排煙設備の排煙風道と防火ダンパーも、建築設備定期検査で必ず確認される部位です。
ダクトそのものの劣化や防煙壁・防火区画とのすき間処理を怠ると、火災時に排煙機能や延焼防止機能が働かなくなるおそれがあります。
とはいえ、検査当日にどの部分をどんな基準で見られるのか、把握できていない方も多いのではないでしょうか。
本記事では、排煙風道と防火ダンパーに関する11の検査事項を5つの視点に整理し、検査方法と判定基準を解説します。
排煙風道や防火ダンパーも検査されると聞きましたが、天井裏に隠れていてよく分かりません。
排煙風道と防火ダンパーは、劣化状態や取付け状況など11の検査事項で確認されます。
ひとつずつ順番に見ていきましょう。
防火ダンパーって、火災のときにどう動くものなんですか。
熱を感知すると温度ヒューズが溶けて、羽根が自動的に閉じて延焼を防ぐ仕組みです。
次から詳しく解説しますね。
- 排煙風道(ダクト)は変形、破損又は著しい腐食がないかを目視で確認します。
- 防煙壁を貫通する部分は、風道とのすき間をモルタル等の不燃材料で埋める必要があります。
- 排煙風道は可燃物や電線等から15cm以上離し、断熱材の脱落・損傷もあわせて確認します。
- 防火ダンパーは堅固な取付けと円滑な作動が判定基準です。
- 温度ヒューズは適正な溶解温度のものを使用し、45cm以上の点検口・検査口も確認します。
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目次
排煙風道の劣化・損傷と取付け状況はどこを確認するのか

検査ではまず、風道そのものに変形や腐食がないか、しっかり固定されているかを確認します。
「著しい腐食」にあたるかどうかは、基準書が定める腐食状況の判定基準にもとづいて判断されます。
検査事項(22)の取付け状況では、風道の接続部及び吊りボルトの堅固さもあわせて確認します。
接続部や吊りボルトに変形、破損又は著しい腐食があれば、これも是正の対象です。
ダクトが天井裏で外れかけていないか、吊り金具がゆるんでいないかは特に見落としやすいポイントです。
天井裏のダクトなんて、見た目では全然わかりません。
検査では天井点検口から目視や触診で確認しますので、点検口の周りに物を置かないようにしておくと安心です。
排煙風道の材質と防煙壁の貫通措置はなぜ必要なのか

火災時に風道自体が燃えたり、区画のすき間から煙が漏れたりしないよう、構造にも基準があります。
風道に用いるたわみ継手についても、不燃材料で造られている必要があります。
検査事項(24)では、風道が防煙壁を貫通する部分について、すき間をモルタルその他の不燃材料で埋める措置がとられているかを確認します。
検査事項(25)では、可燃物や電線等から15cm以上離して設けられているか、断熱材に脱落や損傷がないかもあわせて確認します。
避難安全検証法等にもとづき基準と異なる構造で設計されている場合は、その設計図書が定める基準に適合しているかで判断します。
風道が壁を貫通しているところなんて、意識したことがありませんでした。
すき間が埋まっていないと、そこから煙が漏れて他の区画に広がるおそれがあります。
検査で指摘されたら早めに対応しましょう。
防火ダンパーの取付けと作動はどう確認するのか

だからこそ検査では、いざというときに確実に閉じるかどうかを重点的に確認します。
吊り金具は4点吊りが基本ですが、直径300mm以下や角形300mm以下は2点吊り、直径100mm以下は1点吊りでもよいとされています。
検査事項(27)の作動状況では、ダンパーが円滑に作動するかどうかを確認します。
ヒューズ方式のものは、温度ヒューズを抜き取ったときに自重やスプリングの力で完全に閉鎖するかを確かめます。
保守の際に塗ったペンキ等で羽根が固着していないかも、見落としやすいポイントです。
うちのダンパー、いざというときちゃんと閉じるか正直心配です。
定期検査で作動確認をしますので、閉まりが悪ければその場で指摘してもらえます。
気になる場合は事前に相談してみましょう。
防火ダンパーの劣化と点検口の有無はなぜ重要なのか

また、点検口がなければそもそも検査そのものができなくなってしまいます。
検査事項(29)では、天井や壁に一辺45cm以上の点検口及び検査口が設けられているかを確認します。
点検口はダンパーの保守点検を容易に行うためのもので、検査口はダンパーの開閉や作動状態を確認するためのものです。
どちらも設けられていなければ、是正が必要と判定されます。
天井裏の点検口の上に物が積まれていないかも、日頃から気を付けておきたいところです。
天井の点検口、収納代わりに荷物を置いてしまっていました。
それだと点検口としての役目を果たせません。
次の検査までに荷物をどけておきましょう。
防火ダンパーの温度ヒューズと防火区画貫通部の措置はどう判定するのか

検査の最後には、ダンパー周りの防火区画の処理状況もあわせて確認します。
一般空調用及び換気系統用の公称72℃のヒューズや、厨房など常時周囲温度が高い系統用の公称120℃〜160℃のヒューズが誤って使われていないかを確認します。
温度ヒューズの性能が錆や油脂、ほこり等の汚れ、経年劣化で阻害されていないかもあわせて見ます。
検査事項(31)では、ダンパーが準耐火構造の防火区画を貫通する部分に近接する場合、風道が厚さ1.5mm以上の鉄板又は鉄網モルタル塗等の不燃材料で被覆されているかを確認します。
被覆が不十分だと、ダンパーと防火区画のすき間から火や煙が回り込むおそれがあります。
温度ヒューズにも種類があるなんて、初めて知りました。
一般空調用と排煙用では溶解温度が違いますので、次回の検査でうちのダンパーの型番を確認してもらいましょう。
よくある質問
まとめ
排煙風道と防火ダンパーがどこを見られているのか、これでよく分かりました!
点検口の荷物、次の検査までに片付けておきます。
それは安心です。
お困りの際は㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法第12条(e-Gov法令検索)
- 建築基準法施行令第126条の3(e-Gov法令検索)
- 建築基準法施行令第115条・第112条(e-Gov法令検索)
- 平成20年国土交通省告示第285号 別記第二号(排煙設備の検査結果表)
※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。検査の方法や判定の運用は特定行政庁や建物の状況によって異なる場合があります。個別の判断は所轄の特定行政庁または専門業者にご確認ください。





