建物の各部屋には、空気を入れ替えるための換気設備を設けなければなりません。
給気口や排気筒はどんな構造でもよいわけではなく、建築基準法施行令が具体的な基準を定めています。
自然の力で換気する方式と、機械で強制的に換気する方式とでは、求められる構造がまったく異なります。
条文をたどると自然換気と機械換気それぞれに満たすべき条件が細かく決められていることが見えてきます。
うちのビルは窓が無くて、機械で空気を入れ替えている部屋があります。
あれにも構造の基準があるんですか。
はい、基準があります。
換気設備は建築基準法施行令が自然換気と機械換気それぞれに構造基準を定めています。
うちは窓を開けて換気できる部屋もあります。
そちらにも基準はあるんでしょうか。
窓で換気する自然換気設備にも基準があります。
条文の中身を順に見ていきましょう。
- 居室に設ける換気設備は、自然換気設備と機械換気設備でそれぞれ異なる構造基準を満たさなければなりません
- 自然換気設備は給気口の位置と排気筒の立上りなど、空気の流れる向きを固定する構造が求められます
- 機械換気設備は給気機と排気機の組み合わせや風道の材料まで具体的な基準があります
- 給気口・排気口・排気筒の頂部には雨水や虫、ほこりの侵入を防ぐ設備を設けなければなりません
- 中央管理方式の空気調和設備には温度や湿度などの数値基準も別に定められています
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目次
建物の換気設備にはどんな構造基準があるのか

建築基準法施行令はこの換気設備を大きく3つの方式に分けて構造基準を定めています。
条文は自然の通気力だけに頼る自然換気設備、送風機で強制的に換気する機械換気設備、それに加えて温度や湿度まで調整する中央管理方式の空気調和設備の3つを区別しています。
同じ「換気」という言葉でも、条文が求める構造はこの3方式でまったく異なります。
自分の建物にどの方式が採用されているかは、設備図面や竣工図で確認できます。
まずは自分の建物がどの換気方式を採用しているかを確かめることから始めてください。
うちのビルは一部の部屋だけ機械で換気しているみたいです。
これも今の基準の対象になりますか。
はい、対象になります。
自然換気か機械換気かで満たすべき基準が変わります。
自然換気設備はどんな条件を満たさなければならないのか

条文は給気口と排気口の位置関係を具体的に定めています。
給気口は居室の天井の高さの2分の1以下の位置に設け、常に外気に開放された構造にしなければなりません。
排気口はその給気口より高い位置に設け、常時開放したうえで排気筒の立上り部分に直結させる必要があります。
低い位置から新鮮な空気を取り込み、高い位置から古い空気を排出する向きを固定することで、自然の対流だけで換気が成立する仕組みです。
リフォームで間仕切りを変更するときは、給気口と排気口の高低の関係を崩さないよう注意してください。
給気口と排気口、高さが違うだけでそんなに変わるものなんですか。
高低差が無いと空気が流れず、自然換気そのものが成立しません。
機械換気設備にはどんな性能が求められるのか

条文は給気と排気の組み合わせだけでなく、風道の材料にも基準を置いています。
給気機と排気機を両方備える、給気機と排気口を備える、給気口と排気機を備える、のいずれかの組み合わせが必要です。
給気口と排気口の位置や構造は、居室内の空気が偏らず局部的な流れを生じさせないことが条件になります。
風道そのものについても空気を汚染するおそれのない材料で造ることが定められており、これは火災に対する不燃材料の基準とは別の、衛生上の材料基準です。
風道の内部が汚れていないか、送風機が均等に空気を送れているかは日常の点検で確認できます。
風道は火に強い材料にするだけじゃなく、空気を汚さない材料でもないといけないんですね。
そのとおりです。
不燃材料の基準とは別の基準だと覚えておいてください。
ほこりや虫の侵入を防ぐ設備を見落としていないか

そのぶん、外から入り込むものへの備えも条文で求められています。
自然換気設備も機械換気設備も、外気に開放された給気口・排気口・排気筒の頂部には雨水、ねずみ、虫、ほこりの侵入を防ぐ設備を設けなければなりません。
古い建物では、経年で防虫網や防雨カバーが破損・脱落したまま放置されているケースがあります。
外から見えるだけの位置にある設備でも、防護の網やフードが失われていれば基準を満たさなくなります。
定期的な清掃や点検のときに、開口部の防護設備が壊れていないかも一緒に確認してください。
屋上の換気口の網が破れて外れかけているのを見たことがあります。
あれもまずいんでしょうか。
はい。
網やフードの破損は基準を満たさなくなるので早めの補修が必要です。
実務で確認すべきことは何か

維持管理として日常的に確認できることがあります。
- 自分の建物の各室が自然換気と機械換気のどちらの方式か
- 給気口が排気口より低い位置にあるか、高低の向きが崩れていないか
- 風道の内部や送風機に汚れやほこりがたまっていないか
- 給気口・排気口・排気筒の頂部の防虫網や防雨フードが破損していないか
自然換気か機械換気かによって点検すべきポイントが変わるため、どちらの方式かをまず特定してください。
風道の不燃材料化など防火に関わる基準は別の条文で定められているため、この記事の基準とあわせて確認しておくと手戻りが少なくなります。
防虫網やフードの破損など目に見える異常は、日常清掃の担当者にも共有しておくと早期発見につながります。
判断に迷う場合は、建築士や設備業者に相談し、必要な補修や是正を行ってください。
まずは設備図面を見て、うちが自然換気か機械換気かを確認してみます。
それが確実です。
方式の確認から始めてみてください。
よくある質問
まとめ
まずは設備図面で、自然換気か機械換気かを確かめてみます。
方式の確認と侵入防止設備の点検、この2つを見れば大枠はつかめます。
気になる箇所があれば早めの確認が安心です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法第1条
- 建築基準法施行令第129条の2の5
- e-Gov 法令検索
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





