排煙設備の排煙口も、建築設備定期検査で欠かせない確認対象です。
煙を有効に排出できる位置にあるか、手動開放装置が確実に動くかどうかは、実際に火災が起きたときの避難や消火活動を大きく左右します。
とはいえ、検査当日にどの部分をどんな基準で見られるのか、把握できていない方も多いのではないでしょうか。
本記事では、排煙口に関する10の検査事項を5つの視点に整理し、検査方法と判定基準を解説します。
排煙口が検査でどこを見られるのか、正直よく分かっていません。
排煙口は、位置や周囲の状況、手動開放装置の作動など10の検査事項で確認されます。
ひとつずつ順番に見ていきましょう。
排煙口を手で開けるスイッチがあるのは知っていますが、動かしたことはありません。
検査では実際にワイヤーやボタンを操作して、排煙口が確実に開くかどうかまで確認します。
次から詳しく解説しますね。
- 排煙口は防煙区画部分の各部分から水平距離30m以下となる位置に設け、直接外気に接する場合を除き排煙風道に直結します。
- 周囲に開放を妨げる障害物がないこと、取付けが堅固で著しい腐食や損傷がないことが判定基準です。
- 手動開放装置は床から80cm以上1.5m以下の高さに設け、操作方法を見やすく表示する必要があります。
- 排煙口の排煙風量は排煙口の断面内5箇所の風速を測定し、規定風量以上であることを計算で確認します。
- 大規模な建物では中央管理室での制御・監視や煙感知器との連動も検査対象です。
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目次
排煙口の位置と周囲の状況はどこまで基準があるのか

検査ではまず、防煙区画からの距離や設置高さ、周囲の状況が基準どおりかを確認します。
天井の高さが3m未満の場合は、天井から80cm以内で防煙壁により区画された部分のうち、防煙壁の下端より上に設けます。
天井の高さが3m以上の場合は、床面から2.1m以上、かつ天井高さの2分の1以上の壁の部分に設ける必要があります。
検査事項(12)の周囲の状況では、排煙口の開放を妨げる障害物が置かれていないかも確認します。
棚や什器の配置換えで、いつの間にか排煙口の前をふさいでいないか、日頃から目を配っておきたいポイントです。
排煙口の位置に細かい基準があるとは、知りませんでした。
天井の高さによって設置できる位置の基準が変わりますので、増改築の際は特に注意が必要です。
排煙口の取付けと手動開放装置はどこまで劣化を許容できるのか

また、いざというときに操作する手動開放装置の周りに、物が置かれていないかもあわせて見ます。
「著しい腐食」にあたるかどうかは、基準書が定める腐食状況の判定基準にもとづいて判断されます。
検査事項(14)の手動開放装置の周囲の状況では、品物等が置かれて操作に支障が生じていないかを確認します。
容易に近づけない場所に物が積まれている状態も、是正の対象です。
非常時にすぐ手が届くよう、手動開放装置の周辺は日頃から片付けておくことが大切です。
手動開放装置の前に、脚立を置きっぱなしにしていました。
それだと操作の支障になりますので、次の検査までに片付けておきましょう。
手動開放装置の表示と実際の開放操作はセットで確認する

実際に操作して排煙口が正しく開放されるかどうかまで確認して、初めて合格となります。
検査事項(16)では、ワイヤーによる機械式又は電気式の手動開放装置を実際に操作し、排煙口が容易に開放するかを確認します。
電気式の場合は、開放にあわせて作動表示ランプが点灯することもあわせて見ます。
検査事項(17)の排煙口の開放の状況では、常時閉鎖状態を保持し、開放時の気流で閉じたり著しい振動が生じたりしないかを確認します。
排煙口の回転軸が、排煙の気流方向と平行になるように取り付けられていることも判断材料になります。
手動開放装置は、表示さえあれば大丈夫だと思っていました。
表示だけでなく実際に操作して排煙口が開くところまで確認しますので、動きが悪ければその場で分かります。
排煙口の排煙風量はどうやって測定し合格ラインを判定するのか

検査では実際に風速を測定し、計算式にあてはめて規定風量以上かどうかを確認します。
複数の防煙区画にかかる排煙機の場合は、床面積が最大となる区画の1平方メートルにつき2立方メートル以上の能力が求められます。
測定は排煙口の断面内5箇所で風速を測り、平均風速を60倍した値に排煙口の面積を掛けて風量を算出します。
この検査事項は毎年全数を測定するとは限らず、1年から3年までの間隔で特定行政庁が定める時期に実施する運用も認められています。
天井チャンバー方式の場合は、システム天井の吸込み口や天井チャンバー内の集煙口など、決められた箇所で測定します。
風量まで測るとは、ずいぶん本格的な検査なんですね。
計算式にあてはめて規定の風量を満たしているかまで確認しますので、安心してお任せください。
大規模建物特有の中央管理室連動と煙感知器連動はどう検査するのか

中央管理室からの遠隔操作や、煙感知器との自動連動もあわせて検査対象になります。
検査では、連動制御盤から排煙口を遠隔で開放させ、正常に開放することを現地でも確認します。
同一防煙区画に複数の排煙口がある場合は、同時に開放する連動機構が作動することもあわせて見ます。
検査事項(20)では、発煙試験器等を使って煙感知器との連動を確認し、排煙口が支障なく開放するかを見ます。
換気口の近くや厨房のように煙が停留しやすい場所は誤作動を起こしやすいため、感知器の設置位置にも注意が必要です。
うちのビルは高さがあるので中央管理室があります。
そこまで確認されているとは知りませんでした。
遠隔操作や煙感知器との連動まで、実際に動かして確認いたします。
気になる点があれば検査の際にご相談ください。
よくある質問
まとめ
排煙口がどこを見られているのか、これでよく分かりました!
手動開放装置の周り、次の検査までに片付けておきます。
それは安心です。
お困りの際は㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法第12条(e-Gov法令検索)
- 建築基準法第34条第2項(e-Gov法令検索)
- 建築基準法施行令第126条の3(e-Gov法令検索)
- 平成12年建設省告示第1436号(e-Gov法令検索)
- 平成20年国土交通省告示第285号 別記第二号(排煙設備の検査結果表)
※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。検査の方法や判定の運用は特定行政庁や建物の状況によって異なる場合があります。個別の判断は所轄の特定行政庁または専門業者にご確認ください。





