BLOG

自家用発電装置の性能は定期検査でどこを確認するのか|電源の切替えから補機類の作動状況まで5つのチェックポイントを解説

自家用発電装置の性能を点検する検査員

㈱防災屋の検査員は、自家用発電装置を目で確認するだけでなく、実際に動かして性能を確かめています。
建築設備定期検査基準書では、自家用発電装置の検査項目は「自家用発電装置等の状況」と「自家用発電装置の性能」の2つに分かれています。
今回は電源の切替えから始動、運転、排気、補機類の作動まで、実際に発電機を動かして確認する5つのチェックポイントを解説します。
停電時に確実に電気を供給できるかどうかは、この性能の検査で初めて確かめられます。

自家用発電装置、動くことは動くのですが、性能の検査までは正直よく分かっていません。

外観の状況とは別に、実際に負荷をかけて動かし、切替えや始動の速さまで確かめる性能の検査があります。
目視だけでは分からない不具合もありますよ。

停電したらちゃんと予備電源に切り替わるか、というところですね。
電圧が出るまでの時間にも基準があるのですか。

はい、始動してから電圧が確立するまでの時間にも明確な基準があります。
今回はその5つの確認ポイントを順番に解説しますね。

この記事の結論
  • 電源の切替えは常用から予備電源へ自動で行われることが必要で、切替えができない場合は不合格です
  • 始動の検査では空気始動・セル始動のいずれでも正常に作動し、電圧が始動から40秒以内(10秒始動形は10秒以内)に確立することを確認します
  • 運転中は異常な音や振動がないかを目視・聴診・触診で確かめます
  • 排気は排気管や消音器の変形・損傷・き裂による漏れがないかを確認します
  • コンプレッサーや燃料ポンプ、冷却水ポンプなどの補機類も運転中の異常音・振動・過熱がないか確認します

自家用発電装置の性能に関する定期検査の確認ポイントを示す図解

電源の切替えはなぜ自動でなければならないのか

常用電源から予備電源への自動切替えを確認する検査員
自家用発電装置の性能検査は、まず常用電源から予備電源への切替えが正常に行えるかどうかから始まります。
ここが働かなければ、そもそも発電機に電気を作らせる出番が来ません。
問1 自家用発電装置における電源の切替えの状況は、どのような基準で判定するか。
答1 作動の状況を確認し、常用の電源(商用電源)から予備電源(自家用発電装置電源)への切替えができないことを判定基準とする。
停電を感知した瞬間、人の操作を待たずに切り替わることが絶対条件です。
常用電源と自家用発電装置の電源が同時に投入されないよう、電気的又は機械的なインターロックが施されていることを確認します。
切替えの検査では電気図面をよく調べ、停電検出リレー等の操作により実際に切替えを行いますが、制御回路のみを操作すると電気事故のおそれがあるため、必ず停電検出に係る遮断器を開放して行います。
電源の切替えには、変圧器の2次側で切り替える低圧切替と、変圧器の1次側で切り替える高圧切替の2種類があります。
なお、高圧切替の検査は、自主検査記録等を確認することにより省略できるとされています。

停電したらすぐに発電機の電気に切り替わる、という理解でいいんでしょうか。

その通りです、人が操作しなくても自動的に切り替わることが判定基準になっています。

始動から電圧確立までは何秒以内が基準か

自家用発電装置の始動から電圧確立までの時間を計測する検査員
自家用発電装置は、始動してから実際に電圧を作り出すまでにも時間の基準があります。
ここでは始動方式と、電圧が確立するまでの時間を確認します。
問2 自家用発電装置の始動の状況は、どのような基準で判定するか。
答2 作動の状況を確認し、空気始動及びセル始動により作動しないこと又は電圧が始動から40秒以内に確立しないことを判定基準とする(10秒始動にあっては10秒以内)。
始動してから電圧が立ち上がるまでの秒数が、そのまま合否を分けます。
自家用発電装置は空気始動又はセル始動のいずれかの方式で正常に始動することが必要です。
発電装置には、電圧確立までの時間が10秒以内のものと40秒以内のものがあり、加えて定格負荷連続運転時間が1時間のものと10時間のものに区分されます。
非常時の始動・停止は法令上、手動始動が認められておらず、商用停電から停電検出、機関始動、電圧確立、遮断器投入、切替えという流れを自動で行います。
検査では、始動から電圧確立までの実際の秒数を計測し、機種ごとに定められた時間内に収まっているかを確認します。

うちの発電機、動くところまでは見たことがあるんですが電圧が出るまでの時間なんて測ったことないです。

始動から電圧確立までの秒数は機種ごとに基準が決まっているので、検査で実際に計測しますよ。

運転中の音や振動はどう判定するのか

発電機の運転中の異常な音や振動を確認する検査員
発電機が動きだしたあとは、実際に運転している状態を目と耳と手で確かめます。
ここで異常が見つかれば、性能の検査は不合格になります。
問3 自家用発電装置の運転の状況は、どのような基準で判定するか。
答3 目視、聴診又は触診により確認し、運転中に異常な音、異常な振動等があることを判定基準とする。
異常な音や振動は、内部の不具合を外から知らせるサインです。
検査員は発電機の運転中に、異音異常な振動がないかを、見て、聞いて、触れて確認します。
軸受けの摩耗やベルトの緩み、基礎ボルトの緩みなどがあると、運転音や振動に変化が現れることがあります。
普段の運転音を知っておくことで、わずかな変化にも気づきやすくなります。
異常が見つかった場合は、原動機と発電機のどちらに起因するものかを切り分けて確認します。

普段から発電機を動かしていれば、異常な音にも気づけるものなんでしょうか。

定期的に試運転しておくと、いつもと違う音や振動にすぐ気づけるようになりますよ。

排気にまつわる不具合はどこを見るのか

排気管の変形やき裂、末端の障害物を確認する検査員
運転中に発生する排気ガスも、正しく外部へ排出されているかを確認します。
排気の経路にわずかな不具合があっても、放置は禁物です。
問4 自家用発電装置の排気の状況は、どのような基準で判定するか。
答4 目視により確認し、排気管、消音器等の変形、損傷、き裂等による排気漏れがあることを判定基準とする。
排気管のわずかなき裂も、室内へのガス漏れにつながります。
排気管や消音器に変形・損傷・き裂等がなく、接続部から排気が漏れていないかを確認します。
あわせて、排気管の末端部分に鳥の巣や落ち葉などの障害物が詰まっていないかも見ます。
排気管の末端がふさがれていると、内部の圧力が上がって排気が逆流し、機関の性能低下や排気漏れの原因になります。
屋外に設置された排気管の末端は特に、鳥や虫が入り込みやすいため、注意して確認する箇所です。

排気管の先っぽに鳥の巣ができるなんて、考えたこともなかったです。

特に屋外に露出した末端部分は、意外と鳥や虫の住処になりやすいので毎回確認しています。

コンプレッサーや燃料ポンプなど補機類はどう確認するのか

コンプレッサーや燃料ポンプ、冷却水ポンプの作動状況を確認する検査員
最後に、発電機本体を支える補機類の運転状態も確認します。
これで自家用発電装置の性能に関する検査事項がひと通りそろいます。
問5 コンプレッサー、燃料ポンプ、冷却水ポンプ等の補機類の作動の状況は、どのような基準で判定するか。
答5 作動の状況を確認し、運転中に異常な音、異常な振動等があることを判定基準とする。
発電機本体が正常でも、補機類が働かなければ運転は続きません。
コンプレッサーは始動用の空気槽へ圧縮空気を送り込む役割を持ち、能力が低下すると始動そのものに支障が出ます。
燃料ポンプ冷却水ポンプは、燃料の供給や原動機の冷却を担う機器で、これらが止まれば長時間の運転を維持できません。
検査では、これらの補機類が運転中に異常な音、異常な振動、異常な過熱を起こしていないかを確認します。
これで自家用発電装置の性能に関する5つのチェックポイントがすべて確認できたことになります。

コンプレッサーとかポンプとか、発電機の周りには意外といろんな機械があるんですね。

本体だけでなく補機類まで正常に動いてはじめて、非常時に頼れる発電機と言えます。

よくある質問

Q空気始動とセル始動、どちらの方式でも判定基準は同じか?
Aはい、方式にかかわらず、始動してから電圧が確立するまでの時間が基準の秒数以内であることが判定基準です。ただし始動用の空気槽やセル始動用蓄電池そのものの状態は、別の検査項目として個別に確認します。
Q定格負荷連続運転時間が1時間の機種と10時間の機種で、始動の判定基準は変わるか?
A電圧確立までの時間(10秒又は40秒)は、連続運転時間の区分とは別の分類です。即時普通形・普通形・即時長時間形・長時間形のいずれであっても、機種ごとに定められた確立時間の基準で判定します。
Q運転中の音や振動に明確な数値基準はあるのか?
A「異常な音、異常な振動等があること」が判定基準であり、具体的な数値基準は定められていません。普段の運転状態との比較や、検査員の経験に基づく聴診・触診によって判定します。
Q排気管の末端に鳥の巣が見つかった場合、どう対応すればよいか?
A判定基準そのものは排気管や消音器の変形・損傷・き裂による排気漏れですが、末端部分の障害物も排気の逆流につながるため、検査時に除去し、再発防止の対策を検討することが望まれます。

まとめ

電源の切替えは常用から予備電源へ自動で行われることを確認する
高圧切替の検査は自主検査記録等の確認により省略できる
始動の検査は空気始動・セル始動で正常に作動し、電圧が基準の秒数以内に確立することを確認します
発電装置の電圧確立時間は10秒又は40秒のいずれかで区分される
運転中は目視・聴診・触診で異常な音や振動がないかを確認する
排気は排気管や消音器の変形・損傷・き裂による漏れと、末端の障害物の有無を確認します
コンプレッサーや燃料ポンプ、冷却水ポンプなどの補機類も運転中の異常音・振動・過熱がないか確認する

電源の切替えから補機類の作動まで、発電機の性能検査で見るポイントがよく分かりました

自家用発電装置は停電時に確実に動くかを実際に確かめることが何より大切です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 建築基準法第12条第3項(e-Gov法令検索)
  • 建築基準法施行令第126条の5第1項第一号ハ(e-Gov法令検索)
  • 昭和45年建設省告示第1830号第3(電源)

※本記事は、建築基準法・同施行令・関係告示に基づき、自家用発電装置の性能に関する定期検査における一般的な検査事項を解説したものです。建築物の構造や設備の仕様によって具体的な確認方法は異なる場合があります。個別の判定は所轄の特定行政庁又は建築設備検査員にご確認ください。

BLOGカテゴリ
最新の記事
防火管理者代行サービス
無料1分概算見積
自家用発電装置の性能を点検する検査員
㈱防災屋の検査員は、自家用発電装置を目で確認するだけでなく、実際に動かして性能を確かめています。建築設備定期検査基準書では、自家用発電装置の検査項目は「自家用発電装置等の状況」と「自家用発電装置の性能」の2つに分かれてい...