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指定数量未満の危険物にも消防法の基準は及ぶのか|火災予防条例が定める貯蔵と取扱いの基準を解説

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ガソリンの携行缶や灯油缶のような、届出も許可も要らないごく少量の危険物。
法律の規制対象外だと思われがちですが、実は消防法に基づく基準がすでに及んでいます。
指定数量の5分の1にも満たない量でも、貯蔵と取扱いには守るべきルールがあります。
防火管理者が知っておくべき、指定数量未満の危険物にかかる基準をわかりやすく解説します

うちの倉庫にも灯油缶が少し置いてあるんですが、量が少ないから関係ないですよね。

いえ、届出がいらない量でも、消防法に基づく基準は必ずかかっています。

そうなんですか。
届出がいらないなら、何も気にしなくていいと思っていました。

そこが見落としやすいところです。
火災予防条例が定める基準を一緒に確認しましょう。

この記事の結論
  • 指定数量未満の危険物にも、消防法第九条の四に基づく市町村条例の基準が及びます
  • 届出や許可が要らない量であっても、この基準は必ずかかります。
  • みだりに火気を使用しないことなど、六項目の技術上の基準が定められています。
  • 指定数量の5分の1以上になると、少量危険物として別の届出義務が上乗せされます
  • 基準に違反すると、消防長・消防署長による措置命令の対象になります。

指定数量未満の危険物にも基準があることを届出は不要でも基準は適用され火気管理と容器の基準を守り違反すれば命令の対象になる四つのステップで示した図解

指定数量未満の危険物は自由に扱ってよいのか

家庭の灯油缶と工場の少量の薬品棚
危険物には「指定数量」という量の線引きがあります。
その量に届かない、ごく少量の危険物にも、実は法律に基づく基準が存在します。
消防法第九条の四 危険物についてその危険性を勘案して政令で定める数量(以下「指定数量」という。)未満の危険物(略)の貯蔵及び取扱いの技術上の基準は、市町村条例でこれを定める。指定数量未満の危険物(略)を貯蔵し、又は取り扱う場所の位置、構造及び設備の技術上の基準(略)は、市町村条例で定める。
結論は、指定数量未満の危険物にも市町村条例の基準が必ず及ぶということです
消防法第九条の四が、この基準を市町村条例で定めるよう国から委任しています。
多くの市町村は、消防庁が示す火災予防条例(例)に沿って条例を作っています。
「量が少ないから対象外」ではなく、「量に応じて条例の基準がかかる」というのが正しい理解です。
自分の事業所にある危険物が指定数量未満でも、この前提を押さえておく必要があります。

指定数量そのものは、どこで確認すればいいんですか。

危険物の規制に関する政令の別表第三に、油種ごとの数量が定められています。

どんな危険物のどんな行為に基準がかかるのか

片付けられた棚と余分な段ボールを運び出す人
基準がかかる範囲は、意外なほど広くとられています。
量の多い少ないにかかわらず、貯蔵と取扱いのすべての場面が対象です。
火災予防条例(例)第三十条 法第九条の四の規定に基づき危険物の規制に関する政令で定める数量(以下「指定数量」という。)未満の危険物の貯蔵及び取扱いは、次の各号に掲げる技術上の基準によらなければならない
結論は、指定数量未満であれば量を問わず対象になるということです
消火器のような身近な物品から、事務所の一角に置いた洗浄剤まで、幅広い品目が含まれます。
条文が対象にしているのは「貯蔵」と「取扱い」の両方で、置いておくだけでも該当します。
指定数量の5分の1未満でも、この基準そのものは免除されません。
自社にある危険物を一度洗い出すところから始めるのが確実です。

思ったより広い範囲が対象になるんですね。

はい。
量の多さではなく、扱っているかどうかで判断してください。

具体的に何を守らなければならないのか

健全な容器と破損して漏れている容器
条例が求める基準は、六つの項目にまとめられています。
どれも特別な設備を要求するものではなく、日々の管理でできる内容です。
火災予防条例(例)第三十条 一 危険物を貯蔵し、又は取り扱う場所においては、みだりに火気を使用しないこと。 二 常に整理及び清掃を行うとともに、みだりに空箱その他の不必要な物件を置かないこと。 三 当該危険物が漏れ、あふれ、又は飛散しないように必要な措置を講ずること。 四 容器は、当該危険物の性質に適応し、かつ、破損、腐食、さけめ等がないものであること。 五 みだりに転倒させ、落下させ、衝撃を加え、又は引きずる等粗暴な行為をしないこと。 六 地震等により、容易に容器が転落し、若しくは転倒し、又は他の落下物により損傷を受けないよう必要な措置を講ずること。(略)
結論は、火気管理・整理整頓・容器の状態・地震対策の四つに集約できるということです
火気を近づけない、周りに不要な物を置かない、というのが最初の二項目です。
容器から危険物が漏れないこと、容器そのものが破損や腐食していないことも欠かせません。
容器を乱暴に扱わないことと、地震で転落・転倒しないようにすることも欠かせません。
特別な工事をしなくても、日常の点検で守れる基準がほとんどです。

容器が古くなって少しさびているだけでも、直したほうがいいんですか。

はい。
腐食や裂け目があれば基準を満たさないので、早めの交換をおすすめします。

少量危険物の届出と何が違うのか

壁に固定された容器と揺れで倒れかける容器
「届出が要らない」ことと「基準がかからない」ことは、まったく別の話です。
量の段階によって、基準の重なり方が変わっていきます。
火災予防条例(例)第三十一条 指定数量の五分の一以上指定数量未満の危険物の貯蔵及び取扱い並びに貯蔵し、又は取り扱う場所の位置、構造及び設備は、前条に定めるもののほか、次条から第三十一条の八までに定める技術上の基準によらなければならない。
結論は、量の段階に応じて基準が上乗せされていく仕組みだということです
指定数量の5分の1未満でも、これまで見た六項目の基準は必ずかかります。
指定数量の5分の1以上になると「少量危険物」として、消防長・消防署長への届出義務が加わります。
「届出をしていないから何も規制されていない」という思い込みが、実務でいちばん見落としやすい点です。
自社の危険物が今どの段階にあるのか、量を基準に区分し直してみてください。

届出がないから安心、というわけではないんですね。

そのとおりです。
届出の有無と基準の有無は分けて考えてください。

明日からなにを確認すればよいのか

棚の危険物容器を確認する担当者
基準の中身が分かっても、確認せずに放置していては意味がありません。
まずは事業所内の危険物を洗い出すところから始めましょう。
消防法第九条の四 (略)指定数量未満の危険物(略)を貯蔵し、又は取り扱う場所の位置、構造及び設備の技術上の基準(略)は、市町村条例で定める
結論は、置き場所と量を洗い出してから六項目と照らし合わせるということです
灯油缶やガソリン携行缶、清掃用の薬品まで、事業所内の危険物をリストアップします。
それぞれが指定数量の何分の一にあたるかを、危険物の規制に関する政令の数量と照らして確認します。
その上で、火気管理・整理整頓・容器の状態・地震対策の四点を点検してください。
判断に迷う量や品目があれば、所轄消防署に確認するのが確実です。

まずは倉庫にある危険物の量を、ひとつずつ洗い出してみます。

それが確実です。
量の区分を意識するだけで、見落としがぐっと減ります。

よくある質問

Q指定数量そのものが分からないときはどうすればよいですか?
A危険物の規制に関する政令の別表第三で油種ごとに定められています。品目名が分からない場合は、所轄消防署に確認するのが確実です。
Q家庭用の灯油ストーブの予備の灯油も対象になりますか?
Aはい。量が指定数量未満であれば、一般家庭であっても火災予防条例第三十条の基準が及びます。
Q六項目を守っていれば少量危険物の届出は不要ですか?
Aいいえ。届出の要否は量の段階で決まるので、指定数量の5分の1以上になれば六項目を守っていても別途届出が必要です。
Q基準に違反していると分かった場合はどうなりますか?
A消防長又は消防署長から、危険物の除去や移動などの措置命令を受けることがあります。早めの是正が必要です。

まとめ

指定数量未満の危険物にも、消防法第九条の四に基づく市町村条例の基準が及びます
届出や許可が要らない量でも、この基準は必ずかかります
基準は六項目で、火気管理・整理整頓・容器の状態・地震対策に集約できます
指定数量の5分の1以上になると、少量危険物として届出義務が上乗せされます
「届出がない=規制されていない」ではないことが、いちばんの見落としどころです
違反すると、消防長・消防署長による措置命令の対象になります
まずは事業所内の危険物を洗い出し、量と六項目を照らし合わせましょう

少ない量でも気を抜いてはいけないと、よく分かりました。

そう言っていただけて嬉しいです。
危険物の管理体制など、㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
主な活動

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

参考・出典

  • 消防法第九条の四
  • 火災予防条例(例)第三十条・第三十一条
  • 危険物の規制に関する政令別表第三

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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