移動タンク貯蔵所(タンクローリー)は、走行しているときだけでなく止まっている間にも守るべき基準があります。
被けん引自動車(タンクを積んだトレーラー部分)は、けん引自動車と結合しておくのが原則で、勝手に切り離してよいわけではありません。
危険物の規制に関する政令第二十六条第一項第八号から第十号までが、結合の原則とその例外、備え付けるべき書類や用具を定めているためです。
この記事では、被けん引自動車の結合義務・積卸し時の例外・備え付ける書類と用具を条文から整理します。
タンクだけ切り離して置いておいても、別に問題ないですよね。
実は結合しておくことが原則で、切り離せるのは決まった場合だけです。
どんなときなら切り離してよいんですか。
積卸し作業など条文で定められた場合に限られます。
順番に見ていきましょう。
- 移動タンク貯蔵所は、危険物の規制に関する政令第二十六条第一項第八号を根拠に、被けん引自動車をけん引自動車に結合しておくことが原則です。
- 例外的に切り離せるのは、規則第四十条の二の二が定める鉄道又は軌道の車両への積卸し作業で、三つの条件を満たすときだけです
- 移動タンク貯蔵所には、完成検査済証や点検記録など四種類の書類を備え付けておく必要があります
- アルキルアルミニウム等を運ぶ移動タンク貯蔵所は、緊急連絡先を記載した書類と防護服等の用具も追加で備え付けます
- 結合や書類・用具の不備は基準違反になるため、駐車中の点検項目に組み込むことが重要です
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目次
被けん引自動車はなぜけん引自動車と結合しておく必要があるのか

移動タンク貯蔵所の「貯蔵の基準」の一つです。
これはタンクだけを切り離して単独で置いたまま危険物を貯蔵することを防ぐための規定で、貯蔵の技術上の基準の一つに位置づけられています。
運搬中や給油取扱所での荷卸し中だけの話ではなく、危険物が入っている限り駐車場でも同じ扱いになります。
ただし書きがある以上、総務省令で定める場合には例外が認められています。
荷卸しが終わったら、その場ですぐ切り離していました。
危険物が入ったままなら結合が原則です。
次は認められている例外を見ましょう。
鉄道や軌道の車両に積み込むときはなぜ結合を解いてよいのか

条文が想定している場面を確認します。
駐車場で作業しやすいから切り離す、といった理由は条文の想定に含まれません。
積卸しは火災予防上安全な場所で行い、移動貯蔵タンクに変形や損傷が生じないよう措置を講じることが条件です。
さらに積込みはけん引自動車を切り離した直後、取卸しは車両から下ろした後直ちに再結合することまで求められます。
切り離したまま、しばらく置いておくのは駄目なんですね。
はい、直ちに結合し直すことまでが条件です。
次は備え付ける書類を確認しましょう。
移動タンク貯蔵所にはどんな書類を備え付けるのか

移動タンク貯蔵所ならではの備付け義務があります。
完成検査済証は施設が基準に適合していることを示す書類、点検記録は消防法第十四条の三の二の定期点検の記録です。
これに規則第七条の譲渡又は引渡の届出書(様式十五)と、規則第七条の三の品名・数量・指定数量の倍数の変更の届出書(様式十六)が総務省令で定める書類として加わります。
届け出た書類の控えをそのまま車両に載せておく、という運用になります。
車検証のように、事務所に保管しておけばよいと思っていました。
いいえ、移動タンク貯蔵所そのものに備え付ける義務です。
次はアルキルアルミニウム等の場合を見ましょう。
アルキルアルミニウム等を運ぶときはなぜ用具まで必要になるのか

アルキルアルミニウム等が代表例です。
書類は緊急時の連絡先や応急措置の内容を記載したもので、事故が起きたときにすぐ参照できる状態にしておく趣旨です。
用具は防護服・ゴム手袋・締付け工具・携帯用拡声器の四点と規則で具体的に指定されています。
これまでの三種類の書類に加えて、この危険物を運ぶときだけ備えるものが増える点に注意してください。
拡声器まで積んでおく必要があるとは、思っていませんでした。
はい、規則が用具の中身を具体的に指定しています。
最後に確認の手順をまとめます。
駐車中に確認しておきたい手順はどうまとめられるか

順番にチェックしてください。
- 危険物が入った状態で駐車するときは、けん引自動車と結合されているかを確認する
- 結合を解いているなら、鉄道又は軌道の車両への積卸し作業中であるかを確認する
- 積卸し場所が火災予防上安全な場所で、タンクに変形や損傷を生じさせない措置が取られているかを確認する
- 完成検査済証・点検記録・二種類の届出書の控えが車両に備え付けられているかを確認する
- アルキルアルミニウム等を運ぶ車両では、緊急連絡先の書類と防護服・ゴム手袋・締付け工具・携帯用拡声器が揃っているかを確認する
結合と書類、用具の三つをまとめて確認すればよいのですね。
はい、駐車中の点検項目に組み込んでおくと安心です。
よくある質問もあわせてご確認ください。
よくある質問
まとめ
駐車中の確認項目に、結合と書類のチェックを加えます。
助かります。
まずは結合の有無から確認してください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法第十条第三項・第十四条の三の二
- 危険物の規制に関する政令第二十六条第一項第八号・第九号・第十号
- 危険物の規制に関する規則第四十条の二の二
- 危険物の規制に関する規則第四十条の二の三
- 危険物の規制に関する規則第四十条の二の四
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





