の通路で非常用照明器具を点検する女性検査員

地下街のテナントから防火管理を任された方の中には、「地下街の設備は普通のビルと同じ基準で検査すればいいのか」と迷う方が少なくありません。
実は地下街の換気・排煙・照明・排水設備は、国の告示だけでなく東京都が独自に定める検査基準でも確認されます。
根拠になっているのは建築基準法施行令第128条の3が定める地下街の設置義務と、東京都告示第444号が定める検査項目です。
この記事では、地下街に設ける建築設備の定期検査で実際に確認される項目を、検査事項ごとに整理して解説します。

うちのビルの地下は地下街に接続しているんですが、検査の内容は普通のビルと違うんでしょうか。

はい、地下街に設ける換気・排煙・照明・排水の設備は東京都告示第444号という独自の基準で検査項目が定められています。
全国共通の告示285号とは別枠の基準なんです。

知りませんでした。
具体的にどこを見られるんですか。

換気・排煙・照明・排水の4分野、合わせて22のチェックポイントがあります。
順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 地下街の換気・排煙・照明・排水設備は、東京都告示第444号が定める東京都独自の検査項目で確認されます
  • 根拠は建築基準法施行令第128条の3第1項第六号で、地下街の地下道に非常用の照明設備・排煙設備・排水設備の設置を義務付けています
  • 令和7年11月1日施行の改正で、換気設備の給排気口と照明器具の周囲にある物品の放置状況が検査事項として明記されました
  • 検査は目視等を基本に、電気回路は必要に応じて回路計で測定します
  • この告示は東京都独自の運用なので、他の特定行政庁では検査項目が異なる場合があります

地下街に設ける建築設備は換気・排煙・非常用照明・非常用排水の4分野で検査するインフォグラフィック

地下街の換気設備は定期検査でどこを確認するのか

地下街の機械換気設備と給排気口の物品放置を検査する女性作業員
地下街の各構え(店舗)には機械換気設備が設けられており、定期検査では設備そのものの状態に加えて周辺の使われ方まで確認します。
令和7年11月1日施行の改正で新たに検査事項に加わった項目があります。
問1 地下街に設ける機械換気設備の定期検査では、換気方式等・予備電源・換気量等のほかに、どのような状況を確認することとされたか。
答1 各居室の給気口及び排気口における物品の放置の状況を目視等により確認することとされ、判定基準は換気の妨げとなる物品が放置されていないことである。
給排気口の前に物が置かれていないかも検査対象です。
機械換気設備そのものは換気方式等・予備電源・換気量等の状況を目視等で確認しますが、令和7年11月1日施行の改正で給排気口周辺の物品放置がチェック項目として明記されました。
調理室や別置きの蓄電池室(密閉型蓄電池を使用するものを除く)の換気設備も、換気設備の状況を目視等で確認します。
地下街の店舗は在庫や什器で給排気口をふさぎがちなので、日常の管理から見直すと検査当日に慌てずに済みます。

給気口の前に段ボールを積んでいるお店、けっこう見かけます。

それはまさに今回追加された検査事項に当たります。
検査の前にテナントへ声をかけておくと指摘を減らせます。

地下街の機械排煙設備は排煙口の外観をどう確認するのか

地下街の排煙口と手動開放装置の外観を点検する検査員
地下街は地下道に面した閉鎖的な空間なので、排煙口が確実に開くかどうかが避難の成否を分けます。
ここでは排煙口まわりの外観に関する5つの検査事項を見ていきます。
問2 地下街に設ける機械排煙設備の排煙口の外観検査では、何を確認するか。
答2 手動開放装置の設置状況・操作方法の表示状況・手動開放装置による開放状況、そして排煙口の開放状況及び防煙区画の貫通措置状況を、いずれも目視等(開放状況は目視等又は聴診)により確認する。
手動開放装置は「設置」「表示」「実際に開くか」の3段階で見ます。
まず手動開放装置がきちんと設置され、操作方法の表示が見やすい位置にあるかを確認します。
そのうえで実際に操作し、排煙口が開放されるかを目視等又は聴診で確かめます。
最後に排煙口が防煙区画を貫通する部分の措置状況もあわせて見ます。
地下街は不特定多数が利用するため、表示の見やすさは避難行動に直結する項目です。

手動開放装置の表示が薄れて見えにくくなっていました。

表示状況もそのまま検査事項なので、早めに貼り替えておきましょう。

地下街の機械排煙設備は性能や予備電源をどう確認するのか

地下街の排煙設備の予備電源盤と配線を検査する男性作業員
排煙口が開いても、排煙風量が足りず予備電源も働かなければ煙は排出できません。
外観に続いて、性能・予備電源・配線の4つの検査事項を確認します。
問3 排煙口の性能・予備電源・配線については、それぞれ何を確認するか。
答3 性能は排煙口の排煙風量、予備電源は予備電源への切替え及び作動状況、配線は電気回路の接続状況予備電源から排煙機間の配線の耐熱処理状況(隠蔽部分及び埋設部分を除く)を確認する。
配線は「接続」と「耐熱処理」の2つを分けて見ます。
電気回路の接続状況は目視等で確認し、必要に応じて回路計で測定します。
予備電源から排煙機までの配線は、火災時の熱にさらされても機能を保てるよう耐熱処理がされているかを確認しますが、隠蔽部分や埋設部分は対象から除かれます。
排煙風量の測定は数値で判定できるため、記録を毎回残しておくと経年劣化の傾向が把握しやすくなります。
予備電源の切替えは停電時の作動そのものなので、実際に切り替わるかまで確認することが欠かせません。

配線の耐熱処理まで見られているとは思いませんでした。

隠蔽部分は対象外なので、露出している配線の状態だけでも意識しておくと安心です。

地下街の非常用照明設備は定期検査でどこを確認するのか

地下街の非常用照明器具の照度を確認する女性検査員
停電時に地下街を安全に歩けるかどうかは、非常用照明の照度がそのまま左右します。
換気設備と同じく、令和7年11月1日施行の改正で確認事項が追加されました。
問4 地下街に設ける非常用の照明設備の定期検査では、照度のほかに何を確認することとされたか。
答4 照明の妨げとなる物品の放置の状況を目視等により確認することとされ、判定基準は照明の妨げとなる物品が放置されていないことである。
照度・予備電源・配線に加えて、器具の前の物品放置も見られます。
照度の状況そのものはこれまでどおり確認しますが、令和7年11月1日施行の改正で照明器具の前に物が置かれていないかが明記の検査事項になりました。
予備電源への切替え及び作動状況、電気回路の接続状況、予備電源から非常用の照明器具間の配線の耐熱処理状況(隠蔽部分及び埋設部分を除く)もあわせて確認します。
陳列棚やのぼり旗が照明器具の前を覆っているケースは、停電時に光が届かなくなる直接の原因になります。

照明の前にポスタースタンドを置いているテナントがあります。

それも今回追加された検査事項の対象です。
巡回のときに一緒に確認しておきましょう。

地下街の非常用排水設備は定期検査でどこを確認するのか

地下街の非常用排水設備の予備電源と配線を検査する女性作業員
地下街は地上より低い位置にあるため、浸水時に排水設備が動かなければ被害が拡大します。
非常用の排水設備は予備電源と配線の2つの区分で検査します。
問5 地下街に設ける非常用の排水設備の定期検査では、何を確認するか。
答5 予備電源への切替え及び作動状況電気回路の接続状況予備電源から非常用の排水設備間の配線の耐熱処理状況(隠蔽部分及び埋設部分を除く)を確認する。
排水設備は換気・排煙・照明と同じ「予備電源+配線」の型で見ます。
予備電源への切替え及び作動状況は目視等で確認し、電気回路の接続状況は必要に応じて回路計で測定します。
予備電源から排水設備までの配線は、隠蔽部分及び埋設部分を除いて耐熱処理状況を確認します。
豪雨や漏水で地下街に水が流れ込む場面を想定すると、予備電源が確実に切り替わるかは最後の砦になる項目です。

排水設備は普段目にしないので、動くかどうか不安になります。

だからこそ定期検査で予備電源の作動まで確認する意味があります。

よくある質問

Q地下街とはどんな建物を指すのか?
A建築基準法施行令第128条の3が定める、地下道に面した店舗(構え)の集まりです。地下道の幅員や天井高、耐火性能などの基準を満たしたうえで、非常用の照明設備・排煙設備・排水設備の設置が義務付けられています。
Q東京都告示第444号の検査項目は東京都以外でも使えるのか?
Aこの告示は東京都が特定行政庁として独自に定めたものなので、他の道府県や政令指定都市では検査項目が異なる場合があります。地下街がある地域では、所轄の特定行政庁に確認することをおすすめします。
Q令和7年11月1日の改正で何が変わったのか?
A換気設備の給排気口と非常用照明器具の周囲について、物品の放置の状況を確認することが検査事項として明記されました。設備そのものだけでなく、周囲の使われ方まで検査対象になった点が変更点です。
Q検査の実施頻度はどのくらいか?
A建築基準法施行規則第6条第1項に基づき、おおむね6か月から1年(国土交通大臣が定める検査項目は1年から3年)までの間隔で、特定行政庁が時期を定めます。実際の頻度は所轄の特定行政庁の指定に従います。

まとめ

地下街の換気・排煙・照明・排水設備は東京都告示第444号が定める東京都独自の検査項目で確認されます
根拠は建築基準法施行令第128条の3第1項第六号で、地下道に非常用の照明設備・排煙設備・排水設備の設置を義務付けています
換気設備の検査は換気方式等・予備電源・換気量等に加え、給排気口の物品放置状況を確認します
排煙口は手動開放装置の設置・表示・開放状況を外観検査で確認し、風量・予備電源・配線を性能検査で確認します
非常用照明は照度・予備電源・配線に加え、器具前の物品放置状況が令和7年11月1日施行の改正で追加されました
非常用排水設備は予備電源への切替え・作動状況と配線の接続・耐熱処理状況を確認します
この告示は東京都独自の運用なので、地下街がある他地域では所轄の特定行政庁に確認することが必要です

地下街だけ別の基準があると分かって助かりました!

物品の放置状況など日常の管理で防げる指摘も多くあります。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 建築基準法第12条第3項
  • 建築基準法施行令第128条の3第1項第六号
  • 建築基準法施行規則第6条第2項
  • 東京都建築基準法施行細則(昭和25年東京都規則第194号)第13条第1項・第6項
  • 東京都告示第444号 別表(令和7年6月30日改正・同年7月1日施行)

※本記事は建築基準法・同施行令・同施行規則、および東京都告示第444号に基づき作成しています。東京都告示第444号は東京都独自の運用であり、地下街がある他の地域では検査項目が異なる場合があります。個別の建物の検査項目・判定基準については、所轄の特定行政庁または登録検査機関にご確認ください。

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