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非常用照明装置の自家用発電装置は定期検査でどこを確認するのか|蓄電池内蔵形の配線から始動用空気槽の圧力まで14のチェックポイントを解説

自家用発電装置の防火区画と始動系統を確認する女性検査員

非常用の照明装置は、停電時に自力で避難できるよう自動点灯する設備で、電源の確保方法によって「電池内蔵形」と「電源別置形」の2通りに分かれます。
電池内蔵形は器具そのものに蓄電池を内蔵しますが、電源別置形は蓄電池室のほかに自家用発電装置を予備電源として備えていることがあります。
建築設備定期検査では、電池内蔵形の配線から、自家用発電装置の防火区画・発電容量・始動用の設備まで、幅広い項目を確認します。
この記事では、蓄電池内蔵形の配線と自家用発電装置について、定期検査で確認すべき14のチェックポイントを解説します。

うちは照明の電池も自家発電機もあるんですが、両方まとめて検査されるんですか。

はい、電池内蔵形の配線と、自家用発電装置の状態をあわせて確認します。
停電時にどちらの経路でも確実に点灯できるかを見ますよ。

発電機は動くだけじゃなくて、部屋そのものも見られるんですね。

そうです、発電機室の防火区画から始動用の設備まで、今日は14のポイントを順番に整理していきますね。

この記事の結論
  • 電池内蔵形の非常用照明は、点滅スイッチを切っても充電ランプが点灯していることを確認する
  • 誘導灯と兼用する器具の配線は、専用回路として他の回路に接続しないことが必要です
  • 自家用発電機室は防火区画の貫通部分にすき間が残っていないかを確認する
  • 自家用発電装置の発電容量は、防災設備を30分以上運転できる出力があるかで判定します
  • 始動用の空気槽の圧力やセル始動用蓄電池の電圧など、始動系統も個別に確認する

非常用照明装置の蓄電池内蔵形の配線と自家用発電装置の定期検査の確認ポイントを示す図解

電池内蔵形の非常照明はなぜ配線にも注意が必要なのか

電池内蔵形の非常用照明器具の充電ランプと専用回路を確認する検査員
電池内蔵形の非常用照明器具は、器具の中に蓄電池を内蔵し、停電を感知すると自動的に点灯する仕組みです。
配線を誤ると蓄電池が正しく充電されず、いざというときに点灯しないおそれがあります。
問1 電池内蔵形の非常用照明器具について、充電ランプの点灯の状況はどのように確認するか。
答1 目視により確認し、点滅スイッチを切断しても充電ランプが点灯しないことを判定基準とする。点滅スイッチを誤って充電回路に接続していると、蓄電池が充放電を繰り返して劣化し、充電ランプが不点灯となることがある。
点滅スイッチを切ってもランプが消えていれば、配線を疑うべきサインです。
一般照明用の点滅スイッチを切っても、充電ランプが緑色に点灯していれば蓄電池は正常に充電されています。
点滅スイッチが誤って充電回路側に組み込まれていると、スイッチのオンオフのたびに蓄電池が浅い充放電を繰り返し、劣化が早まります。
あわせて、消防法に基づく誘導灯と兼用する非常用照明器具の電気配線も確認事項です。
昭和45年建設省告示第1830号第2の規定により、この配線は他の電気回路に接続しない専用回路とし、経路の途中に開閉器を設けてはならないとされています。

うちの照明、誘導灯と一体になったタイプなんですが、配線は普通のものと同じでいいんでしょうか。

誘導灯兼用の器具は専用回路にする決まりがあるので、そこも確認させてくださいね。

自家用発電機室の防火区画と発電容量はどこを見るのか

自家用発電機室の防火区画貫通部と発電機の発電容量を確認する検査員
自家用発電装置は、停電時に非常用照明や排煙設備などの防災設備へ電気を送る予備電源です。
まず発電機室そのものの防火措置と、出力容量が足りているかどうかを確認します。
問2 自家用発電機室にある配管等の防火区画等の貫通措置の状況と、発電機の発電容量は、それぞれどのような基準で判定するか。
答2 防火区画等の貫通措置については目視により確認し、建築基準法施行令第112条第20項若しくは第21項又は同令第129条の2の4第1項第七号の規定に適合しないことを判定基準とする。発電容量については予備電源の容量を確認し、自家用発電装置の出力容量が少なく、防災設備を30分以上運転できないことを判定基準とする。
発電機室の貫通部分にすき間が残っていれば、その区画は機能していません。
配管が防火区画を貫通する部分は、貫通する部分とその両側1m以内が不燃材料で造られ、すき間がモルタルその他の不燃材料で埋められていることを確認します。
換気用の風道が防火区画を貫通する場合は、火災時に自動的に閉鎖する特定防火設備が設けられているかもあわせて見ます。
発電容量は、発電機に接続される非常用照明・排煙設備等の防災設備の合計負荷容量より、自家用発電装置の出力容量が大きいことが必要です。
その上で、自家用発電装置により防災設備を30分以上運転できることを確認します。

発電機室、地下にあるので配管がいろいろ通っているんですが大丈夫でしょうか。

貫通部分の処理が甘くなっていないか、今回の検査でしっかり確認しますね。

発電機と原動機、燃料油潤滑油冷却水はどう確認するのか

発電機と原動機の端子や燃料タンクの油漏れを確認する検査員
発電機室の環境が整っていても、発電機そのものが正常でなければ非常時に電気を作れません。
ここでは発電機・原動機本体の状態と、運転に欠かせない燃料油・潤滑油・冷却水を確認します。
問3 発電機及び原動機の状況、並びに燃料油、潤滑油及び冷却水の状況は、それぞれどのような基準で判定するか。
答3 発電機及び原動機については目視又は触診により確認し、端子の締め付けが堅固でないこと、計器若しくは制御盤の表示ランプ等に破損があること又は原動機若しくは燃料タンクの周囲に油漏れ等があることを判定基準とする。燃料油、潤滑油及び冷却水については目視により確認し、燃料タンク若しくは冷却水槽の貯蔵量が少なく30分以上運転できないこと又は潤滑油が機器に表示された適正な範囲内にないことを判定基準とする。
端子の緩みと油漏れ、この2つがまず目に付く異常のサインです。
発電機・原動機の端子部の締め付けが堅固であること、配管や配線、計器類に破損や取付け不備がないことを確認します。
計器盤又は制御盤の表示ランプが点灯しているか、原動機や燃料タンクの周囲に油漏れがないかもあわせて見ます。
燃料タンク及び冷却水槽は、原動機を30分間以上連続運転できる貯蔵量があるかを、外部のレベル計の表示で確認します。
潤滑油は製造者が指定した種類と異なるものを使用していると化学変化を起こして性能が劣化するため、機器に表示された適正な範囲内にあるかを見ます。

燃料タンクの残量って、どうやって確認するものなんですか。

タンク外側のレベル計の表示で貯蔵量を確認しますので、普段からその表示も気にしてみてください。

始動用空気槽の圧力とセル始動用蓄電池はどう確認するのか

始動用空気槽の圧力計とセル始動用蓄電池の電圧を確認する検査員
自家用発電装置は、空気の圧力や蓄電池の力を使って原動機を始動させます。
この始動系統が働かなければ、発電機がいくら健全でも電気は作れません。
問4 始動用の空気槽の圧力、セル始動用蓄電池及び電気ケーブルの接続の状況、並びに燃料及び冷却水の漏洩の状況は、それぞれどのような基準で判定するか。
答4 空気槽の圧力については圧力計を目視により確認するとともに聴診により確認し、空気槽の自動充気圧力が高圧側で2.2から2.9メガパスカル、低圧側で0.7から1.0メガパスカルに維持されていないこと又は圧力が低下しても警報を発しないことを判定基準とする。セル始動用蓄電池については目視により確認するとともに蓄電池電圧を電圧計により測定し、電圧が定格電圧以下であること、電解液量が適正量より少ないこと又は電気ケーブルとの接続部に緩み、液漏れ等があることを判定基準とする。燃料及び冷却水の漏洩については目視により確認し、配管の接続部等に漏洩等があることを判定基準とする。
圧力・電圧・漏れの3つを、数値と目視の両面から確認します。
始動用の空気槽は同一容量のものが2本設けられ、自動充気圧力が高圧側で2.2から2.9メガパスカル、低圧側で0.7から1.0メガパスカルに維持されているかを確認します。
空気槽1本での始動可能回数は、原動機と発電機を直結した状態で配電盤操作により3回以上できることも基準の一つです。
セル始動用蓄電池は、電圧が定格電圧以上であること、電解液量が適正であること、電気ケーブルとの接続部に緩みや液漏れがないことを確認します。
燃料、冷却水及び空気管等の配管類は、接続部に漏洩がないかを目視で確認し、燃料系統・冷却水系統それぞれの経路をたどって点検します。

空気槽の圧力なんて、普段まったく意識したことがなかったです。

圧力が下がると警報が鳴る仕組みになっているか、そこも含めて確認しますね。

計器類の表示から絶縁抵抗まで仕上げに何を見るのか

発電機盤の計器類の表示と絶縁抵抗計による測定を確認する検査員
自家用発電装置の検査の最後は、計器類の表示や本体の取付け状態、部屋の給排気、そして電気的な安全性を確認します。
ここまでの項目とあわせて、これで自家用発電装置の検査事項がひと通りそろいます。
問5 計器類及びランプ類の指示及び点灯の状況、自家用発電装置の取付けの状況、自家用発電機室の給排気の状況、接地線の接続の状況、並びに絶縁抵抗は、それぞれどのような基準で判定するか。
答5 計器類及びランプ類については目視により確認し、発電機盤、自動制御盤等の計器類、スイッチ等に指示不良若しくは損傷があること又は運転表示ランプが点灯しないことを判定基準とする。取付けの状況については目視又は触診により確認し、基礎架台の取付けが堅固でないこと又は著しい腐食、損傷等があることを判定基準とする。給排気の状況については室内の温度を測定するとともに作動の状況を確認し、給排気状態が十分でなく室内温度が摂氏40度を超えていること又は給排気ファンが単独で若しくは発電機と連動して運転できないことを判定基準とする。接地線の接続については目視により確認し、接続端子部に緩み又は著しい腐食があることを判定基準とする。絶縁抵抗については絶縁抵抗計により測定し、測定結果が電気設備に関する技術基準を定める省令第58条の規定値を下回っていることを判定基準とする。
計器の表示・取付け・給排気・接地・絶縁、この5点で締めくくります。
発電機盤や自動制御盤の計器類(回転計・油圧計・電圧計・電流計・周波数計・水温計・油温計)やスイッチ類に指示不良や損傷がないか、運転表示ランプが点灯するかを確認します。
発電装置本体は基礎又は架台に堅固に据え付けられ、基礎のコンクリートに大きな亀裂がなく、架台やアンカーボルトに著しい腐食がないことを確認します。
屋内設置の発電機室では、給排気ファンが単独又は発電機と連動して運転され、室内温度が摂氏40度を超えないことも確認事項です。
最後に、発電機本体又は配電盤の接地線の接続に緩みや腐食がないか、そして低圧の電路の絶縁抵抗が電気設備技術基準省令の規定値以上であるかを測定します。

計器の見方まではよく分かりませんが、素人でも分かるところもあるんですね。

表示ランプが消えている、基礎が緩んでいるといった外から分かる異常も大事な確認ポイントですよ。

よくある質問

Q電池内蔵形の非常用照明器具に、誘導灯と兼用していない場合でも専用回路は必要か?
A誘導灯と兼用していない電池内蔵形の器具は、専用回路の規定である昭和45年建設省告示第1830号第2の対象外です。ただし、照明器具内に予備電源を有する場合は、電気配線の途中にスイッチを設けてはならないという別の規定が適用されます。
Q自家用発電機室が屋外設置のキュービクル式の場合も点検事項は同じか?
A基本的な検査事項は同じですが、屋外キュービクル式では外板扉等の錆の有無や、内部にごみ・ほこりが集積していないかといった、屋外特有の劣化状況も重点的に確認します。
Q始動用の空気槽の圧力が低下していても、警報さえ鳴れば問題ないのか?
Aいいえ、圧力低下時に警報を発すること自体が判定基準の一つであり、警報が鳴らない場合は不適合と判定されます。あわせて空気槽の自動充気圧力が基準値の範囲に維持されているかも確認が必要です。
Q絶縁抵抗の測定は、検査員が単独で行ってよいのか?
A自家用発電装置は電気事業法上の自家用電気工作物にあたることが多く、原則として電気主任技術者の立会いのもとで検査を行います。保安負荷や消防用の消火栓設備のみに使われる発電装置は検査対象外です。

まとめ

電池内蔵形の非常用照明は、点滅スイッチを切っても充電ランプが点灯していることを確認する
誘導灯兼用器具の配線は専用回路として他の回路に接続しないことが必要です
自家用発電機室の防火区画等の貫通部分は不燃材料ですき間なく埋められているかを確認する
発電容量は防災設備を30分以上運転できる出力があるかで判定します
燃料油・潤滑油・冷却水は、原動機を30分間以上連続運転できる量が確保されているかを確認する
始動用の空気槽の圧力とセル始動用蓄電池の電圧を、それぞれ基準値内かどうか確認する
計器類の表示、取付け、給排気、接地線の接続、絶縁抵抗が基準値以上であることを最後に確認します

電池内蔵形の配線から自家用発電装置まで、確認すべきことがよく分かりました

自家用発電装置は部屋の防火区画から始動系統まで幅広い点検が必要です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 建築基準法第12条第3項(e-Gov法令検索)
  • 建築基準法施行令第112条第20項・第21項(e-Gov法令検索)
  • 建築基準法施行令第129条の2の4第1項第七号(e-Gov法令検索)
  • 昭和45年建設省告示第1830号第2(電気配線)
  • 電気設備に関する技術基準を定める省令第58条(e-Gov法令検索)

※本記事は、建築基準法・同施行令・関係告示に基づき、非常用の照明装置のうち電池内蔵形の配線及び自家用発電装置の定期検査における一般的な検査事項を解説したものです。建築物の構造や設備の仕様によって具体的な確認方法は異なる場合があります。個別の判定は所轄の特定行政庁又は建築設備検査員にご確認ください。

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