建築設備定期検査で「要是正」の指摘を受けた項目があると、検査結果表とは別に、状況を写真で示す「別添様式 関係写真」という書類を作成することになります。
検査結果表に○や✕を書き込むだけでは伝わらない「どこが」「どんな状態で」要是正なのかを、写真と文章で補うための書類です。
どの項目を書けばよいのか、写真は何枚必要なのか、特記事項に何を書けば状況が伝わるのかは、初めて様式を見た検査員が迷いやすいところです。
この記事では、部位欄の記入ルールから写真の撮り分け方、特記事項の書き方まで、実務の流れに沿って解説します。
今年の検査で非常用照明が要是正になったんです。
検査結果表に○を付けるだけでは足りないのでしょうか。
要是正の指摘があると、状況を写真で示す「別添様式 関係写真」という書類が別途必要になります。
どこがどう要是正なのかを、写真と文章の両方で報告する仕組みです。
写真はどこを撮ればよいのでしょうか。
蛍光灯が複数本ある場合は、全部撮る必要があるのでしょうか。
撮るのは要是正になった部分の外観だけで足ります。
ただし機種や事象が違えば分けて撮る必要があるので、その基準を確認していきましょう。
- 別添様式 関係写真は、要是正(既存不適格を除く)の指摘がある項目について作成する書類で、指摘が無ければ省略できます
- 部位欄の番号・検査項目等は、換気・排煙・非常用照明・給排水の検査結果表のうち該当する番号にそろえて記入します
- 検査結果欄は、要是正の指摘があれば「要是正」、既存不適格や指摘なしでも特記したい事項があれば「その他」にレ点を入れます
- 写真は機種ごと・事象ごとに分けて撮影する必要があり、同じ検査項目でも原因が違えば別の写真が必要です
- 特記事項欄には、要是正の内容と階・室名などの場所を、写真と対応させて具体的に書き添えます
▼

目次
別添様式関係写真はどんなときに作成する書類なのか

まずは、この書類がどんなときに必要になるのかを確認しましょう。
建築基準法施行規則第6条第4項は、報告書と検査結果表に加えて、特定行政庁が状況把握のために必要と認めて規則で定める書類を添える義務を定めており、この別添様式はその一つです。
既存不適格として扱われる項目は、そもそも現行基準への適合を求められていないため、原則としてこの書類の対象外です。
一方で、既存不適格や指摘なしの項目であっても、特記しておきたい事情があれば「その他」として任意に作成することもできます。
つまり判断の起点は「要是正の指摘があるかどうか」で、無ければ書類そのものを省略してよいと覚えておくと迷いません。
うちは今年、指摘が一つもありませんでした。
それなら、この書類自体を作らなくていいんですね。
その場合は省略して問題ありません。
次にご案内するのは、要是正が出たときに実際に書く欄の中身です。
部位欄の番号と検査項目等はどう記入するか

もとになる検査結果表の番号に、そのままそろえて記入します。
部位欄には、要是正になった項目が載っている検査結果表の番号を、そのまま書き写します。
要是正の項目が複数ある場合は、そのうち代表となる1つの番号・検査項目等を記入し、特記事項欄に他の番号もあわせて記載すれば足ります。
たとえば非常用照明のバッテリー不良で複数の項目が要是正になったときは、代表の番号を記入したうえで、特記事項欄に「〇〇と〇〇共通」のように関連する番号をまとめて書く方法が使えます。
全ての要是正項目の番号が特記事項欄に書かれていれば、検査項目等の記載を省略できます。
要是正の項目が3つあったら、書類も3枚に分けるんですか。
枚数が増えて大変そうです。
原因が共通していれば、代表の番号1つでまとめられます。
次は検査結果欄のチェックの入れ方を見てみましょう。
検査結果欄の要是正とその他はどう使い分けるか

どちらにレ点を入れるかは、指摘の性質で機械的に決まります。
既存不適格や指摘なしの項目でも、写真を残しておきたい事情があるときは「その他」にレ点を入れて任意で作成できます。
逆に言えば、要是正の指摘が無いのに「要是正」へレ点を入れる、あるいはその逆をすることはできません。
提出前には、検査結果表側の判定と、この書類のチェックボックスが食い違っていないかを必ず突き合わせておきましょう。
既存不適格の項目でも写真を残したいときがあります。
そういうときは「その他」でよいのでしょうか。
はい、その他にレ点を入れて任意で作成して構いません。
続いては、その写真の撮り方のルールです。
写真は機種ごと事象ごとにどう撮り分ければよいか

撮り分けの基準を押さえておきましょう。
たとえば同じ非常用照明の不点灯でも、白熱灯と蛍光灯のように機種が違えば、それぞれ別の写真が要ります。
「ランプ切れ」と「内蔵蓄電池の容量不足」のように原因となる事象が違う場合も同様に、別の写真として撮り分けます。
写真は白黒でも構いませんが、特記事項の説明だけでは要是正の状況が伝わりにくいときは、カラー写真を貼付します。
非常用照明の自動検査でモニターランプが点滅(寿命)を示している場合は、器具の外観写真に加えて、特記事項欄に点滅している旨も書き添えます。
ランプ切れの器具が何台もあるときは、全部の写真を撮るんですか。
台数分だと結構な枚数になりそうです。
同じ機種・同じ事象であれば代表1枚で構いません。
撮り分けが必要なのは機種か事象が変わったときだけです。
特記事項欄には何を書けば要是正の状況が伝わるか

特記事項欄で、写真と現地の状況をつなぐ役割を果たします。
たとえば「レンジフードファンの油汚れによる風量不足」のように、要是正になった原因や事象そのものを短く言い切ります。
続けて「10階 食堂厨房」のように、階数や室名を具体的に書き、写真がどの場所のものかを特定できるようにします。
非常用照明の指摘については、要是正の場所・箇所に加えて器具数がわかるように記入する必要があります。
記入欄が足りない場合は、枠を拡大したり行を追加したりするか、別紙に必要事項を書いて添えれば構いません。
階段の踊場と会議室で同じ不具合が出ているときは、まとめて書いていいんですか。
はい、原因が共通していれば「1階 階段踊場×1灯」のように場所ごとに書き並べて構いません。
ここまでの流れをよくある質問で振り返りましょう。
よくある質問
まとめ
写真を分ける基準と特記事項の書き方が、やっと整理できました!
次の要是正が出たときは迷わず作れそうです!
要是正の写真と特記事項の整合は、提出前に一番見られるポイントです。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法第12条第3項
- 建築基準法施行規則第6条第4項
- 平成20年国土交通省告示第285号 別記第一号から第四号(検査結果表)
- 東京都建築設備定期検査報告実務マニュアル2025年版「第5章 建築設備定期検査報告 検査と報告書作成の要点」別添様式 関係写真の記入例と共通事項の解説
※本記事は建築基準法・同施行規則の現行規定及び東京都が公表する実務マニュアルにもとづき、㈱防災屋が独自に解説を作成したものです。別添様式の書式や運用の細部は特定行政庁によって異なる場合がありますので、実際の記入・提出にあたっては所管の特定行政庁またはセンターに必ずご確認ください。




