BLOG

排煙風量測定記録表はどう作成すればよいのか|排煙機の規定風量から判定基準まで解説

煙排出口で風速を測定し記録表に書き込む女性検査員のアイキャッチ画像

排煙設備の定期検査では、排煙口や排煙機の風量を数値で確認し、記録表に書き残すことが求められます。
東京都の実務マニュアルには、この記録表を防煙区画ごと・排煙機系統ごとに埋めていく具体的な手順が示されています。
記入欄の意味を理解しないまま数字を埋めると、あとから判定の根拠を説明できなくなってしまいます。
本記事では、排煙風量測定記録表(別表3)の規定風量の算出方法から判定基準までを、記入欄の順番に沿って解説します。

排煙風量の測定記録って、結局どの数字を書けばいいのか毎回迷ってしまいます。

この記録表は排煙機ごと・防煙区画ごとに書く欄が決まっていますので、順番に見ていきましょう。

規定風量の計算式も、建物によって変わると聞いたことがあります。

はい、受け持つ区画の数や部屋の種類で式が変わりますので、代表的なパターンを整理しますね。

この記事の結論
  • 排煙風量測定記録表(別表3)は排煙機系統ごとに作成し、防煙区画ごとに記入する
  • 受け持つ防煙区画の数や建物の用途によって規定風量の計算式が変わる
  • 特別避難階段の付室等を受け持つ排煙機は毎秒4立方メートル以上という別の基準で判定する
  • 排煙口の測定風量は60×面積×平均風速の式で算出する
  • 判定は測定風量が規定風量以上かどうかで「指摘なし」「要是正」を決める

排煙風量測定記録表の書き方を示す4ステップのインフォグラフィック

排煙風量測定記録表はどの単位で作成し何を記入するのか

排煙機系統ごとに作成し防煙区画ごとに記入する排煙風量測定記録表のイメージ
排煙風量測定記録表(別表3)は、排煙口や排煙機の風量を数値で確認するための記録表です。
給気式や加圧式の排煙設備でも同じ様式を使い、方式ごとに記入例が用意されています。
問1 別表3は、複数の排煙機系統がある建物では、どのように作成すればよいか。
答1 排煙機(給気送風機)ごとに1枚を作成し、防煙区画ごとに記入する。記入欄が不足する場合は、枠を拡大するか、行を追加するか、別表3を追加して対応する。
別表3は設備の系統単位で書く書類だと覚えておくと迷いません
測定年月日の欄には、原則として実際に測定した年月日を記入します。
前回の定期検査後に行った自主点検の記録を代用する場合も、その検査を確認した日付を書きます。
測定機器は熱式風速計やビラム式風速計など、指定の性能を満たす計器を使う必要があります。
様式は吸引式・給気式・加圧式で記入例が分かれているため、自分の建物の排煙方式に合った例を確認してください。

排煙機ごとに書類を分けるなんて、思っていたより細かいんですね。

その分あとから系統ごとの状態を追いやすくなりますので、最初にきちんと分けておきましょう。

排煙機の規定風量は建物のどんな条件で変わるのか

受け持つ防煙区画の数で変わる排煙機の規定風量の計算式を比較したイメージ
規定風量は、排煙機が受け持つ防煙区画の数や建物の用途によって決まります。
まずは最も基本的な、一般の居室を受け持つ排煙機の考え方から見ていきます。
問2 排煙機の規定風量は、どのように決まるのか。
答2 受け持つ防煙区画の数と建物の用途の組み合わせで計算式が変わる。一般の排煙機は1つの区画のみを受け持つ場合と、2つ以上の区画を受け持つ場合とで異なる式を使う。
規定風量は区画の数と建物の用途の組み合わせで決まる仕組みです
1つの防煙区画のみを受け持つ排煙機は、床面積1平方メートルにつき1立方メートル以上、かつ1分間に120立方メートル以上の風量が必要です。
2つ以上の区画を受け持つ場合は、最大の区画の床面積1平方メートルにつき2立方メートル以上、かつ1分間に120立方メートル以上に引き上がります。
天井高が3メートル以上で500平方メートルを超える劇場や集会場等は、床面積の合計1平方メートルにつき1立方メートル以上、かつ1分間に500立方メートル以上という別の基準になります。
特別避難階段の付室や非常用エレベーターの乗降ロビーを受け持つ排煙機は、区画面積ではなく排出能力そのもので基準が決まり、毎秒4立方メートル以上(付室と兼用するエレベーターは毎秒6立方メートル以上)が求められます。

うちは1台の排煙機が5つの部屋を受け持っているので、2区画以上のほうの式になりそうです。

そのとおりです。
次は、その規定風量を実際にどう算出して記入するのかを見ていきましょう。

最大防煙区画面積と規定風量はどうやって算出するのか

最大防煙区画面積を確認して排煙機の規定風量を算出し記入する手順のイメージ
「最大防煙区画面積」とは、1台の排煙機が受け持つ防煙区画のうち最も大きい区画の床面積のことです。
記録表には、この面積から規定風量を導き出す手順が用意されています。
問3 「1」欄の最大防煙区画面積と排煙機の規定風量は、どのような手順で算出するのか。
答3 各室の床面積を「2」欄の排煙口の規定風量欄に記入し、そのうち最も大きい数値を「1」欄の最大防煙区画面積に記入したうえで、区画数に応じた計算式で排煙機の規定風量を算出する。[最大防煙区画面積×2]の結果を「3」欄の排煙機の規定風量欄にも転記する。
算出の流れは4つのステップに分けると迷いません
①各室の床面積を「2」欄の排煙口の規定風量欄にそれぞれ記入し、②受け持つ区画が1つか2つ以上かで欄に丸を付けます。
③2つ以上の区画を受け持つ場合は、最も大きい区画の床面積に2をかけて排煙機の規定風量を算出します。
④算出した数値は「3」欄の排煙機の規定風量欄にも同じ値を転記します。
「排煙機の規定風量」は排煙機の銘板に記載された風量とは別物である点に注意してください

銘板の風量をそのまま書けばいいのかと思っていました。

そこはよく混同されるところです。
規定風量は面積から計算した値なので、混ざらないよう気を付けましょう。

排煙機側の測定風量はどうやって算出するのか

煙排出口で風速を測定し排煙機の測定風量を算出する検査員のイメージ
「3」欄には、排煙機そのものの実力を示す測定風量も記入します。
排煙口ごとの風量測定とは別に、排煙機側でも風量を確認する場面があります。
問4 排煙口の同時開放による性能検査で煙排出口の風量測定が難しい場合、排煙機側の測定風量はどう算出すればよいか。
答4 煙排出口で風速を測定し、60×煙排出口の面積×平均風速の式で算出する
「3」欄は排煙機そのものの実力を数値で確認する欄です
すべての排煙口を同時に開放した状態で排煙機を作動させ、煙排出口の断面で風速を測定します。
測定風量は、60×煙排出口の面積×平均風速の式で算出し、その数値を「3」欄に記入します。
「1」欄で算出した規定風量をそのまま「3」欄の規定風量にも転記し、測定風量と比べて判定します
直結エンジンを備えた排煙機の場合も、算出の考え方は変わりません。

排煙口ごとの測定と、排煙機側の測定は別物だったんですね。

はい、測る場所も式もそれぞれ独立していますので、欄を混同しないようにしましょう。

判定はどう行い添付書類は何が必要か

測定風量と規定風量を比べて指摘なしと要是正を判定する書類のイメージ
数値を記入したら、最後に測定風量と規定風量を比べて判定します。
建築物の状況によっては、通常とは別の基準で判定する場合もあります。
問5 「2」欄・「3」欄の判定は、どのように行えばよいか。
答5 測定風量が規定風量以上であれば「指摘なし」、下回っていれば「要是正」に印を付ける。大臣認定を受けた排煙設備や避難安全検証法が適用されている建築物は、その規定にもとづいて判定する。
判定の考え方は「測定風量が規定風量以上かどうか」というシンプルな比較です
一般の居室等では、測定風量が規定風量を上回っていれば「指摘なし」に丸を付けます。
何らかの理由で規定風量に届かない場合は、「要是正」に丸を付けて改善につなげます。
避難安全検証法等の適用や旧法第38条の認定を受けている建築物は、確認申請関連資料などの認定書類もあわせて添付します。
別表3には、排煙機と排煙口の対応関係が分かる系統図も添付する決まりです。

系統図まで用意しておく必要があるんですね。

はい、排煙機と排煙口の対応関係が一目で分かる図があると、検査の記録としても分かりやすくなります。

よくある質問

Q排煙口の風量測定を今回実施しなかった年は、別表3の記入は不要ですか?
Aいいえ、居室等については実施しなかった年でも「2」欄の排煙口欄は記入します。排煙口の風量測定は3年以内に全数を検査する運用のため、未実施の年も記録として欄を埋めておくことが求められます。
Q別表3は排煙機系統が複数あっても1枚にまとめてよいですか?
A原則として認められません。別表3は排煙機(給気送風機)ごとに作成する書類なので、系統の数だけ用紙を分けるか、行を追加して系統ごとの内容が区別できるようにします。
Q特別避難階段の付室にある排煙口も、風量を測定して「2」欄に記入する必要がありますか?
A必要ありません。告示第285号は付室等の排煙口の風量測定を判定基準としていないため、「2」欄への記入は不要です。この場合は排煙機側の排出能力で判定します。
Q測定に使う風速計はどんな機種でもよいですか?
Aいいえ、性能の指定があります。熱式風速計またはビラム式風速計、あるいはこれらと同等以上の性能を持つ計器を使用する必要があります。

まとめ

排煙風量測定記録表(別表3)は建築基準法第12条第3項にもとづく建築設備定期検査で作成する書類です。
記録表は排煙機(給気送風機)ごとに用意し、防煙区画ごとに記入します。
一般の排煙機は受け持つ区画数によって規定風量の計算式が変わります
天井高が3メートル以上で500平方メートルを超える劇場等は、床面積合計1平方メートルにつき1立方メートル以上という別の基準です。
特別避難階段の付室等を受け持つ排煙機は毎秒4立方メートル以上(付室と兼用のエレベーターは毎秒6立方メートル以上)の排出能力が必要です。
排煙口の測定風量は60×面積×平均風速で算出し、規定風量と比べて判定します
判定は測定風量が規定風量以上かどうかで決まり、避難安全検証法等が適用される場合は認定書類もあわせて添付します。

記入欄ひとつひとつに意味があるとわかって、迷わず書けそうです!
規定風量の計算式、今度の検査の前にもう一度見直しておきます。

それは安心です。
記入や判定にお困りの際は㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 建築基準法第12条(e-Gov法令検索)
  • 建築基準法施行令第126条の3(e-Gov法令検索)
  • 平成20年国土交通省告示第285号 別記第二号(排煙設備の検査結果表)
  • 東京都建築設備定期検査報告実務マニュアル2025年版(別表3排煙風量測定記録表の記入例)

※本記事は公表されている法令および東京都の実務マニュアルにもとづく一般的な解説です。記録表の様式や運用は特定行政庁によって異なる場合があります。個別の判断は所轄の特定行政庁または専門業者にご確認ください。

BLOGカテゴリ
最新の記事
防火管理者代行サービス
無料1分概算見積
煙排出口で風速を測定し記録表に書き込む女性検査員のアイキャッチ画像
排煙設備の定期検査では、排煙口や排煙機の風量を数値で確認し、記録表に書き残すことが求められます。 東京都の実務マニュアルには、この記録表を防煙区画ごと・排煙機系統ごとに埋めていく具体的な手順が示されています。 記入欄の意...