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排水槽の定期検査ではどこを確認するのか|マンホールから排水ポンプまで5のチェックポイントを解説

排水槽の点検口を懐中電灯と巻尺で確認する女性検査員

排水槽は、汚水や雑排水を公共下水道などへ流す前に一時的にためておくための地下ピットです。
密閉された空間の中で臭気や漏水、ポンプの不具合が進んでいても、外からは気づきにくいという特徴があります。
建築設備定期検査では、マンホールの大きさから排水ポンプの運転状況まで、排水槽ひとつに対して5つの検査事項が定められています。
どこを見れば見落としを防げるのか、判定基準に沿って順番に整理します。

排水槽の点検って、結局どこを見ればいいんですか。
マンホールとポンプくらいしか意識したことがなくて。

検査基準書では排水槽ひとつに対して5つの検査事項が定められています。
マンホールの大きさから排水ポンプの運転状況まで、順番に確認していきましょう。

5つもあるんですね。
清掃のときにはそこまで意識して見たことがありませんでした。

清掃だけでは分からない構造上の要件も含まれています。
この記事で判定基準を一つずつ押さえていきましょう。

この記事の結論
  • 排水槽のマンホールは直径60cm以上の円が内接できる大きさが必要です。
  • 通気装置は槽内に設けるだけでなく、直接外気に衛生上有効に開放する構造でなければなりません。
  • 排水漏れの有無は、最大24時間程度の水位観察などで確認します。
  • 排水ポンプは底面への密着と揚水管の固定状況を目視で確認します
  • 運転中は異常な音や振動のほか、水圧計・電流計の値が適正かどうかも確認します。

排水槽の定期検査5つの確認ポイントを示すインフォグラフィック

排水槽のマンホールはどのくらいの大きさが必要か

直径60cm以上の円が内接するマンホールの寸法を巻尺で確認する検査員
排水槽は地下ピットの中に汚水をためる構造のため、内部の点検には十分な広さの出入口が必要です。
検査ではまず、このマンホールの大きさが基準を満たしているかどうかを確認します。
排水設備/排水槽 検査事項(1) 排水槽のマンホールの大きさについて、どのような場合に是正が必要と判定されるか。
判定基準 マンホールの構造が、昭和50年建設省告示第1597号が定める規定に適合しないこと。(検査方法:目視により確認するとともに、必要に応じて鋼製巻尺等により測定する。)
マンホールは、内部の保守点検を容易かつ安全に行える位置と大きさが求められます。
基準が定めるのは直径60cm以上の円が内接できる大きさで、人が体を入れて点検できる広さが目安です。
ただし、外部から内部の保守点検を容易かつ安全に行うことができる小規模な排水槽は、この限りではありません。
寸法の測定には鋼製巻尺、またはこれと同等以上の性能を持つ器具を用います。
マンホールの蓋が重機や資材の下敷きになっていないかも、あわせて確認しておきたいポイントです。

うちの排水槽のマンホール、資材置き場の下敷きになっている気がします。

それだと内部の点検ができなくなってしまいます。
次の清掃までに周囲を片付けておきましょう。

排水槽の通気はどこを確認するのか

排水槽から屋外へ立ち上がり直接外気に開放された通気管
排水槽の中では汚水が絶えず出入りするため、内部の空気の逃げ道がなければ臭気や圧力がこもってしまいます。
検査では、この通気のための装置が正しく機能しているかどうかを確認します。
排水設備/排水槽 検査事項(2) 排水槽の通気の状況について、どのような場合に是正が必要と判定されるか。
判定基準 通気のための装置が、昭和50年建設省告示第1597号が定める規定に適合しないこと。(検査方法:目視により確認する。)
通気のための装置は、直接外気に衛生上有効に開放されていなければなりません。
通気管は排水槽内の臭気を排気するだけでなく、汚水が流入するときの空気を排出し、ポンプで排出するときには空気を取り込む役割も担っています。
通気管が単独に設けられていること、屋内で行き止まりになっていないことを確認します。
排水槽の場合、通気管の管径は通気流量が大きいことから50mm以上とし、排水流入管径に見合った太さとします。
先端が屋外の給気口や窓の近くに開口していないかも、目視で確認しておきたい点です。

通気管って、排水管とは別に立てないといけないんですか。

はい、通気のための装置は排水管と兼用せず単独に設けます。
先端が窓の近くにないかもあわせて確認します。

排水槽の漏れはどうやって確認するのか

排水槽内のき裂と隣接ピットへの漏水がないか確認する検査員
排水槽の壁や床にき裂が生じると、汚水が周囲の地盤やピットに染み出してしまいます。
検査では槽体そのものの健全性を、複数の方法を組み合わせて確認します。
排水設備/排水槽 検査事項(3) 排水漏れの状況について、どのような場合に是正が必要と判定されるか。
判定基準 漏れがあること。(検査方法:目視により確認する。)
排水槽に漏れがないことが判定基準で、確認は複数の視点から行います。
まず排水槽内部のき裂の有無を目視で確認し、あわせて隣接するピット(湧水槽)への漏水がないかも見ます。
可能な範囲で、排水槽への汚水の流出入をおおむね24時間程度止め、その間に汚水の水位が変化しないことも確認します。
水位が下がっていれば漏れが、逆に想定以上に上がっていれば流入経路の異常が疑われます。
槽の周囲や地下ピットに汚水特有の臭気や湿りがないかも、あわせてチェックしておくとよいでしょう。

24時間も水位を見ないといけないんですか。
手間がかかりそうです。

検査当日にすべてを見るのが難しい場合は、日を分けて確認することもあります。
詳しくは検査を依頼する業者に相談してみてください。

排水ポンプの設置状況はどこを見るのか

排水槽の底に設置され揚水管が固定された排水ポンプ
排水ポンプは排水槽の底に沈められた状態で使われるため、日常の点検では状態を確認しにくい設備です。
検査では設置状態そのものを重点的に確認します。
排水設備/排水槽 検査事項(4) 排水ポンプの設置の状況について、どのような場合に是正が必要と判定されるか。
判定基準 取付けが堅固でないこと又は著しい腐食、損傷等があること。(検査方法:目視により確認する。)
排水ポンプは底面の密着と配管の固定状況を中心に確認します。
排水ポンプの底面が排水槽の底面に密着していること、排水揚水管が排水槽の躯体にしっかり固定されていることを確認します。
ポンプ本体に腐食や損傷がないかも目視で見ます。「著しい腐食」にあたるかどうかは、基準書が定める腐食状況の判定基準にもとづいて判断されます。
なお、ポンプの正確な状態は排水槽の清掃時に確認することが望ましいとされています。
清掃と検査の時期を合わせておくと、より詳しい状態確認につながります。

ポンプの状態は、清掃のときに一緒に見てもらったほうがいいんですね。

そのとおりです。
清掃業者と検査業者に時期をあわせてもらうと、槽内の様子まで確認しやすくなります。

排水ポンプの運転状況はどう判定するのか

運転中の排水ポンプの水圧計と電流計を確認する検査員
排水ポンプは設置状態が良くても、実際に動かしたときに異常が出ることがあります。
検査の最後に、運転中の状態を確認します。
排水設備/排水槽 検査事項(5) 排水ポンプの運転の状況について、どのような場合に是正が必要と判定されるか。
判定基準 運転中に異常な音、異常な振動等があること又は定格水圧がないこと。(検査方法:水圧計により測定するとともに、作動の状況を確認する。)
運転中の音・振動・計器の値の三つが、判定の目安になります。
排水ポンプの運転中に異常な騒音や振動がないことを確認します。
水圧計が適正水圧を示しているか、電流計が適正値を示しているかもあわせて確認します。
これらのいずれかに異常があれば、そのポンプは是正が必要と判定されます。
日頃から運転音に耳を傾けておくと、検査を待たずに異変へ気づけることもあります。

水圧計や電流計の数字なんて、見方が分かりません。

検査員が仕様書の定格値と比べて判定してくれますので、その場で一緒に確認してみましょう。
気になる音があれば、遠慮なく伝えてください。

よくある質問

Q排水槽のマンホールはどんな場合でも直径60cm以上必要ですか?
A原則として直径60cm以上の円が内接できる大きさが必要ですが、外部から内部の保守点検を容易かつ安全に行うことができる小規模な排水槽はこの限りではありません。
Q通気管は排水管と一緒にしてもよいですか?
Aいいえ。通気のための装置は単独に設け、直接外気に衛生上有効に開放する構造にする必要があります。
Q排水漏れはどのように確認しますか?
A排水槽内のき裂の有無や隣接ピットへの漏水を目視で確認し、あわせて汚水の流出入を止めた状態で水位に変化がないかを見ます。
Q排水ポンプの状態はいつ確認するのが望ましいですか?
A排水ポンプの状態は排水槽の清掃時にあわせて確認することが望ましいとされています。

まとめ

排水槽は建築基準法第12条第3項にもとづく建築設備定期検査の対象です。
検査事項は昭和50年建設省告示第1597号などにもとづく判定基準で確認します。
マンホールは直径60cm以上の円が内接する大きさが必要です
通気のための装置は直接外気に衛生上有効に開放する構造にします。
排水漏れはき裂の有無と24時間程度の水位観察で確認します
排水ポンプは底面への密着と揚水管の固定を確認します。
運転中は異常な音・振動のほか、水圧計・電流計の値も確認します。

排水槽の点検で何を見られているのか、これでよく分かりました!
次の清掃のときにマンホール周りのスペースも見直しておきます。

それは安心です。
お困りの際は㈱防災屋でもご相談を承っております。

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 建築基準法第12条(e-Gov法令検索)
  • 建築基準法施行令第129条の2の4(e-Gov法令検索)
  • 昭和50年建設省告示第1597号 第二 二 排水槽(e-Gov法令検索)

※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。検査の方法や判定の運用は特定行政庁や建物の状況によって異なる場合があります。個別の判断は所轄の特定行政庁または専門業者にご確認ください。

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