天井裏や機械室のダクトに取り付けられている四角い箱、それが防火ダンパーです。
実はひとくちに防火ダンパーといっても、連動するセンサーの組み合わせによってFD・SD・SFDという3つの型式に分かれています。
どの型式を選ぶべきかは、そのダクトがどんな区画を貫通しているかによって法令上の扱いが変わってきます。
この記事では、建築基準法施行令第112条が定める区画の種類ごとに、防火ダンパーの型式をどう選び分けるのかを解説します。
先日の点検で、うちの防火ダンパーには種類があると指摘されました。
全部同じ物だと思っていました。
防火ダンパーにはFD・SD・SFDという3つの型式があります。
設置する場所によって、選ぶべき型式が法令で変わってくるんです。
3つも型式があるんですね。
うちのビルはどれを選べばいいのか分かりません。
ダクトが貫通する区画の種類で決まります。
今日は選び方の基準を一緒に確認していきましょう。
- 防火ダンパーには温度ヒューズや熱感知器と連動する「FD」、煙感知器と連動する「SD」、両方に連動する「SFD」の3種類がある。
- 面積区画等を貫通するダクトは、温度ヒューズ・熱感知器・煙感知器のいずれかに連動すればよい。
- 竪穴区画や異種用途区画を貫通するダクトは、原則として煙感知器連動のダンパーが必要になる。
- 吹出し口のないダクトなら、竪穴区画等でも温度ヒューズ連動のFDで足りる場合がある。
- 煙感知器が別の部屋にあるなど検知が届きにくい位置では、SFDを選ぶ判断が必要になる。
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目次
防火ダンパーのFD・SD・SFDはどう見分けるのか

実は連動するセンサーの組み合わせによって、FD・SD・SFDという3つの型式に分かれています。
FD(Fire Damper)は熱感知器又は温度ヒューズと連動し、火災の熱そのものを検知して閉じます。
SD(Smoke Damper)は煙感知器と連動し、熱より早い段階で煙を検知して閉じます。
SFDはFDとSDの両方の機能を併せ持ち、どちらの信号でも閉鎖します。
点検の際は、まずダンパーの型式ラベルを確認し、実際に連動している感知器の種類と一致しているかを見ます。
うちのダンパーにFDと書かれたシールが貼ってありました。
これは熱で閉まるタイプということですね。
そのとおりです。
ラベルの型式を見れば、どのセンサーと連動しているかがすぐに分かります。
面積区画等を貫通するダクトにはどの防火ダンパーを設けるのか

この区画をダクトが貫通する部分にも、防火ダンパーの設置が義務付けられています。
延べ面積1500平方メートルごとの面積区画(施行令第112条第1項)のほか、木造建築物等の防火壁・防火床(施行令第113条)、界壁・間仕切壁・隔壁(施行令第114条)を貫通するダクトも、同じ第21項の規定が準用されます。
条文は「煙の発生又は温度の急激な上昇」のいずれかで閉鎖すればよいと定めているため、FD・SD・SFDのどれを選んでも法令上の要件は満たせます。
実務上は、火気を使う室や高温になりやすい室では公称作動温度の高い温度ヒューズ式のFDが選ばれることが多く、点検ではこの組み合わせが妥当かどうかも確認します。
うちは1500平方メートルより小さいビルなので、面積区画は関係ないと思っていました。
面積区画だけでなく、防火壁や界壁を貫通するダクトにも同じ考え方が適用されます。
規模に関わらず確認しておきましょう。
竪穴区画や異種用途区画を貫通するダクトにはどの防火ダンパーを設けるのか

用途の異なる部分を区切る異種用途区画も、同じように慎重な扱いが必要とされています。
施行令第112条第11項が定める竪穴区画(階段や昇降路、ダクトスペース等)と、同条第18項が定める異種用途区画は、煙が伝わりやすい経路そのものを区切る区画です。
そのため実務上は、火災の熱を待たずに反応できる煙感知器連動のSD又はSFDを基本に選びます。
ただし、吹出し口や吸込み口のような開口部を持たないダクトであれば、区画の内部に煙が回り込む経路自体が無いため、温度ヒューズ連動のFDに置き換えることができます。
煙感知器と連動させないといけないなんて、今まで意識したことがありませんでした。
階段や昇降路は煙が伝わりやすい場所です。
次の点検では連動先も確認しておきましょう。
最上階の区画や空調機連動停止のときはなぜFDでよいのか

代表的なのが、最上階の区画貫通部と、空調機そのものが煙感知器と連動して止まる場合です。
最上階の区画貫通部は、それより上の階へ煙が伝わる経路が存在しないため、階をまたぐ延焼防止という竪穴区画の趣旨に照らして扱いを緩められる場合があります。
また、空調機自体が煙感知器と連動して送風を停止する仕組みになっていれば、ダクトを通じて煙が押し出される心配が小さくなるため、ダンパー側はFDで足りると判断できます。
検査では、この緩和が使われている場合、空調機の連動停止機能が実際に作動するかどうかもあわせて確認する必要があります。
空調機が止まればダンパーは温度ヒューズだけでもいいとは、意外でした。
空調が煙を押し出さなくなる分、ダンパー側の負担が軽くなるという考え方です。
ただし連動停止機能自体の点検が欠かせません。
同じ竪穴区画でもSDとSFDに分かれるのはなぜか

煙感知器の設置場所や、煙が伝わる経路の違いによって、SDとSFDが使い分けられます。
吹出し口によって煙が別の区画へ伝わる経路がある場合は、その経路上に煙感知器連動のSDを設けるのが基本です。
一方、煙の伝播が無い区画貫通部では、熱感知器又は温度ヒューズ連動のFDで足ります。
さらに、SDでよい場面であっても煙感知器が別の部屋に設置されているなど検知が届きにくい配置になっている場合は、温度ヒューズも併せ持つSFDを選び、検知の抜けを補います。
同じ竪穴区画でも、感知器の場所次第で型式が変わるんですね。
そのとおりです。
図面だけでなく、実際に感知器がどこに付いているかまで見て判断します。
よくある質問
まとめ
防火ダンパーにこんなに細かい選定基準があるとは知りませんでした。
型式までしっかり見てもらいます!
型式と連動先の組み合わせまで確認することが、防火ダンパー点検の要になります。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法施行令第112条第21項(区画を貫通する風道に設ける防火設備、e-Gov法令検索)
- 建築基準法施行令第113条・第114条(防火壁・界壁等における準用規定、e-Gov法令検索)
- 昭和48年建設省告示第2563号(防火区画に用いる防火設備等の構造方法を定める件)
- 東京都建築設備定期検査報告実務マニュアル2025年版(東京都、防火ダンパーの型式選定の論点整理として参照。本文は現行法令に基づき執筆)
※本記事は建築基準法施行令及び関係告示の現行条文をもとに、独自に解説を作成したものです。防火ダンパーの型式選定は建築物の構造や特定行政庁の審査基準によって扱いが異なる場合があります。個別の建築物における具体的な判断は、所轄の特定行政庁又は建築設備等検査員にご確認ください。




