危険物を貯蔵したり取り扱ったりする施設には、消防法にもとづく許可が必要です。
しかしその許可は、一度受ければ永久に安泰というわけではなく、違反があれば取り消されたり使用を止められたりすることがあります。
消防法第12条の2と第12条の3は、どんな違反が許可取消しや使用停止の対象になり、緊急時にはどんな命令が出るのかを定めています。
この記事では、取消しと使用停止の違いから緊急時の命令、違反したときの罰則までを、条文にもとづいて解説します。
うちの工場にも危険物を扱う施設があるのですが。
許可が取り消されることもあるのでしょうか。
はい、決められた違反があれば取り消されることがあります。
まずは取消しの対象になる違反から確認していきましょう。
取り消されるところまではいかない違反もあるのでしょうか。
違反の種類によって取消しと使用停止で対応が分かれます。
この記事で条文にそって順番に見ていきます。
- 無許可の変更や完成検査前の使用、保安検査・定期点検を怠ると許可取消しまたは使用停止の対象になります
- 貯蔵・取扱いの基準違反や保安監督者の未選任は取消しではなく使用停止までにとどまります
- 基準を満たしていても公共の安全のため緊急の必要があれば使用の一時停止や制限を命じられます
- 命令に違反すると6月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金の対象になります
- 命令が出た施設には標識が設置され公示されます
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目次
危険物施設の許可はどんな理由で取り消されるのか

その後の運用によっては、許可そのものが取り消されることもあります。
一番わかりやすいのは、無許可のまま位置・構造・設備を変更してしまうケースです。
完成検査(使用前の検査)を受ける前に施設を使い始めてしまうことも対象になります。
技術基準への是正命令に違反した場合や、保安検査・定期点検を怠った場合も含まれます。
まず自分の施設がこの5つのどれかに触れていないかを確認することが出発点です。
うちは検査を先延ばしにしているのですが、それだけで取り消されるんですか。
保安検査や定期点検を怠ることも取消しの対象に入っています。
早めに実施しておくことをおすすめします。
取消しではなく使用停止までにとどまる違反もあるのか

この場合は許可そのものは残ります。
貯蔵・取扱いの技術基準の是正命令に違反した場合や、危険物保安統括管理者への業務命令に違反した場合が含まれます。
危険物保安監督者を選任していないまま事業を行うことも、この使用停止の対象です。
取消しの対象になる違反とは条文の号が分かれているため、同じ違反でも重さが違うと考えられています。
使用停止で済むといっても、期間中は施設を動かせないという実害は変わりません。
取消しと使用停止って、結局どちらも施設が止まる意味では同じですよね。
期間中止まる点は同じですが、許可そのものが残るかどうかが違います。
取消しなら再度許可を取り直す必要があります。
基準を満たしていても緊急時には使用を止められるのか

ところが、違反がなくても止められる場合が別に定められています。
「公共の安全の維持」または「災害の発生の防止」のため緊急の必要があると市町村長等が認めれば発動できます。
使用の一時停止だけでなく、使用の制限という部分的な選択肢もあります。
周辺で大規模な災害が起きたときなど、施設そのものに問題がなくても命令の対象になり得ます。
取消し・使用停止(第12条の2)とは別の条文にもとづく、独立した仕組みです。
うちの施設に何も問題がなくても、止められることがあるということですか。
はい、周辺の災害状況によってはあり得ます。
命令が出たらまず内容を正確に確認してください。
命令に従わないとどうなるのか

罰則と、命令が出たことの周知方法を確認します。
許可取消し・使用停止(第12条の2)と緊急時の一時停止・制限(第12条の3)、どちらの命令違反も同じ重さの罰則が定められています。
情状によっては拘禁刑と罰金の併科もあり得ます。
命令が出た施設には標識が設置され、その旨が公示されます。
施設の所有者等は、この標識の設置を拒んだり妨げたりしてはいけません。
標識まで立てられるとなると、近所の目も気になりますね。
それだけ命令の実効性を重く見ている制度だということです。
従わない選択肢はまず考えないほうがよいです。
明日からなにを確認すればよいのか

明日から確認しておきたいことを整理します。 まず自分の施設が、無許可の変更をしていないかを最初に確認します。
- 製造所・貯蔵所・取扱所の位置・構造・設備を許可時の内容と照らし合わせる
- 保安検査・定期点検の実施期限が過ぎていないかを確認する
- 危険物保安監督者の選任状況と、その業務が適正に行われているかを確認する
- 命令や標識の掲示があった場合にすぐ対応できる連絡体制を整えておく
まずは許可時の書類と、いまの設備を照らし合わせてみます。
実態と許可内容の一致を保つことが、取消しを避ける一番の近道です。
よくある質問
まとめ
取消しと使用停止の違いが、これでよく分かりました!
危険物施設の管理のことでも、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法第12条の2(許可の取消し又は使用停止)
- 消防法第12条の3(緊急使用停止命令等)
- 消防法第42条(罰則)
- 消防法第11条の5(標識設置の準用規定)
※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





