BLOG

火気使用室の判定は燃焼器具の給排気方式でどう変わるのか|開放式から密閉式・屋外式まで解説

燃焼器具の給排気方式を点検する女性検査員

厨房や湯沸室に置かれたガス機器を見て、これは点検の対象になるのかと迷ったことはありませんか。
建築設備定期検査の換気設備は、実は燃焼器具の給排気方式によって検査の対象になる室(火気使用室)かどうかが変わります。
開放式・半密閉式は火気使用室に該当し、密閉式・屋外式は該当しません。
本記事では燃焼器具の分類と、煙突・排気筒の構造基準、必要有効換気量の計算式まで、建築基準法施行令第20条の3を根拠にわかりやすく解説します。

うちのビルの給湯室、業務用のガス湯沸器が入ってるんですが。
これも換気設備の検査対象になるんでしょうか。

型式によります。
屋外から空気を取り込んで屋外へ排気を出す密閉式や屋外式なら、火気使用室にすら当たりません。

全部の湯沸器を確認しないといけないわけじゃないんですね。
でも見分け方がわからなくて困っています。

排気の出し方を見れば分かります。
本文で分類の仕方から順番に整理していきますね。

この記事の結論
  • 開放式燃焼器・半密閉式燃焼器(CF型・FE型)を設けた室は火気使用室に該当し検査対象になります
  • 密閉式燃焼器(BF型・FF型)・屋外式燃焼器(RF型)のみの室は火気使用室に該当しません
  • 煙突は燃焼機器に直接接続するもの、排気筒は室内へ一旦放出し間接的に排出するものという違いがあります
  • 火を使用する設備の排気筒・煙突は他の換気設備の風道に連結できないのが原則ですが、65度以下等の要件を満たせば例外的に厨房排気ダクトへ接続できます
  • 必要有効換気量は排気フードの型式係数によってV=NKQの式で変わります

燃焼器具の給排気方式による火気使用室の判定フローと必要有効換気量の計算式

開放式燃焼器と半密閉式燃焼器はなぜ火気使用室と判定されるのか

開放式燃焼器と半密閉式燃焼器CF型FE型の給排気の仕組み
ガス湯沸器やガスこんろは、燃焼用の空気をどこから取り込み、排気をどこへ出すかで4つのタイプに分かれます。
まずは屋内の空気を使うタイプ、開放式燃焼器と半密閉式燃焼器から見ていきます。
開放式燃焼器は、燃焼用の空気を室内から取り、廃ガスもそのまま室内へ排出する燃焼器具である。半密閉式燃焼器は、燃焼用の空気を室内から取るが、廃ガスは煙突で屋外へ排出する燃焼器具であり、自然通気力による排気を行うCF型と、排気ファンで強制的に排気するFE型に分かれる。これらの室は火気使用室に当たるか。
建築基準法施行令第20条の3第1項第一号は、屋外から直接空気を取り入れ、かつ廃ガスを直接屋外に排出する構造その他室内の空気を汚染するおそれがないもの(密閉式燃焼器具等)以外の火を使用する設備又は器具を設けていない室でなければ、換気設備を設けるべき調理室等(同条第2項)に当たると定めている。開放式燃焼器と半密閉式燃焼器は、いずれも燃焼用の空気を室内から取り込むため密閉式燃焼器具等に当たらず、これらを設置した室は火気使用室として換気設備の定期検査の対象になる
燃焼用の空気を室内から取るかどうかが判定の分かれ目です。
開放式燃焼器が設置されている室は、換気扇等による有効な換気設備がなければ酸素不足や不完全燃焼のおそれがあります。
半密閉式燃焼器のCF型は自然通気力のみで排気するため、施行令第20条の3第2項第一号イが定める煙突の有効断面積を確保しなければなりません。
FE型は排気ファンで強制的に排気しますが、給気は室内から行うため火気使用室であることに変わりはありません
検査ではまず、設置されている燃焼器具がこの2区分に当たるかどうかを確認してください。

うちの湯沸室、ファンで強制的に排気するタイプなんですが。
それでも火気使用室になるんですか。

はい、なります。
排気の方法に関わらず、燃焼用の空気を室内から取っていれば火気使用室として扱われますよ。

密閉式燃焼器と屋外式燃焼器はなぜ火気使用室の対象外になるのか

密閉式燃焼器BF型FF型と屋外式燃焼器RF型の給排気の仕組み
密閉式燃焼器と屋外式燃焼器は、燃焼用の空気も排気もすべて屋外で完結します。
この違いが、火気使用室の判定を大きく左右します。
密閉式燃焼器は、屋内空気と隔離された燃焼室内で、屋外から取り入れた空気により燃焼し、屋外に燃焼廃ガスを排出する燃焼器具であり、自然給排気型のBF型と、ファンで強制的に給排気するFF型に分かれる。屋外式燃焼器(RF型)は、燃焼部を屋外に設置して使用する燃焼器具である。これらのみが設置された室は、火気使用室に当たるか。
建築基準法施行令第20条の3第1項第一号が定める「直接屋外から空気を取り入れ、かつ、廃ガスその他の生成物を直接屋外に排出する構造を有するものその他室内の空気を汚染するおそれがないもの」(密閉式燃焼器具等)に、密閉式燃焼器と屋外式燃焼器はいずれも該当する。密閉式燃焼器具等のみが設置されている室、又は密閉式燃焼器具等以外の火を使用する設備若しくは器具を設けていない室は、同項第一号により換気設備を設けるべき調理室等(同条第2項)から除外されるため、火気使用室ではなく検査の対象にもならない
室内の空気を一切汚さない構造かどうかが基準になります。
BF型は外壁式やチャンバ式で給排気管を屋外に直接つなぎ、FF型は燃焼器内蔵のファンで強制的に給排気します。
RF型は燃焼部そのものを屋外に置くため、室内空気への影響がさらに少ない構造です。
ただし同じ室に開放式や半密閉式の燃焼器具が1台でも併設されていれば、その室全体が火気使用室として扱われます
報告書では、設置されている燃焼器具の型式をすべて確認したうえで判定します。

うちは電気温水器だから関係ないかと思ってたんですが。
屋外設置のガス給湯器は違うんですね。

RF型のような屋外式は密閉式燃焼器具等に含まれます。
屋外設置というだけで火気使用室から外れると考えて大丈夫ですよ。

建築基準法が定める煙突と排気筒はどう違うのか

建築基準法が定める煙突と排気筒の構造の違い
換気設備の検査結果表には煙突と排気筒という似た言葉が並びます。
この2つは建築基準法上、明確に別のものとして扱われています。
施行令第20条の3第2項第一号イは、排気口を天井又は天井から下方80センチメートル以内の高さに設け、換気扇等を設けて直接外気に開放するか、排気筒に直結することを求めている。また、風呂釜又は発熱量が12キロワットを超える設備・器具(密閉式燃焼器具等を除く)を設けた室には、原則として煙突を設けなければならないと定める。煙突と排気筒はどう違うのか。
煙突は燃焼機器に直接接続して設けるもので、廃ガスを直接屋外へ排出する。排気筒は、燃焼機器の廃ガスを一旦室内に放出し、排気フードなどを介して間接的に屋外へ排出するものである。施行令第20条の3第2項第一号イはただし書きで、用途上・構造上の理由で煙突の設置が著しく困難な場合は、排気フードを有する排気筒を設ければ足りるとしている。
直接つながっているか、一度室内に出るかが分かれ目です。
12キロワットを超える回転釜やローレンジなどは原則として煙突が必要ですが、排気フードの下端を排気口から1メートルの高さに設置すると調理作業に支障が出る場合があります。
そうした場合はただし書きにより排気フードを有する排気筒で代替できます。
検査結果表を見るときは、報告対象の設備が煙突接続なのか排気筒接続なのかをまず区別してください。
どちらも直接外気に開放された頂部は、外気の流れで排気が妨げられない構造でなければなりません。

回転釜の上に煙突が立ってなくて、フードだけついているんですが。
これは基準違反じゃないんでしょうか。

調理に支障が出る場合はただし書きで排気フードが認められています。
報告書に「フード有り」と注記されているはずなので確認してみましょう。

半密閉式瞬間湯沸器等を厨房排気ダクトに接続できるのはどんなときか

半密閉式瞬間湯沸器の煙突を厨房排気ダクトに接続する要件
火を使用する設備の排気筒や煙突は、原則としてほかの換気設備の風道につないではいけません。
ただし一定の条件を満たせば例外が認められています。
昭和45年建設省告示第1826号第四第三号は、火を使用する設備又は器具を設けた室の排気筒又は煙突は、他の換気設備の排気筒、風道その他これらに類するものに連結してはならないと定める。防火ダンパー等を設けた排気筒(厨房排気ダクト等)に煙突を連結できる場合はあるか。
同告示第四第四号は、防火ダンパー等を設けた排気筒に煙突を連結する場合、(イ)排気筒に換気上有効な換気扇等が設けられ、排気筒が換気上有効に直接外気に開放されていること、(ロ)煙突内の廃ガスの温度が排気筒に連結する部分において65度以下であること、(ハ)煙突に連結する設備又は器具が半密閉式瞬間湯沸器又は半密閉式の常圧貯蔵湯沸器若しくは貯湯湯沸器であり、故障等により温度が65度を超えた場合に自動的に作動を停止する装置が設けられていること、の3つをすべて満たせば連結できるとしている。
接続を認められる機器は限定されています。
連結できるのは半密閉式の瞬間湯沸器・常圧貯蔵湯沸器・貯湯湯沸器に限られ、ガスこんろなどの開放式燃焼器の排気は対象外です。
温度センサーによる自動停止装置は、故障等で排気温度が65度を超えたときに作動を止める安全装置で、専用フードや排気トップに組み込まれています。
12キロワットを超えるガス消費量の半密閉式湯沸器は、この3要件を満たす方法以外で厨房排気ダクトへ接続することはできません
検査では、温度センサーや自動停止装置が実際に機能する状態にあるかも確認します。

湯沸器の排気を厨房の換気扇のダクトにつないでしまっているんですが。
専用の排気筒を別に立てる余裕がなくて。

換気扇と自動停止装置の条件を満たせば認められる方法があります。
現地の配管がその要件に合っているか、一度確認させてください。

排気フードの型式で必要有効換気量の計算式はどう変わるのか

排気フードの型式別V=NKQ計算式の違い
ガス機器の必要有効換気量は、排気フードの形状によって係数が変わる計算式で求めます。
報告書の数値がどう導かれているかを知っておくと、検査の判断がしやすくなります。
昭和45年建設省告示第1826号第三は、換気扇等を設ける場合の有効換気量Vを、排気フードを有しない場合はV=40KQ、煙突にバフラー等を設ける場合はV=2KQ、排気フードを有する場合はV=NKQ(Kは燃料の理論廃ガス量、Qは燃料消費量)と定める。排気フードの型式係数Nはどのように決まるか。
同告示は、排気フードの高さが1メートル以下で火源を覆うことができる構造のものを型式係数30、さらに火源の周囲まで覆い下部に5センチメートル以上の垂下り部分と10度以上の傾斜を持つ集気部を備えたものを型式係数20と定める。いずれの基準にも適合しない場合は、排気フードなしとみなして係数40を用いる
型式係数が小さいほど、必要な換気量は少なくて済みます。
12キロワットを超えるガス調理器具の排気フードが排気口から1メートルの高さに設置できず、規定の垂直距離を満たせない場合、型式係数は40(フードなし扱い)になります。
このとき報告書上はフードなしの項目に分類されますが、実際にはフードが設置されているため、備考欄などに実際の設置状況を注記する必要があります
係数の数値だけでなく、なぜその係数が適用されているのかという根拠を現地で確認することが検査の質を左右します。
計算式の妥当性は、型式表示や設計図書と照合して判断してください。

うちの厨房、フードの下端が排気口から1メートルより高い位置についているんですが。
これって基準を満たしていないってことですよね。

その場合は型式係数40が適用されるフードなし扱いになります。
報告書に正しく注記されているか一緒に確認しましょう。

よくある質問

Q密閉式燃焼器と半密閉式燃焼器はどちらも「密閉」という言葉が付きますが、扱いは同じですか?
Aいいえ、異なります。密閉式燃焼器は屋内空気と隔離された燃焼室で屋外の空気のみを使う構造で密閉式燃焼器具等に該当し火気使用室の対象外ですが、半密閉式燃焼器(CF型・FE型)は燃焼用の空気を室内から取るため、施行令第20条の3第1項第一号の密閉式燃焼器具等には当たらず、火気使用室として検査の対象になります
Q1つの室に開放式燃焼器と密閉式燃焼器が両方設置されている場合はどう判定しますか?
A施行令第20条の3第1項第一号は、密閉式燃焼器具等以外の火を使用する設備又は器具を設けていない室でなければ対象外にならないと定めているため、密閉式燃焼器具等に当たらない機器が1台でもあれば、その室は火気使用室として扱われます
Q排気フードの型式係数が40(フードなし扱い)になっても、実際に設置されているフードを撤去する必要がありますか?
A撤去の義務はありません。型式係数40は換気量の計算上フードなしとして扱うという意味で、報告書の備考欄などに実際の設置状況を注記する運用が一般的です。現地の実況と報告書の記載が一致しているかを確認してください。
Q半密閉式瞬間湯沸器の排気を厨房排気ダクトに接続する場合、開放式のガスこんろの排気も同じダクトにまとめてよいですか?
Aいいえ。昭和45年建設省告示第1826号第四第四号が認める連結の対象は半密閉式の瞬間湯沸器・常圧貯蔵湯沸器・貯湯湯沸器に限られており、開放式燃焼器の排気を同じ経路にまとめることは想定されていません。機器ごとに適切な排気経路が確保されているかを確認する必要があります。

まとめ

燃焼用の空気を屋内から取る開放式・半密閉式燃焼器は火気使用室に該当します
屋外の空気のみで完結する密閉式・屋外式燃焼器は火気使用室の対象外です
半密閉式のCF型は自然通気力、FE型は排気ファンによる強制排気という違いがあります
煙突は燃焼機器への直接接続、排気筒は室内への一旦放出という構造の違いがあります
火を使用する設備の排気筒・煙突は他の換気設備の風道に原則連結できません
例外的に連結できるのは65度以下・対象機器限定・自動停止装置の3要件を満たす場合だけです
必要有効換気量はV=NKQの式で、排気フードの型式係数(40・30・20・2)によって変わります

燃焼器具の型式だけでこんなに扱いが変わるとは思いませんでした。
次の点検までに設置状況を確認しておきます。

型式の見分け方や計算式でご不明な点があれば、現地調査でしっかり確認します。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 建築基準法施行令第20条の3(火を使用する室に設けなければならない換気設備等)
  • 昭和45年建設省告示第1826号(換気設備の構造方法を定める件)第二・第三・第四

※本記事は建築基準法施行令及び関係告示の現行条文にもとづき一般的な内容を解説したものです。個別の建築物における燃焼器具の分類・排気方式の適否や検査結果の判定は、現地調査の結果と特定行政庁の運用により異なる場合があります。具体的な判断は所轄の特定行政庁又は建築設備等検査員にご確認ください。

BLOGカテゴリ
最新の記事
防火管理者代行サービス
無料1分概算見積
燃焼器具の給排気方式を点検する女性検査員
厨房や湯沸室に置かれたガス機器を見て、これは点検の対象になるのかと迷ったことはありませんか。 建築設備定期検査の換気設備は、実は燃焼器具の給排気方式によって検査の対象になる室(火気使用室)かどうかが変わります。 開放式・...