BLOG

機械換気設備は定期検査でどこを確認するのか|外気取入口の防水措置から給気口の設置位置・換気量測定まで9つのチェックポイントを解説

屋上で機械換気設備の外気取入口を点検する女性検査員

機械換気設備は、台所や浴室の換気扇だけでなく、劇場や事務室など無窓居室に設ける給排気設備も対象になります。
建築基準法第12条第3項に基づく定期検査では、告示別表第一の検査結果表に沿って、外気取入口の防水措置から風道の材質、換気扇、そして各居室の換気量測定まで9つの検査事項を確認します。
空気調和設備を備えた建物でも、機械換気設備としての外観・性能はこの9項目でチェックされます。
外気を取り込む入口から居室内の空気の流れまで、順を追って確認していきます

屋上の換気ファンなんですが、これも定期検査の対象なんでしょうか。
建物には空調も入っているんですけど。

はい、対象です。
空調があっても、台所やトイレなどの機械換気設備は別に検査項目があります。

具体的にはどこを見られるんでしょうか。

外気の取入口から風道、換気扇まで、9つの確認項目があります。
順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 外気取入口と排気口には防水・防虫の設備が必要で、破損や著しい腐食があれば要是正になります
  • 給気口と排気口が近すぎるとショートサーキットが生じ、居室内の空気が入れ替わらなくなります
  • 風道は空気を汚染するおそれのない材料で造られ、堅固に取り付けられている必要があります
  • 給気機・排気機は基礎やアンカーボルトの状態まで確認し、換気扇は外気の流れで能力が落ちない構造かを見ます
  • 各居室の換気量は風速測定のほか、二酸化炭素濃度による代替確認も認められています

機械換気設備の定期検査9つのチェックポイントを示すインフォグラフィック

給気機の外気取入口はどこを確認するのか

屋上に設置された給気機の外気取入口に防虫網が取り付けられ排気口と並んでいる様子
機械換気設備の点検は、まず外気を取り込む入口から始まります。
給気機の外気取入口や排気機の排気口は、屋外にさらされる分だけ傷みやすい部分です。
問1 給気機の外気取入口並びに直接外気に開放された給気口及び排気口への雨水の浸入等の防止措置の状況、並びに外気取入口及び排気口の取付けの状況は、目視によりどのような基準で確認すればよいか
答1 建築基準法施行令第129条の2の5第2項第三号の規定に適合しないこと、すなわち雨水の浸入又はねずみ、虫、ほこりその他衛生上有害なものの侵入を防ぐための設備が設けられていないこと、及び取付けが堅固でないこと又は著しい腐食、損傷等があることをもって判定する。
防虫網や防雨カバーの破損は見落としやすい要是正ポイントです
外気取入ガラリや排気ガラリに設けられた雨水の吸込み防止設備や防虫金網は、経年で破損したり錆びて脱落したりすることがあります。
フィルターが清掃されているかもあわせて確認します。
また、外気取入口は新鮮な外気が得られる通風性の良い場所に設けられていることが前提ですが、周囲の環境変化で空気が澱む場所になっていないかも点検時に見ておきたい視点です。
取付け自体も、基礎やブラケットが堅固でないと風雨で緩みが進みますので、触診による確認も欠かせません。

屋上の給気口、網が少し錆びていた気がします。
それだけで指摘になるんでしょうか。

著しい腐食であれば要是正です。
軽微な錆か判断が難しい場合は、腐食状況の判定基準に沿って検査員が確認します。

給気口や排気口の設置位置と取付けはどう確認するのか

天井の対角線上に離して配置された給気口と排気口、及び矢印で示された空気の流れ
給気口と排気口は、ただ設置されていればよいわけではありません。
位置関係が悪いと、せっかく取り込んだ外気が居室に行き渡らないまま排出されてしまいます。
問2 各居室の給気口及び排気口の設置位置、並びにこれらの取付けの状況は、どのような検査方法と判定基準で確認するか
答2 給気口及び排気口の位置関係を目視及び設計図書等により確認するとともに、必要に応じて気流検知器等で気流方向を確認し、著しく局部的な空気の流れが生じていないことを判定基準とする。取付けについては、堅固でないこと又は著しい腐食、損傷等があることをもって要是正とする。
給気口と排気口が近すぎるとショートサーキットが起きます
吹出し空気が室内で混合されないまま直ちに吸込み口へ排出される状態をショートサーキットと呼び、給気口と排気口が近接している場合に起きやすくなります。
給気口と排気口が室内で対角線上に配置されている場合や、一定の離隔距離が確保されている場合、給気口が複数あって分散配置されている場合などは、そのおそれは少ないと判断されます。
気流方向の確認には、気流検知器や煙発生器を用います。
取付けの緩みや腐食は、経年劣化として給気口・排気口・還気口のいずれにも起こり得るため、あわせて点検します。

給気口と排気口がすぐ隣にある部屋を見たことがあります。
あれは問題になるんでしょうか。

位置関係によります。
気流検知器で空気の流れを確認し、局部的な流れになっていないかを見ます。

風道の取付けと材質はどこを見るのか

天井裏の風道の接続部を点検口から確認する検査員
給気口や排気口の先には、空気を運ぶ風道が続いています。
天井裏など隠れた部分が多いため、点検口からの確認が重要になります。
問3 風道の取付けの状況、及び風道の材質は、どのような基準で確認するか
答3 風道の取付けについては、接続部に損傷があり空気が漏れていること又は取付けが堅固でないことをもって要是正とする。材質については、建築基準法施行令第129条の2の5第2項第五号の規定に適合しないこと、すなわち空気を汚染するおそれのない材料で造られていないことをもって判定する。
風道は隠蔽部にあるほど入念に確認します
風道の著しい変形や接続部の破損、フランジのボルト・ナットの緩み、フレキシブルダクトの接続部のテープ巻きの劣化がないかを確認します。
アルミ製フレキシブルダクトは曲げ部分でシーム(縫い目)が外れやすいため、特に注意して見ます。
風量が設計風量と著しく異なる場合は、風道に漏洩又は閉塞がある可能性があるため、風道全体を検査します。
材質は不燃材料であることに加え、湿度が高くなると結露やかびの原因になるため、吸音材の表面被覆が破れていないかもあわせて確認します。

天井裏の風道まではなかなか見えないですよね。
点検のときはどうするんですか。

点検口から目視や触診で確認します。
風量が設計値とずれていたら風道全体を調べます。

給気機・排気機の設置と換気扇による換気はどう確認するのか

基礎に据え付けられた給気機と、外気に開放された換気扇
風を送り出す機器そのものの状態も検査事項です。
給気機・排気機の設置状況と、換気扇による換気の状況を確認します。
問4 給気機又は排気機の設置の状況、及び換気扇による換気の状況は、どのような基準で確認するか
答4 給気機又は排気機は、機器に損傷があること、取付けが堅固でないこと又は著しい腐食、損傷等があることをもって要是正とする。換気扇については、建築基準法施行令第129条の2の5第2項第四号の規定に適合しないこと、すなわち外気の流れによって著しく換気能力が低下する構造となっていることをもって判定する。
基礎やアンカーボルトの状態も検査の対象です
給気機・排気機本体の損傷の有無に加え、基礎又は架台に堅固に据え付けられているかを確認します。
基礎部分のコンクリートに大きな亀裂や浮き上がりがないか、架台やアンカーボルトに変形や著しい腐食がないか、ナットの締め付けが緩んでいないかを見ます。
換気扇は、直接外気に開放された給気口又は排気口に設ける場合、外気の流れによって換気能力が著しく低下しない構造であることが基準です。
モーターの電流値の異常や、ベルトの張り具合のばらつき、ケーシングの異常な温度上昇もあわせて確認すると、不具合の早期発見につながります。

換気扇の羽根が汚れているのは指摘対象になりますか。

汚れそのものより、著しい腐食や損傷、取付けの緩みの有無で判定します。
清掃のタイミングにもなります。

各居室の換気量はどうやって測定し判定するのか

給気口の断面で風速計を使い5箇所の風速を測定する検査員
最後に、各居室に実際どれだけの換気量が確保されているかを測定します。
機械換気設備(中央管理方式の空気調和設備を含む)の性能そのものを数値で確認する検査事項です。
問5 各居室の換気量は、どのような方法で測定し、どのような基準で判定するか
答5 給気口の同一断面内から5箇所を偏りなく抽出し、風速計を用いて一点につき30秒以上継続して風速を測定し、算出式により換気量を算出する。建築基準法施行令第20条の2第一号ロ若しくはハの規定に適合しないことをもって要是正とする。風速の測定が困難な場合は、還気の二酸化炭素含有率が100万分の1,000を超えていること、又は還気と外気の二酸化炭素含有率の差が100万分の650を超えていることのいずれかをもって判定してよい。
風速計が使えないときは二酸化炭素濃度でも判定できます
給気口の同一断面内から5箇所を偏りなく選び、一点につき30秒以上継続して風速を測定し、換気量を算出するのが原則の方法です。
在室者がほぼ設計定員の状態であれば、還気の二酸化炭素濃度、又は還気と外気の濃度差を検知管等で確認する方法も認められています。
中央管理方式の空気調和設備を含む機械換気設備が対象となるため、空調があるからといって換気量の検査を省略できるわけではありません。
数値が基準に近い場合は、測定条件(在室人数や扉の開閉状態)も記録しておくと、次回検査時の比較に役立ちます。

うちのオフィス、風速計なんて置いてないんですけど大丈夫でしょうか。

二酸化炭素濃度を測る方法でも判定できます。
検知管等を使った代替確認が認められています。

よくある質問

Q機械換気設備の定期検査は誰が実施できるのか?
A一級建築士、二級建築士、又は建築設備検査員資格者証の交付を受けている者が実施し、その結果を特定行政庁に報告します(建築基準法第12条第3項)。
Q給気口と排気口が近すぎるとどうなるのか?
A吹出し空気が室内で混合されないまま排出されるショートサーキットが生じ、居室内の空気の分布が不均等になります。
Q風速計での測定が難しい部屋はどうすればよいか?
A在室者がほぼ設計定員の状態で、還気の二酸化炭素濃度又は還気と外気の濃度差を検知管等で確認する方法に切り替えられます。
Q空気調和設備がある建物でも機械換気設備の検査は必要か?
A必要です。中央管理方式の空気調和設備を含む機械換気設備として、外気取入口の防水措置から換気量測定までの9項目が検査対象になります。

まとめ

機械換気設備は、劇場や事務室などの無窓居室のほか、中央管理方式の空気調和設備を含む形でも検査対象になります
外気取入口・排気口には防水・防虫の設備が必要で、破損や著しい腐食があれば要是正です
給気口と排気口の位置関係が悪いとショートサーキットが生じ、換気が有効に機能しません
風道は空気を汚染しない材料で造られ、堅固に取り付けられていることが基準です
給気機・排気機は基礎やアンカーボルトの状態まで確認します
換気扇は外気の流れで換気能力が著しく低下しない構造であることが求められます
各居室の換気量は風速測定のほか二酸化炭素濃度による代替確認も可能です

これで機械換気設備の点検ポイントがよく分かりました!
まずは外気取入口から見てみます。

点検は資格を持った検査員が実施しますが、日常の維持管理も大切です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 建築基準法第12条第3項
  • 建築基準法施行令第20条の2、第129条の2の5
  • 平成20年国土交通省告示第285号(建築設備の定期検査の項目、事項、方法及び結果の判定基準を定める件)別表第一

※本記事は建築基準法・同施行令及び関連告示に基づく一般的な解説です。実際の検査方法・判定基準は建物の構造や設備の仕様により異なる場合があります。個別の判断は建築設備検査員又は所轄の特定行政庁にご確認ください。

BLOGカテゴリ
最新の記事
防火管理者代行サービス
無料1分概算見積
屋上で機械換気設備の外気取入口を点検する女性検査員
機械換気設備は、台所や浴室の換気扇だけでなく、劇場や事務室など無窓居室に設ける給排気設備も対象になります。 建築基準法第12条第3項に基づく定期検査では、告示別表第一の検査結果表に沿って、外気取入口の防水措置から風道の材...