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排水再利用配管設備は定期検査でどこを確認するのか|雑用水の用途表示から消毒装置まで5つのチェックポイントを解説

雑用水の配管や給水栓を点検する女性検査員

建築設備定期検査の「排水再利用配管設備(中水道を含む。)」の区分では、雑用水として再利用する水の配管が、飲料水の配管と混ざらないように保たれているかを確認します。
洗浄水や散水に使う雑用水は便利な反面、誤って飲んだり手や顔を洗ったりすると健康被害につながるおそれがあります。
そこで告示は、用途の制限から給水栓の表示、配管の色分け、消毒装置まで、多重の安全策を求めています。
本記事では、この5つのチェックポイントを配管設備定期検査基準書と建築基準法の条文に沿って整理して解説します。

うちのビルにも雑用水の配管があるはずですが、
飲み水とどう区別しているのか正直よく分かりません。

はい、そのために建築基準法の告示で用途の制限や表示のルールが細かく定められています。
今回はその5つのチェックポイントを解説します。

5つもあるんですね。
具体的にはどんなことを確認するんですか。

雑用水の用途を制限することから始まり、給水栓の表示や配管の色分け、消毒装置まで順番に見ていきます。

この記事の結論
  • 雑用水は飲料水の配管と直接連結させず、洗面器や手洗器など誤飲・誤用のおそれのある器具にもつなぎません。
  • 雑用水の給水栓には容易に取り外せない注意表示や標示板を目立つ位置に設けます
  • 配管はプレートやテープ、塗装などで飲料水配管と見分けられるようにします。
  • 雑用水タンクやポンプは堅固に固定し、著しい腐食や損傷、漏水がないことを確認します。
  • 消毒装置は消毒液が十分に確保され、正常に機能していることを確認します

雑用水の配管設備定期検査における5つのチェックポイントを示す図解

雑用水はどんな用途になら使ってよいのか

着色した雑用水を使って誤接続がないか確認する女性検査員
雑用水は洗浄水や散水など限られた用途にしか使えません。
まずは飲料水の配管と間違ってつながっていないかを確認します。
排水再利用配管設備(中水道を含む。) 検査事項(7)雑用水の用途について、どのような場合に是正が必要と判定されるか。
判定基準 建築基準法施行令第129条の2の4第2項第一号又は昭和50年建設省告示第1597号第2第六号ハの規定に適合しないこと。(検査方法:雑用水に着色等を行い、目視等により確認する。)
雑用水は飲料水の配管と直接つないではいけません。
施行令第129条の2の4第2項第一号は、飲料水の配管設備とその他の配管設備を直接連結(クロスコネクション)させないことを定めています。
昭和50年建設省告示第1597号は、雑用水の配管設備を洗面器や手洗器など誤飲・誤用のおそれのある衛生器具に連結しないよう求めています。
検査では雑用水に着色して通水試験を行い、飲料水系統の水栓から着色水が出ないかを確認します。
散水や洗車、大便器の洗浄水などが主な用途で、手洗いや調理に使う水には使えません。

散水に雑用水を使っているのは知っていましたが、
そんな試験までしているとは知りませんでした。

着色した水を流して誤接続がないかを確かめる、大事な検査です。

雑用水の給水栓にはどんな表示が必要なのか

雑用水の注意表示がある給水栓を確認する女性検査員
雑用水の給水栓は、飲み水と見分けがつく表示が欠かせません。
表示が消えていたり外れたりしていないかも検査の対象です。
排水再利用配管設備(中水道を含む。) 検査事項(8)雑用水給水栓の表示の状況について、どのような場合に是正が必要と判定されるか。
判定基準 昭和50年建設省告示第1597号第2第六号ニの規定に適合しないこと。(検査方法:目視により確認する。)
雑用水の水栓には必ず注意表示が必要です。
告示第2第六号ニは、雑用水の水栓に排水再利用水であることを示す表示をすることを定めています。
検査では、表示が容易に取り外せないものになっているか、文字が消えていないかを確認します。
散水や洗車に使う水栓は誤って使われやすいため、キー付き水栓にしておくことが望ましいとされています。
表示だけに頼らず、構造面でも誤用を防ぐ工夫が求められます。

洗車用の水栓に鍵がついているのは、そういう意味だったんですね。

誤用防止のための工夫のひとつです。
表示と合わせて確認してみてください。

雑用水の配管はどうやって見分けられるようにするのか

色分けされた雑用水配管を確認する男性検査員
配管そのものにも、雑用水であることが分かる工夫が必要です。
天井裏や機械室で見分けがつくようになっているかを確認します。
排水再利用配管設備(中水道を含む。) 検査事項(9)配管の標識等について、どのような場合に是正が必要と判定されるか。
判定基準 昭和50年建設省告示第1597号第2第六号ロの規定に適合しないこと。(検査方法:目視により確認する。)
配管は色や表示で飲料水系統と区別します。
告示第2第六号ロは、雑用水の配管であることを示す表示を水栓及び配管に見やすい方法でするか、又は他の配管設備と容易に判別できる色とすることを求めています。
現場ではプレートやテープを貼る方法のほか、配管そのものを塗装で識別表示する方法もよく使われます。
検査ではこれらの表示や色分けが天井裏や機械室でも維持されているかを確認します。
配管の改修や増設で表示が抜け落ちることもあるため、工事のたびに見直すことが大切です。

天井裏の配管まで色分けされているとは知りませんでした。

改修工事のときに表示が抜け落ちることもあるので、
工事後の確認も忘れずにお願いします。

雑用水タンクやポンプの設置状況はどこを確認するのか

雑用水タンクとポンプの腐食や取付け状態を確認する女性検査員
雑用水を送り出すタンクやポンプも、しっかり固定されていることが前提です。
腐食や損傷、漏水がないかをあわせて確認します。
排水再利用配管設備(中水道を含む。) 検査事項(10)雑用水タンク、ポンプ等の設置の状況について、どのような場合に是正が必要と判定されるか。
判定基準 取付けが堅固でないこと又は著しい腐食、損傷等があること。(検査方法:目視により確認する。)
タンクやポンプは地震でも動かない固定が基本です。
雑用水タンクやポンプ、制御盤は、水圧や地震その他の震動及び衝撃に対して安全上及び構造上支障のないよう、支持構造部や建築物の主要な部分に緊結されていることが求められます。
検査ではタンクやポンプの本体、緊結金物に発錆や腐食がないか、さび止めや防腐の措置が講じられているかを確認します。
アンカーボルトが埋め込まれている場合は、コンクリート基礎のひび割れや劣化がないかもあわせて見ます。
漏水があると周囲の設備や躯体を傷めるおそれがあるため、早期の発見が欠かせません。

タンクの土台にひびが入っていないかまで見るんですね。

はい、アンカーボルト周りのひび割れは見落とされがちなので、
私たちも重点的に確認しています。

消毒装置はどこを確認するのか

消毒装置の消毒液量を確認する女性検査員
雑用水は塩素消毒などで衛生状態が保たれています。
消毒装置そのものが正常に働いているかも検査対象です。
排水再利用配管設備(中水道を含む。) 検査事項(11)消毒装置について、どのような場合に是正が必要と判定されるか。
判定基準 消毒液がなくなり、装置が機能しないこと。(検査方法:目視により確認する。)
消毒液が切れていては消毒の意味がありません。
告示第2第六号ホは、雑用水の配管設備について塩素消毒その他これに類する措置を講ずることを求めています。
検査では消毒装置が設置されている場合に、消毒液量が十分に確保され、装置が十分に機能しているかを確認します。
建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行規則は、散水や清掃、便所洗浄に使う雑用水について、遊離残留塩素0.1mg/L以上などの水質基準と定期的な検査を求めています。
消毒装置の不具合は水質の悪化に直結するため、液量の点検を後回しにしないことが大切です。

消毒液が切れているだけで、危険な状態になるということですか。

その通りです。
液量の確認を怠ると水質が悪化するおそれがあるので注意してください。

よくある質問

Q雑用水はどんな場所で使われていますか?
A散水や洗車、大便器・小便器の洗浄水など、飲用や調理を伴わない用途に使われます。洗面器や手洗器、給湯などには使用が認められていません。
Q雑用水の給水栓に鍵が付いているのはなぜですか?
A散水や洗車用の水栓は特に誤用されやすいため、キー付き水栓にして容易に使えないようにすることが望ましいとされています。
Q配管の色分けにはどんな方法がありますか?
Aプレートやテープを貼る方法、配管そのものを塗装で識別表示する方法などがあります。他の配管設備と容易に判別できる色にすることが基準です。
Q消毒装置がない雑用水設備もありますか?
Aはい、雑用水設備の構造によっては消毒装置を設けていない場合もあります。設置されている場合に限り、消毒液量と機能が検査事項になります。

まとめ

排水再利用配管設備(雑用水配管)は誤飲・誤用と誤接続を防ぐ仕組みが検査の中心です
雑用水は飲料水の配管と直接連結させず、洗面器などの器具にもつなぎません
給水栓には容易に取り外せない注意表示を設けます
配管はプレートや色分けで飲料水配管と見分けられるようにします
タンクやポンプは堅固に固定し、腐食や損傷、漏水がないことを確認します
消毒装置は消毒液量と機能を確認します
気になる点があれば早めに設備業者や㈱防災屋に相談することが大切です

雑用水にもこんなに細かいルールがあるとは知りませんでした

雑用水は見た目では飲料水と区別がつきにくい設備です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 建築基準法第12条第3項(e-Gov法令検索)
  • 建築基準法施行令第129条の2の4第2項第一号(e-Gov法令検索)
  • 昭和50年建設省告示第1597号 第2第六号(排水再利用配管設備の構造)
  • 平成20年国土交通省告示第285号 別記第四号(給水設備及び排水設備の検査結果表)
  • 建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行規則第4条の2(雑用水の水質基準)

※本記事は、建築基準法・同施行令・関係告示に基づき、排水再利用配管設備(中水道を含む。)に関する定期検査における一般的な検査事項を解説したものです。建築物の構造や設備の仕様によって具体的な確認方法は異なる場合があります。個別の判定は所轄の特定行政庁又は建築設備検査員にご確認ください。

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