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危険物施設の予防規程はどんな建物でも必要なのか|指定数量の倍数で決まる作成義務と罰則を解説

危険物施設の予防規程はどこまで必要かを解説する記事のアイキャッチ画像

危険物を貯蔵したり取り扱ったりする施設には、火災を予防するための「予防規程」という書類の作成が義務づけられることがあります。
ところが、危険物を扱っているすべての施設が対象になるわけではなく、規模によって必要かどうかが分かれます。
消防法第14条の2は、どんな施設に予防規程が必要で、誰がそれを認可し、認可された後にどんな義務が生じるのかを定めています。
この記事では、対象になる施設の基準から認可後の義務や罰則までを、条文にもとづいて解説します。

うちの工場にも危険物を扱うタンクがあるのですが。
予防規程は必ず作らないといけないのでしょうか。

実は施設の規模によって必要かどうかが変わります。
まずは対象になる基準から確認していきましょう。

規模の基準がよく分からないのですが。
どうやって判断すればよいのでしょうか。

指定数量の倍数という考え方で決まります。
この記事で基準から手順まで順番に見ていきます。

この記事の結論
  • 予防規程は危険物施設の火災を予防するために作成する書類です
  • 対象になるのは指定数量の倍数が一定以上の施設に限られます
  • 作成した予防規程は市町村長等の認可を受けなければなりません
  • 認可を受けた後も予防規程を守る義務が続きます
  • 違反すると6月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金の対象になります

危険物施設の規模に応じて予防規程の作成と認可が必要になる仕組みを示す図解

危険物施設の予防規程とはどんな書類を指すのか

危険物タンクの並ぶ施設を背に予防規程の書類を手にする管理者のイメージ
危険物を扱う施設と聞くと、真っ先に設備の技術基準を思い浮かべる方が多いかもしれません。
実はそれとは別に、施設ごとに作らなければならない書類があります。
政令で定める製造所、貯蔵所又は取扱所の所有者、管理者又は占有者は、当該製造所、貯蔵所又は取扱所の火災を予防するため、総務省令で定める事項について予防規程を定め、市町村長等の認可を受けなければならない。これを変更するときも、同様とする。(消防法第14条の2第1項)
予防規程とは、危険物施設ごとに火災予防の取り決めをまとめ、市町村長等の認可を受ける書類です。
対象になるのは政令で定める規模以上の製造所、貯蔵所又は取扱所で、所有者・管理者・占有者に作成義務があります。
建物全体の防火管理を扱う消防計画とは違い、予防規程は危険物施設そのものの火災予防に的を絞った書類です。
作成して終わりではなく、内容を変更するときも同じように認可を受け直さなければなりません。
まずは自分の施設がそもそも対象になるのかどうかを、次の基準で確認します。

危険物のタンクがあれば、どこでも予防規程が必要なんですか。

実は施設の規模によって変わります。
次で基準を確認しましょう。

どんな施設に予防規程の作成義務があるのか

大きな屋外タンクと小さなタンクを並べ対象になるかどうかを対比したイメージ
対象になるかどうかは、施設の種類ごとに違う数字で線引きされています。
その物差しになっているのが「指定数量の倍数」という考え方です。
危険物の規制に関する政令第7条の3
一 指定数量の倍数が10以上の製造所
二 指定数量の倍数が150以上の屋内貯蔵所
三 指定数量の倍数が200以上の屋外タンク貯蔵所
四 指定数量の倍数が100以上の屋外貯蔵所
五 移送取扱所
六 指定数量の倍数が10以上の一般取扱所(略)
(同令第37条により、これらの施設と総務省令で定めるもの以外の給油取扱所が、消防法第14条の2第1項の対象となる。)
対象になるかどうかは「指定数量の倍数」という規模の物差しで決まります。
製造所は指定数量の10倍以上、屋内貯蔵所は150倍以上、屋外タンク貯蔵所は200倍以上というように、施設の種類ごとに基準の倍数が違います。
移送取扱所のようにパイプラインで危険物を送る施設は、規模を問わず一律に対象となる点も見落としやすいところです。
基準に届かない小規模な施設は、原則としてこの条文の対象にはなりません。
自分の施設がどの区分にあたるかは、貯蔵・取扱いの実績量を指定数量で割った倍数を計算して確認します。

うちは倍数がそんなに大きくないのですが、それでも安心できますか。

基準未満なら義務の対象外です。
ただし給油取扱所は別に総務省令で範囲が決まっています。

認可を受けられないのはどんな予防規程なのか

ひび割れたタンクを市役所窓口の担当者が確認し禁止マークが付いたイメージ
作成して提出すれば、それだけで認可されるわけではありません。
市町村長等が認可を拒む場合も条文で定められています。
市町村長等は、予防規程が、第10条第3項の技術上の基準に適合していないときその他火災の予防のために適当でないと認めるときは、前項の認可をしてはならない。(消防法第14条の2第2項)
作成しただけでは足りず、内容が基準を満たしていなければ認可されません。
第10条第3項が定める製造所等の位置・構造・設備の技術上の基準に適合していない予防規程は、認可されません
技術基準に反していなくても、火災予防上適当でないと市町村長等が判断すれば、同じく認可を拒まれます。
つまり書類の体裁が整っていても、施設の実態と食い違っていれば通らない仕組みです。
認可を得るには、実際の設備や運用と規程の内容を一致させておくことが前提になります。

書類さえ出せば、内容は多少大まかでも大丈夫でしょうか。

いいえ、技術基準に適合しない予防規程は認可されません。
実態に合わせて作る必要があります。

認可された後も守り続けなければならない義務とは

変更命令の書類を渡す職員とヘルメット姿の作業員のイメージ
認可が下りたら義務が終わるわけではありません。
その後も続く義務と、違反したときの罰則を確認します。
市町村長等は、火災の予防のため必要があるときは、予防規程の変更を命ずることができる。第1項に規定する製造所、貯蔵所又は取扱所の所有者、管理者又は占有者及びその従業者は、予防規程を守らなければならない。(消防法第14条の2第3項・第4項)
認可を受けて終わりではなく、その後も守り続ける義務が続きます。
所有者・管理者・占有者だけでなく、従業者も予防規程を守らなければならないと定められています。
火災予防のため必要があれば、市町村長等はいつでも予防規程の変更を命じることができます。
第14条の2第1項の規定に違反して危険物を貯蔵・取り扱ったり、この変更命令に違反したりすると、第42条第1項第8号により6月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金の対象になります。
一度認可されたからといって規程を棚上げにせず、日々の運用で守り続けることが求められます。

認可が下りたら、それで安心してもいいんでしょうか。

いいえ、従業員も含めて守り続ける義務があります。
変更命令が出ることもあります。

明日からなにを確認すればよいのか

チェックリストを持つ管理者が危険物タンクの施設を確認しているイメージ
条文の中身が分かったら、次は自分の施設に落とし込む番です。
明日から確認しておきたいことを整理します。 まず自分の施設が対象になるかどうかを、指定数量の倍数で数え直すところから始めます。
  • 製造所・貯蔵所・取扱所それぞれの指定数量の倍数を最新の貯蔵・取扱い実績で計算し直す
  • 予防規程に記載した内容と、実際の設備・体制が一致しているかを確認する
  • 従業者にも予防規程の内容を周知し、変更点があれば必ず伝える
  • 市町村長等から変更命令が出た場合は速やかに対応する体制を整えておく

まずは倍数の計算から見直してみます。

実態と規程の一致を保つことが、認可を維持する一番の近道です。

よくある質問

Q予防規程は誰が作成しなければならないのですか?
A政令で対象と定められた製造所、貯蔵所又は取扱所の所有者、管理者又は占有者が作成し、市町村長等の認可を受けなければなりません(消防法第14条の2第1項)。
Q指定数量の倍数が基準に届かない施設は予防規程が不要なのですか?
A危険物の規制に関する政令第7条の3各号に定める倍数に届かない施設は、原則として対象になりません。ただし給油取扱所は別に総務省令で定める範囲が対象になります。
Q予防規程を変更するときも認可が必要なのですか?
A必要です。消防法第14条の2第1項後段は、変更するときも同様に市町村長等の認可を受けなければならないと定めています。
Q予防規程を守らないとどうなるのですか?
A予防規程に基づかず危険物を貯蔵・取り扱ったり、変更命令に違反したりすると、消防法第42条第1項第8号により6月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金の対象になります。

まとめ

予防規程は危険物施設の火災を予防するために作成する書類です
対象になるのは政令で定められた規模以上の製造所・貯蔵所・取扱所などに限られます
指定数量の倍数が基準に届かない施設は原則として対象になりません
予防規程は市町村長等の認可を受けなければ効力を持ちません
技術上の基準に適合しない予防規程は認可されません
認可後も市町村長等は予防規程の変更を命じることができます
予防規程を守らなかったり変更命令に違反したりすると罰則の対象になります

予防規程が必要かどうかの見分け方が、これでよく分かりました!

危険物施設の管理のことでも、㈱防災屋でもご相談を承っております。

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法第14条の2(予防規程)
  • 消防法第10条第3項(位置、構造及び設備の技術上の基準)
  • 消防法第42条(罰則)
  • 危険物の規制に関する政令第7条の3、第37条

※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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