大型の量販店で放火や不審火が連続すると、消防はどこまで踏み込んでくるのでしょうか。
平成16年12月、埼玉県で起きたドン・キホーテの火災をきっかけに、全国の量販店で放火が相次ぎました。
消防庁は立入検査の結果を踏まえ、放火対策と違反是正の両面から通知を出し直しています。
今回は、量販店等に出された2つの通知をもとに、明日から確認すべき防火対策を解説します。
最近、量販店の放火のニュースをよく見ます。
平成16年12月、ドン・キホーテ浦和花月店の火災をきっかけに、似た店舗で放火が相次いだんです。
うちの店も対象になるのでしょうか。
百貨店に準ずる大規模な小売店舗なら対象です。
まず死角をなくすことから始めましょう。
- 対象になるのは、百貨店に準ずる大規模な小売店舗や、複数の店舗を展開する量販店等です。
- 通知が求める柱は、放火火災防止対策と違反是正対策の2つです。
- 悪質な違反には、消防法第5条の3や第8条第4項に基づく措置命令が検討されます。
- 命令を出した場合は、標識の設置やホームページでの公表も定められています。
- 立入検査では、誘導灯の視認障害や避難訓練の未実施が特に多く指摘されました。
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目次
なぜ量販店の放火事件は消防の緊急対応を招いたのか

その後、各地の類似店舗で放火や不審火が連続したことが、通知を重ねて出す事態につながっています。
実施店舗3,038件の立入検査では、消火・避難訓練の未実施が36.3%にのぼりました。
消防庁はまず放火防止の徹底を求める通知を出し、続けて立入検査の結果を踏まえた強化版を出しています。
つまり、量販店という業態そのものが、放火に狙われやすい構造を持っていると考えられたわけです。
背景を知っておくと、なぜここまで踏み込んだ対策が必要なのか納得しやすくなります。
放火なんて防ぎようがない気もします。
死角を減らすだけでも、放火の機会は大きく減らせますよ。
どんな店舗のどんな行為が対象になるのか

消防法第8条が定める防火管理者の設置対象と同じ枠組みで、大規模な小売店舗が広く含まれます。
百貨店そのものでなくても、政令で定める規模の小売店舗であれば同じ扱いです。
さらに通知は、全国的に事業を展開する法人には、法人組織全体としての防火管理指導も求めています。
一店舗だけの問題ではなく、チェーン全体の管理体制が問われる点に注意が必要です。
うちは1店舗だけですが対象になりますか。
はい、店舗の規模や数に関わらず、大規模な小売店舗であれば対象です。
通知はなにを講じるよう求めているのか

どちらも、明日からの店舗運営に直接関わってきます。
商品の陳列を見直して死角を減らし、従業員や警備員の巡回を強化する。
そのうえで、監視カメラや炎センサーといった機器で人の目を補うという二段構えになっています。
違反是正の面では、悪質な対象物ほど重点的かつ繰り返し立入検査を行う方針も示されました。
店舗側から見れば、放火対策と法令順守は別々の話ではなく、同じ通知の中で一体で求められていることになります。
監視カメラだけでは足りないのでしょうか。
通知は炎センサーの併用も有効だとしていますよ。
実務で見落としやすいのはどこか

立入検査の結果は、そのことをはっきり示しています。
消防法第8条第4項 消防長又は消防署長は、第一項の規定により同項の防火対象物について同項の防火管理者の行うべき防火管理上必要な業務が法令の規定又は同項の消防計画に従つて行われていないと認める場合には、同項の権原を有する者に対し、当該業務が当該法令の規定又は消防計画に従つて行われるように必要な措置を講ずべきことを命ずることができる。
誘導灯の前に商品を積み上げたり、避難通路をふさいだりする違反は、放火とは別の落とし穴です。
繰り返し違反が改善されない場合には、消防法第5条の3や第8条第4項に基づく命令も検討されます。
命令を行った場合は、標識の設置に加え、消防本部のホームページ等での情報公開も行われることになっています。
自店舗は関係ないと思っていても、公表される側になり得ることは意識しておく必要があります。
命令が出たことまで公表されるんですか。
はい、標識だけでなくホームページでも周知されることがあります。
明日からなにを確認すればよいのか

まずは店舗の中を歩いて、次の点を確認してみましょう。
避難通路の幅が確保されているか、防火戸の前に物が置かれていないかを歩いて確認します。
誘導灯や誘導標識が商品や什器で隠れていないかも、あわせて見ておきましょう。
そのうえで、年2回以上の消火・避難訓練を実施し、従業員全員が消火器や避難器具の位置を言えるようにしておくことが大切です。
小さな見直しの積み重ねが、放火にも火災にも強い店舗をつくります。
明日からまず何を見ればいいでしょうか。
避難口の周りに物が置かれていないか、そこから確認しましょう。
よくある質問
まとめ
死角をなくして、巡回も見直します!
㈱防災屋でもご相談を承っております。
お気軽にご連絡ください。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 量販店等における防火安全対策の徹底について(平成16年12月20日付け消防予第253号・消防安第236号)
- 量販店等における当面対応すべき防火安全対策の強化について(平成17年1月19日付け消防予第5号・消防安第7号)
- 消防法第5条・第5条の3・第8条
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





