建築設備定期検査の「排水設備」区分では、排水管そのものが正しく公共下水道につながり、途中で詰まらず流れているかを確認します。
排水管は普段は目に入りませんが、勾配不足や掃除口の不備、雨水と汚水の混線があると、詰まりや逆流、悪臭といったトラブルに直結します。
そこで検査基準書は、公共下水道への接続方法から掃除口の位置、冷蔵庫やポンプの間接排水まで、配管まわりの点検事項を細かく定めています。
本記事では、この6つのチェックポイントを配管設備定期検査基準書と建築基準法の条文に沿って整理して解説します。
排水管って、詰まらなければいいと思っていました。
点検ではどんなことを見るんですか。
はい、公共下水道への接続から掃除口の位置まで、順番に確認していきます。
今回はその6つのチェックポイントを解説します。
掃除口の位置まで決まりがあるんですね。
知りませんでした。
はい、排水管が詰まりにくい構造になっているかを、告示の基準に沿って一つずつ見ていきます。
- 配管設備の末端は公共下水道や都市下水路に排水上有効に連結されていることを確認します。
- 雨水排水立て管は汚水排水管や通気管と兼用・連結せず、雨水を汚水系統につなぐ場合はトラップを設けます。
- 排水横管は管径に応じた適切な勾配で設けられ、排水が滞留していないことを確認します。
- 排水横枝管の起点や配管の曲がり角など、掃除口が必要な位置に設けられていることを確認します。
- 冷蔵庫やポンプなどの排水は排水管に直接つながず、排水口空間を設けて間接排水としていることを確認します。
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目次
排水管の末端はどこにつながっていればよいのか

合流式か分流式かによって、雨水の流し方も変わります。
施行令第129条の2の4第3項第三号は、配管設備の末端を公共下水道、都市下水路その他の排水施設に排水上有効に連結することを定めています。
公共下水道への排水系統には、汚水と雨水を同じ管で流す合流式と、別々の管で流す分流式があります。
検査では、この系統の違いに応じて雨水と汚水の配管が正しくつながっているかを確認します。
多量の有害物質を含む排水を公共下水道に流す場合は、あらかじめ除害施設で処理されていることも確認します。
合流式とか分流式とか、
正直あまり意識したことがありませんでした。
建物がどちらの下水道につながっているかで、雨水の扱い方が変わってきます。
雨水排水管は汚水系統とどう区別するのか

混ざると、詰まりや悪臭、配管の腐食につながるおそれがあります。
兼用すると雨水排水立て管が詰まったときに雨水が器具から溢れたり、通気管と連結すると降雨時に通気管内の圧力が異常となり、排水トラップの封水が破られたりするおそれがあります。
一方、雨水排水管(雨水排水立て管を除く。)を汚水排水のための配管設備に連結する場合には、当該雨水排水管に排水トラップを設ける必要があります。
単独でトラップを設けることで、排水管内の有毒ガス等が雨水排水立て管を経てルーフドレンから屋上や外気取入口付近の空気を汚染するのを防げます。
検査ではこの2つの接続関係が、図面と現地の配管で食い違っていないかを確認します。
雨水と汚水を混ぜてはいけないのは分かりますが、
トラップまで必要なんですね。
はい、単独のトラップが、屋内への臭気の侵入を防ぐ役目を果たしています。
排水管の勾配はどう確認するのか

検査では実際に水が流れているかどうかも見ます。
施行令第129条の2の4第3項第一号は、排出すべき雨水又は汚水の量及び水質に応じ有効な容量、傾斜及び材質を有することを求めています。
排水横管の勾配は、管径65mm以下で最小50分の1、75mm・100mmで最小100分の1、125mmで最小150分の1、150mm以上で最小200分の1が標準とされています。
検査では排水の逆流や異音、トラップの封水切れの有無などから、排水状況をチェックします。
勾配が緩すぎたり配管がたわんだりしていると、汚物が滞留してスケールとして成長する原因になります。
排水管の勾配なんて、
建てたときに決まったきりだと思っていました。
経年で配管がたわむこともあるので、定期検査で流れ具合を確認しています。
掃除口はどこに設けられていればよいのか

そのため要所ごとに掃除口を設けることが求められています。
排水横枝管や排水横主管の起点、延長の長い横走排水管の途中、45度を超える角度で方向を変える箇所など、主な設置位置が示されています。
排水立て管の最下部や、排水立て管で3〜4ブランチ間隔ごとの箇所にも掃除口が必要です。
横走排水管に設ける掃除口の間隔は、管径が100mm以下で15m以内、100mmを超える場合は30m以内が標準とされています。
検査ではこれらの位置に掃除口があるか、ふたが確実に閉まっているかを確認します。
掃除口の位置にも、
ちゃんと理由があったんですね。
はい、詰まりやすい場所を優先して設けるようになっています。
間接排水はなぜ必要なのか

いったん大気中で縁を切ってから排水することが求められます。
告示は、冷蔵庫や水飲器、滅菌器や消毒器、給水ポンプや空気調和機、給水タンク等の水抜管及びオーバーフロー管を排水管に直接連結しないことを定めています。
これらの機器の排水は、いったん大気中で縁を切る排水口空間を設けたうえで、間接的に排水管へ流します。
排水管内の汚水や害虫が逆流して、食品や飲料水を扱う機器を汚染することを防ぐためです。
検査では間接排水管に損傷がないかもあわせて確認します。
冷蔵庫の排水がそのまま排水管につながっていないのは、
そういう理由だったんですね。
はい、排水口空間があるかどうかも、検査で必ず確認しています。
よくある質問
まとめ
排水管にこんなに細かい基準があるとは知りませんでした。
排水管は詰まってから気づくことが多い設備です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法第12条第3項(e-Gov法令検索)
- 建築基準法施行令第129条の2の4第3項第一号及び第三号(e-Gov法令検索)
- 昭和50年建設省告示第1597号 第2第一号・第三号(排水管及び排水トラップの構造)
- 平成20年国土交通省告示第285号 別記第四号(給水設備及び排水設備の検査結果表)
※本記事は、建築基準法・同施行令・関係告示に基づき、排水設備(排水管)に関する定期検査における一般的な検査事項を解説したものです。建築物の構造や設備の仕様によって具体的な確認方法は異なる場合があります。個別の判定は所轄の特定行政庁又は建築設備検査員にご確認ください。




