プラスチック製品や発泡スチロールの梱包材を倉庫にたくさん保管している事業者は少なくありません。
綿花類やぼろ・紙くずと並んで、合成樹脂類も火災予防条例が定める指定可燃物の一つです。
ただし合成樹脂類だけは、ほかの指定可燃物には無い上乗せの基準が定められています。
この記事では、集積単位の面積や屋外の空地、屋内の区画といった合成樹脂類に固有の技術上の基準を解説します。
倉庫にプラスチックの在庫がかなり増えてきました。
綿花類と同じ扱いでいいんでしょうか。
合成樹脂類は指定可燃物の中でも別枠の基準があるんです。
集積の面積や置き場所まで細かく決まっています。
知りませんでした。
具体的にはどんな基準なんですか。
屋外なら空地の広さ、屋内なら区画の仕方が変わってきます。
順番に見ていきましょう。
- 合成樹脂類を集積する場合は一集積単位の面積を500平方メートル以下に区分する
- 屋外で貯蔵・取り扱う場合は周囲に1メートル以上(20倍以上なら3メートル以上)の空地か防火上有効な塀が必要
- 屋内で貯蔵する場所と取り扱う場所の間は不燃性の材料で区画しなければならない
- 基準数量の100倍以上を屋内で扱う場合は壁と天井を難燃材料で仕上げた室内で行う
- 散水設備等の措置を講じれば空地や区画の基準が適用除外になる場合もある
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目次
合成樹脂類の保管になぜ上乗せの基準があるのか

まずその理由を確認します。
第34条第1項では、火気の使用禁止・関係者以外の立入禁止・整理清掃といった基本の基準が定められています。
綿花類等はこの基本基準を守れば足りますが、合成樹脂類だけはさらに第2項第三号の基準が上乗せされます。
発泡スチロールの梱包材やプラスチックの成形品は、身近な倉庫でもよく見かける品目です。
次の項目から、その上乗せ基準の中身を見ていきます。
うちの倉庫、発泡スチロールの梱包材がかなり積んであります。
それも対象になるんですか。
合成樹脂類にあたるものであれば対象です。
数量と置き方の両方を確認する必要があります。
一集積単位はどこまでの面積に区分すればよいのか

条文を確認します。
広い倉庫でも、区画線などで一集積単位ごとに区切る必要があります。
集積単位どうしの間には、条例の定める所定の距離を保つことも求められます。
散水設備を設置するなど延焼防止の措置を講じた場合は、この面積区分と距離の基準は適用されません。
自社の倉庫がどう区分されているか、まず図面で確認することから始めます。
500平方メートルというと、うちの倉庫だと2〜3区画に分ける必要がありそうです。
散水設備があれば区分が緩和される場合もあります。
設備の有無とあわせて確認しましょう。
屋外と屋内でそれぞれ何を満たせばよいのか

それぞれ見ていきます。
屋外なら周囲に1メートル以上、数量が基準数量の20倍以上なら3メートル以上の空地を保有するか、防火上有効な塀を設けます。
開口部のない防火構造の壁に面するときや水幕設備を設置したときは、この空地や塀の基準は適用されません。
屋内で貯蔵する場所と取り扱う場所を分けるときは、その間を不燃性の材料で区画します。
どちらも火が燃え広がる経路を絶つという同じ発想の基準です。
屋外に置いてある分は、フェンスがあれば空地の基準は関係ないんですか。
フェンスの種類によります。
防火上有効な塀かどうかを消防署に確認してください。
実務で見落としやすいのはどこか

見落としやすい点を確認します。
屋内で基準数量の100倍以上を扱う場合は、壁と天井を難燃材料で仕上げた室内で行わなければなりません。
在庫が増えて100倍のラインを超えたのに、部屋の仕上げを見直していないケースは見落としがちです。
散水設備や水幕設備を設置すれば適用が除外される号もありますが、すべての号に効くわけではありません。
どの号にどの措置が効くのかは、条文を号ごとに確認する必要があります。
うちは在庫が増えて100倍を超えたかもしれません。
今の部屋のままだと基準に合っていない可能性がありますね。
まずは在庫量を基準数量と照らし合わせて確認しましょう。
超えていれば部屋の仕上げも見直しが必要です。
明日からなにをすればよいのか

具体的な手順を確認します。
一集積単位の面積、屋外の空地の幅、屋内の区画の有無を、図面と現地の両方で確認します。
数量が基準数量の20倍・100倍のラインに近づいていないかも、あわせて数えておきます。
基準どおりの形にできない事情がある場合は、消防長(消防署長)の判断による特例が認められることもあります。
自己判断で基準を緩めず、必ず所轄消防署に相談したうえで進めてください。
うちの倉庫はレイアウトの都合で空地が取りにくいところがあります。
それでも何か方法はありますか。
特例が認められる場合もあるので、まずは所轄の消防署に相談してみてください。
自己判断で進めるのは避けましょう。
よくある質問
まとめ
うちの倉庫、まず集積単位の面積を測るところから始めます!
まずは現状を測ることから始めてみてください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法第9条の4(指定数量未満の危険物及び指定可燃物の貯蔵及び取扱いの技術上の基準は市町村条例で定める旨の規定)
- 火災予防条例(例)第34条・第34条の2・第34条の3(指定可燃物のうち綿花類等の貯蔵及び取扱いの技術上の基準等)
- 危険物の規制に関する政令別表第4(指定可燃物の品名及び数量)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





